『KYLYN』でスタートした渡辺香津美のフュージョン路線。1980年代の10年間にリリースしたアルバム11枚はオール・フュージョン。もはや渡辺香津美と来れば“フュージョン・ギタリスト”の代表格として認知されていた。
そこへ来て,突然の“ジャズ回帰作”『ROMANESQUE』(以下『ロマネスク』)。
世評的に『ロマネスク』はブーイング。とりわく直近の3作はギター・トリオ。大編成の「KYLYN BAND」からスタートして,ついに3人でも濃密な音楽を奏でる極意を究めたはず。なのに,またなぜビッグ・バンドなのかと。ごもっともである。
しかし管理人は(渡辺香津美のファンなら)『ロマネスク』の発表に特に驚くことはなかった。むしろ「やっと来たか!」な感じがした。
ズバリ,渡辺香津美は「生粋のジャズ・ギタリスト」。フュージョンにハマロウとも,バックが何を演ろうとも,心の中にはいつでもジャズ・スピリッツを感じている。そんな演奏ばかりであった。
別所哲也が「ハムの人」なら渡辺香津美は「ジャズの人」。1980年代の11枚のお歳暮も「フュージョンのラッピングで包まれた基本ジャズ」の贈り物。あのアドリブもあのバッキングもジャズのフィーリングをまとっていた。
そう。『ロマネスク』は“ジャズ・ギタリスト”渡辺香津美10年間の軌跡。地下で脈々と流れ続けていたジャズ・スピリッツ10年間の噴火作。これは懐古趣味では決してない。
事実『ロマネスク』には“伏線”があった。フュージョン真っ只中の活動中に届けられた,渡辺香津美と『ロマネスク』の指揮者=松本治との共演は2回あった。野外ジャズ・フェスでのステージとFM東京系「サウンド・マーケット」での「渡辺香津美・プレイズ・ジャンゴ」でのレコーディング・セッション。
時期としては『スパイス・オブ・ライフ 2』の発売以降『キロワット』の発売前。そう。渡辺香津美自身の中での順番としては『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『キロワット』〜『ロマネスク』ではなく『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『ロマネスク』〜『キロワット』。
このように時系列で眺めてみれば,管理人が熱望した『キロワット 2』が作られなかった理由も見えてくる? 『キロワット 2』はもうあきらめました〜。
そういう意味ではジャズ寄りの演奏が続いている渡辺香津美であるが,ジャズ・スピリッツ同様,渡辺香津美の体内ではフュージョンの生き血が脈々と流れ続けている。いつかきっとフュージョン・スピリッツの噴火作が聴けるものと期待している。
さて,そんな渦中の『ロマネスク』。聴き所はアンサンブル。またしてもアンサンブルであって「万年2番手」渡辺香津美の熱演がアクセント。
決してジャズとは言い切れないジャンゴ・ラインハルトの名曲を松本治が見事に操っていく。そう。松本治が組み立てる「ギター協奏曲」に渡辺香津美が“客演”としてギターを弾いている。ただそれだけのことが,純粋に“ジャズ・ギタリスト”としての役割に徹した渡辺香津美の潔さを際立たせている! く〜っ,これぞ「世界のKAZUMI」な名演である。上手い。
渡辺香津美のジャズ・ギターがツボを突いてくる。ジャンゴ・ラインハルトは,こう弾いてほしい,というツボを押してくれる。ゆったりとブルージーな時間の快感。小粋でオシャレでノスタルジックなスイング・ジャズ。
輪廻転生は悪であるが「ジャンゴ・ラインハルトが亡くなったのが1953年。渡辺香津美が生まれたのが1953年」を理由に“自称”「ジャンゴ・ラインハルトの生まれ変わり」な渡辺香津美の面目躍如作。
管理人の結論。『ロマネスク』批評。
『ロマネスク』は渡辺香津美の“ジャズ回帰作”ではなく“ジャズ継続”な“ジャズ加速作”。「万年2番手」なジャズ・ギターのツボ最高峰。ジャズ・ギターの楽しみ方を教えてくれる名盤である。
最後に『ロマネスク』批評の番外編=渡辺香津美の「男を上げる新しい発見」について一言。
アンサンブルな『ロマネスク』を聴いて渡辺香津美が「万年2番手」な理由が分かった。それは渡辺香津美が実力不足で「2番手」なのではなくギターという楽器の特性が「2番手」向きなだけである。ギターはコード。ギターはリズム。
2012/4/28現在,アドリブログ主宰「ジャズ/フュージョンの花形楽器とは?」のアンケートでギターが最下位に沈んでいる理由がよ〜く分かる?
01. TROUBLANT BOLERO
02. BELLEVILLE
03. MINOR SWING
04. STOMPIN' AT THE SAVOY
05. PRELUDE TO A KISS
06. BLACK BEAUTY
07. I DIDN'T KNOW ABOUT YOU
08. IT DON'T MEAN A THING
09. SOLITUDE
10. THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE
11. CARAVAN
12. TAKE THE "A" TRAIN
13. IN A SENTIMENTAL MOOD
そこへ来て,突然の“ジャズ回帰作”『ROMANESQUE』(以下『ロマネスク』)。
世評的に『ロマネスク』はブーイング。とりわく直近の3作はギター・トリオ。大編成の「KYLYN BAND」からスタートして,ついに3人でも濃密な音楽を奏でる極意を究めたはず。なのに,またなぜビッグ・バンドなのかと。ごもっともである。
しかし管理人は(渡辺香津美のファンなら)『ロマネスク』の発表に特に驚くことはなかった。むしろ「やっと来たか!」な感じがした。
ズバリ,渡辺香津美は「生粋のジャズ・ギタリスト」。フュージョンにハマロウとも,バックが何を演ろうとも,心の中にはいつでもジャズ・スピリッツを感じている。そんな演奏ばかりであった。
別所哲也が「ハムの人」なら渡辺香津美は「ジャズの人」。1980年代の11枚のお歳暮も「フュージョンのラッピングで包まれた基本ジャズ」の贈り物。あのアドリブもあのバッキングもジャズのフィーリングをまとっていた。
そう。『ロマネスク』は“ジャズ・ギタリスト”渡辺香津美10年間の軌跡。地下で脈々と流れ続けていたジャズ・スピリッツ10年間の噴火作。これは懐古趣味では決してない。
事実『ロマネスク』には“伏線”があった。フュージョン真っ只中の活動中に届けられた,渡辺香津美と『ロマネスク』の指揮者=松本治との共演は2回あった。野外ジャズ・フェスでのステージとFM東京系「サウンド・マーケット」での「渡辺香津美・プレイズ・ジャンゴ」でのレコーディング・セッション。
時期としては『スパイス・オブ・ライフ 2』の発売以降『キロワット』の発売前。そう。渡辺香津美自身の中での順番としては『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『キロワット』〜『ロマネスク』ではなく『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『ロマネスク』〜『キロワット』。
このように時系列で眺めてみれば,管理人が熱望した『キロワット 2』が作られなかった理由も見えてくる? 『キロワット 2』はもうあきらめました〜。
そういう意味ではジャズ寄りの演奏が続いている渡辺香津美であるが,ジャズ・スピリッツ同様,渡辺香津美の体内ではフュージョンの生き血が脈々と流れ続けている。いつかきっとフュージョン・スピリッツの噴火作が聴けるものと期待している。
さて,そんな渦中の『ロマネスク』。聴き所はアンサンブル。またしてもアンサンブルであって「万年2番手」渡辺香津美の熱演がアクセント。
決してジャズとは言い切れないジャンゴ・ラインハルトの名曲を松本治が見事に操っていく。そう。松本治が組み立てる「ギター協奏曲」に渡辺香津美が“客演”としてギターを弾いている。ただそれだけのことが,純粋に“ジャズ・ギタリスト”としての役割に徹した渡辺香津美の潔さを際立たせている! く〜っ,これぞ「世界のKAZUMI」な名演である。上手い。
渡辺香津美のジャズ・ギターがツボを突いてくる。ジャンゴ・ラインハルトは,こう弾いてほしい,というツボを押してくれる。ゆったりとブルージーな時間の快感。小粋でオシャレでノスタルジックなスイング・ジャズ。
輪廻転生は悪であるが「ジャンゴ・ラインハルトが亡くなったのが1953年。渡辺香津美が生まれたのが1953年」を理由に“自称”「ジャンゴ・ラインハルトの生まれ変わり」な渡辺香津美の面目躍如作。
管理人の結論。『ロマネスク』批評。
『ロマネスク』は渡辺香津美の“ジャズ回帰作”ではなく“ジャズ継続”な“ジャズ加速作”。「万年2番手」なジャズ・ギターのツボ最高峰。ジャズ・ギターの楽しみ方を教えてくれる名盤である。
最後に『ロマネスク』批評の番外編=渡辺香津美の「男を上げる新しい発見」について一言。
アンサンブルな『ロマネスク』を聴いて渡辺香津美が「万年2番手」な理由が分かった。それは渡辺香津美が実力不足で「2番手」なのではなくギターという楽器の特性が「2番手」向きなだけである。ギターはコード。ギターはリズム。
2012/4/28現在,アドリブログ主宰「ジャズ/フュージョンの花形楽器とは?」のアンケートでギターが最下位に沈んでいる理由がよ〜く分かる?
01. TROUBLANT BOLERO
02. BELLEVILLE
03. MINOR SWING
04. STOMPIN' AT THE SAVOY
05. PRELUDE TO A KISS
06. BLACK BEAUTY
07. I DIDN'T KNOW ABOUT YOU
08. IT DON'T MEAN A THING
09. SOLITUDE
10. THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE
11. CARAVAN
12. TAKE THE "A" TRAIN
13. IN A SENTIMENTAL MOOD
(ポリドール/DOMO 1990年発売/HOOP20376)
(ライナーノーツ/渡辺香津美,青木和富)
(ライナーノーツ/渡辺香津美,青木和富)
コメント一覧 (2)
ご指摘の通り,香津美さんで一番売れたアルバムであり,最初の1枚に成り得るのが「TO CHI KA」でしょう。
マーカス・ミラーとスティーブ・ジューダンのリズム隊もキレキレですし,香津美さんの代名詞「ユニコーン」も収録されています。
その「TO CHI KA」ですが,私は昔LPで聞いていましたがCDで買い直していません。そのうち紙ジャケがでたら欲しいなあ,と思いつつ,買いそびれているうちにリマスタリングが出たらなあ,とかで決断しておりません。そのうち買い直しますから!