ブラッド・メルドーはジャズメンではない。アーティストである。
『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』(以下『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』)を聴いて,ブラッド・メルドーをアーティストと呼ぼうと思った「パート2」。
真に「THE ART OF THE TRIO」におけるブラッド・メルドーのジャズ・ピアノは,大衆音楽を超えた“芸術”の域にある。
そう。この真意こそ「エロス」の欠如である。ライブ盤なのに「エロス」がない。ブラッド・メルドーのピアノ・トリオは美しい。でも男はそれでは感じやしない。ブラッド・メルドーの演奏に「色気」が感じられないのだ。
凄いか,凄くないかで論じれば『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』のピアノ・トリオは神レベル! 特に頭の3トラック【オール・ザ・シングス・ユー・アー】【憧れ】【ナイス・パス】の長尺なのにちっとも飽きない“変幻自在”な転調とピアノ・ソロの連打には“唸ってしまう”。
並みのピアニストとは格が違う。超一流のスケールの大きな大局的な即興演奏。間違いなくブラッド・メルドーは現役ジャズ・ジャイアントの大スターである。
でも…それがどうした…。ワクワクしない。興奮もしない。アクロバティックな“左右独立メロディーの絡み合い”も,ブラッド・メルドーのCDを聴くのも3枚目ともなると,ライブ盤なのに正統派の優等生的なアドリブにしか響かない。う〜む。
ベラボウに一言で要約してしまえば「肉感的な」演奏の欠如なのだと思う。凄いことを一分の狂いもなくやってのけている。実の独創的な展開であって全ての音が連綿とつながっているように感じる瞬間がある。
当然,一瞬の判断で作り上げた即興なのに“左右独立メロディーの絡み合い”が前振りであるがごとく,全く別種の完成形のメロディが産み落とされていく過程が実にユニークすぎて,そこに計算が見え隠れする。打算的ではないのだろうが打算的に思えてしまう。
ブラッド・メルドーはクールなやつなのだ。大変クレイバーなやつなのだ。だから聴いていて疲れてしまう。ジャズ・ピアノを聴いて楽しみたいのに“しんどくなる”。無意識のうちに解析とか解読とかをするように脅迫された気分になる。
そう。ブラッド・メルドーのジャズは重いのだ。重すぎるのだ。正座してヘッドフォンで“拝聴”しているくせして,管理人は「軽い」ジャズを楽しみたい派なのだ。
ジャズの入門者が『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』を聴いたら,どう思うのか,が心配になる。何か引っ掛かるものがあるのか,が心配になる。
すでにブラッド・メルドーはジャズ・ピアノの頂点を極めている。熱心なファンはブラッド・メルドーを“拝聴”し続けるであろうが,一般のジャズ・ファンには“近寄り難い”演奏だと思う。ストイックで堅実なスタイルは興味のない人にとってはどうでもよい。
そう。アーティスト=ブラッド・メルドーが演奏しているのは芸術であって道楽ではない。決して破たんしないアドリブがインテリジェンス。こうなったら目指せ!モナリザ! とことん芸を磨き上げて,誰もが“うっとり聴き入る”演奏を究めていただきたい!
01. All The Things You Are
02. Sehnsucht
03. Nice Pass
04. Solar
05. London Blues
06. I'll Be Seeing You
07. Exit Music (For A Film)
『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』(以下『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』)を聴いて,ブラッド・メルドーをアーティストと呼ぼうと思った「パート2」。
真に「THE ART OF THE TRIO」におけるブラッド・メルドーのジャズ・ピアノは,大衆音楽を超えた“芸術”の域にある。
そう。この真意こそ「エロス」の欠如である。ライブ盤なのに「エロス」がない。ブラッド・メルドーのピアノ・トリオは美しい。でも男はそれでは感じやしない。ブラッド・メルドーの演奏に「色気」が感じられないのだ。
凄いか,凄くないかで論じれば『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』のピアノ・トリオは神レベル! 特に頭の3トラック【オール・ザ・シングス・ユー・アー】【憧れ】【ナイス・パス】の長尺なのにちっとも飽きない“変幻自在”な転調とピアノ・ソロの連打には“唸ってしまう”。
並みのピアニストとは格が違う。超一流のスケールの大きな大局的な即興演奏。間違いなくブラッド・メルドーは現役ジャズ・ジャイアントの大スターである。
でも…それがどうした…。ワクワクしない。興奮もしない。アクロバティックな“左右独立メロディーの絡み合い”も,ブラッド・メルドーのCDを聴くのも3枚目ともなると,ライブ盤なのに正統派の優等生的なアドリブにしか響かない。う〜む。
ベラボウに一言で要約してしまえば「肉感的な」演奏の欠如なのだと思う。凄いことを一分の狂いもなくやってのけている。実の独創的な展開であって全ての音が連綿とつながっているように感じる瞬間がある。
当然,一瞬の判断で作り上げた即興なのに“左右独立メロディーの絡み合い”が前振りであるがごとく,全く別種の完成形のメロディが産み落とされていく過程が実にユニークすぎて,そこに計算が見え隠れする。打算的ではないのだろうが打算的に思えてしまう。
ブラッド・メルドーはクールなやつなのだ。大変クレイバーなやつなのだ。だから聴いていて疲れてしまう。ジャズ・ピアノを聴いて楽しみたいのに“しんどくなる”。無意識のうちに解析とか解読とかをするように脅迫された気分になる。
そう。ブラッド・メルドーのジャズは重いのだ。重すぎるのだ。正座してヘッドフォンで“拝聴”しているくせして,管理人は「軽い」ジャズを楽しみたい派なのだ。
ジャズの入門者が『アート・オブ・ザ・トリオ 4:バック・アット・ザ・ヴァンガード』を聴いたら,どう思うのか,が心配になる。何か引っ掛かるものがあるのか,が心配になる。
すでにブラッド・メルドーはジャズ・ピアノの頂点を極めている。熱心なファンはブラッド・メルドーを“拝聴”し続けるであろうが,一般のジャズ・ファンには“近寄り難い”演奏だと思う。ストイックで堅実なスタイルは興味のない人にとってはどうでもよい。
そう。アーティスト=ブラッド・メルドーが演奏しているのは芸術であって道楽ではない。決して破たんしないアドリブがインテリジェンス。こうなったら目指せ!モナリザ! とことん芸を磨き上げて,誰もが“うっとり聴き入る”演奏を究めていただきたい!
01. All The Things You Are
02. Sehnsucht
03. Nice Pass
04. Solar
05. London Blues
06. I'll Be Seeing You
07. Exit Music (For A Film)
(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1999年発売/WPCR-10533)
(ライナーノーツ/ブラッド・メルドー,中川燿)
(ライナーノーツ/ブラッド・メルドー,中川燿)