BUTTERCORN LADY-1 ヤッター! ユニバーサルさん! 「JAZZ THE BESTお宝コレクション」!  「ジャズ史上に燦然と輝く名盤・レア盤からリクエストの多かった作品を1100円の超お買い得価格で限定発売!」のキャッチ・コピーにハッタリはなかった〜!

 そう。アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズの“コレクターズ・アイテム”『BUTTERCORN LADY』(以下『バターコーン・レディ』)の再発ですよ〜。24BITリマスター仕様でですよ〜。ユニバーサルの担当者さん,あなたは偉い! お目が高い! ヤッター!

 『バターコーン・レディ』が“コレクターズ・アイテム”と呼ばれる理由は4つある(いや5つある。高値取引流通品)。
 1つ目に,後年のフュージョン界の大スター=チャック・マンジョーネの目いっぱいのストレート・ジャズ。オープンの音色は「目指せ! ディジー・ガレスピー!」であり,ミュートの音色は「目指せ! マイルス・デイビス!」である。
 2つ目に,吹き込みの絶対数が数少ない,早出した“ショーター派”フランク・ミッシェルの参加作。
 3つ目に,アルバム名義の誤表記。アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズではなく正しくは「アート・ブレイキー & ザ・ニュー・ジャズ・メッセンジャーズ」。“NEW”が付いたアート・ブレイキーの新コンボでした。
 そして4つ目“我らが”キース・ジャレットの初録音作。お宝コレクションの目玉はキースピアノであろう。

 これ以上の全ての薀蓄は中略させていただいて,若干20歳のキース・ジャレットピアノは予想通りの普通の出来。無難で大人しくお上品なジャズ・ピアノ。特筆すべきソロはない。でもいいんです。ドキュメンタリーの貴重な記録なのです。ここからの大進化が素晴らしいのですから…。
 ここは逆に凡庸なキース・ジャレットを抜擢したアート・ブレイキーの“驚異の眼力”を褒め称えるべきであろう。

 「アート・ブレイキー & ザ・ニュー・ジャズ・メッセンジャーズ」を名乗ったように『バターコーン・レディ』のジャズ・メッセンジャーズは再スタートを切ったばかり。そのせい? これまでのドッカンドッカン&荒々しいまでのバイタリティが失せている。ライブ録音にも関わらず,燃えに燃えるはアート・ブレイキーただ1人。

BUTTERCORN LADY-2 管理人の結論。『バターコーン・レディ批評

 『バターコーン・レディ』の真実は“クールでモーダルな平均的な演奏集”であった。アート・ブレイキーのアルバムでここまではじけないものも珍しい。『バターコーン・レディ』を高値な“コレクターズ・アイテム”へと祭り上げたのは「名盤」ファンではなく「珍盤」ファンの方々なのでは〜。

 1100円の暴落価格で購入した,嗚呼,悲しや「珍盤」GET。「名の通っていないコレクターズ・アイテムは『名盤ではなく珍盤』ばかり説」はキース・ジャレットをもってしても本当でした。
 そろそろCDコレクターの悪癖を卒業したいんだけどなぁ。毎月の新譜リストにそそられてしかたないんだよなぁ。

  01. BUTTERCORN LADY
  02. RECUERDO
  03. THE THEME
  04. BETWEEN RACES
  05. MY ROMANCE
  06. SECRET LOVE

(ライムライト/LIMELIGHT 1966年発売/UCCU-9734)
(ライナーノーツ/原田和典)

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