JAZZ GIANT-1 思うにバド・パウエルヴァーヴ盤の世評が低いのは『JAZZ GIANT』(以下『ジャズ・ジャイアント』)のせいではなかろうか?

 バド・パウエルの前期の演奏なのだから,当然『ジャズ・ジャイアント』も名演のオンパレード集に違いない。その点は認める。

 しかしバド・パウエルの場合,快演=感動の名演なのである。バド・パウエルの場合,テクニックに溺れることなど皆無。超テクニシャンなのに感動が必ず伴っている。
 こんなピアニスト,いいや,こんなジャズメン滅多にいない。ズバリ,バド・パウエルこそ,真に「天才中の天才」なのである。

 さて,問題の『ジャズ・ジャイアント』である。ヴァーヴ盤の世評は低いが『ジャズ・ジャイアント』単体への評価は高い。変に名が通っている。
 だからバド・パウエルに興味を持ったファンが『ジャズ・ジャイアント』を「1枚目,2枚目,3枚目」として手に取る確立も高くなる。

 ポイントはこの「1枚目,2枚目,3枚目」の組み合わせ。(後期パウエルの傑作群=『ザ・シーン・チェンジズ』等は置いといて。以下,前期パウエルに限って書き記すが)『ジャズ・ジャイアント』の次に,同じくヴァーヴ盤の『ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル』を手に取ればいいのだが,大抵の高確率で一般的な人気盤=ルースト盤の『バド・パウエルの芸術』かブルーノート盤の『ジ・アメイジング・バド・パウエル』に辿り着く。

 圧倒的な感動盤=『バド・パウエルの芸術』と『ジ・アメイジング・バド・パウエル』に比べると,唯一【身も心も】には感動するが『ジャズ・ジャイアント』は聴けたものではない → ヴァーヴはダメの元凶?

JAZZ GIANT-2 管理人の結論。『ジャズ・ジャイアント批評

 『ジャズ・ジャイアント』は名盤。『ジャズ・ジャイアント』はダメではない。ただ生まれた時代が悪かった。

  01. TEMPUS FUGUE-IT
  02. CELIA
  03. CHEROKEE
  04. I'LL KEEP LOVING YOU
  05. STRICTLY CONFIDENTIAL
  06. ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM
  07. SO SORRY PLEASE
  08. GET HAPPY
  09. SOMETIMES I'M HAPPY
  10. SWEET GEORGIA BROWN
  11. YESTERDAYS
  12. APRIL IN PARIS
  13. BODY AND SOUL

(ヴァーヴ/VERVE 1950年発売/POCJ-1822)
(ライナーノーツ/佐藤秀樹)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)