ALIVE-1 管理人にとって上原ひろみは,真のアーティストであり,ラーメンを食べること以外は音楽に人生の全てを捧げる,常人を超えた“雲の上の人”。
 だから上原ひろみのアルバムはいつでも「とっつきにくい」。トリッキーで芸術的なアクロバティック・ミュージックなのだから,リスナーとしては毎回,時間をかけてとことん攻略するのみなのだ。

 そんな勝手に“戦闘モード”で聴き始めた『ALIVE』に「エエッ」。
 『ALIVE』には,いつもとは逆の意味で驚かされた。上原ひろみの「普段着」というか「等身大の魅力」を『ALIVE』で初めて感じることができたのだ。

 『ALIVE』の一発目【ALIVE】で聴こえる,16分の27拍子(← すみません。こんなの聞き取れるわけありません。??秦のインタビュー記事からの情報です)の「ザ・トリオ・プロジェクト史上最難曲」の超・変拍子が流れた時は,キターッ!って感じだったのに,アルバムが進行するにつれ,身体に馴染んでくるヌーディー・ジーンズを穿いている感覚が芽生えてくる?

 うん。相変わらず「ザ・トリオ・プロジェクト」が超・超カッコイイ。上原ひろみピアノアンソニー・ジャクソンベースサイモン・フィリップスドラム。個々のレベルを超越した「ザ・トリオ・プロジェクト」としての成熟が一段と進んでいることが感じられる名演である。

 『ALIVE』の真実とは『A・LIVE』。『ALIVE』から,強烈なLIVE感と音楽の持つ生命力が伝わってくる。
 「ザ・トリオ・プロジェクト」の3人だからこそ産み落とせる,豊かなGROOVEの波に身を委ねる至福。誰にとっても懐かしい普遍的な場所に連れていかれる感覚の至福。

 超絶を感じさせない位のハイ・レベルでの楽曲理解の共有化で,とにかく音が柔らかくなった。事実,上原ひろみのクレジットから史上初めて「キーボード」の文字が消えている!

 しかし『ALIVE』に関しては,そんなことはどうでもいい。音楽制作のプロセスなど抜きにして,完成品を「ドドドのドーン!」。
 年に1枚のペースで新作を作り続けてきた上原ひろみが『ALIVE』の制作に2年も費やした理由に納得なのです。

 そうなんです。『ALIVE批評は“擬音”なのです。『ALIVE』を言葉で表現するのは“ヤボ”なのです。
 6曲目の後半から7曲目,8曲目と続くスローな流れがジャストであり,1曲目から6曲目前半の超絶系を凌駕しているのです。

ALIVE-2 『ALIVE』は「ザ・トリオ・プロジェクト」の3枚目。
 上原ひろみにとってのキース・ジャレットで例えればアメリカンカルテットの『残氓』的な『SPIRAL』が3枚目。
 きっと「ザ・トリオ・プロジェクト」もアルバム3枚で解散すると管理人は勝手に思っていた。

 『ALIVE』から始まった?上原ひろみの新たなるスロー路線。『ALIVE』の「普通っぽさ」を感じる限り「次もまたある」と勝手に解釈してしまった。
 いいや「普通っぽく」聴こえることこそ「ザ・トリオ・プロジェクト」最大の成果なのである。

  01. ALIVE
  02. WANDERER
  03. DREAMER
  04. SEEKER
  05. PLAYER
  06. WARRIOR
  07. FIREFLY
  08. SPIRIT
  09. LIFE GOES ON

(テラーク/TELARC 2014年発売/UCCT-9029)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/上原ひろみ,川口美穂)
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