WINTER'S GIFT-1 管理人と鳥山雄司の付き合いは結構長い。その辺りを汲み取って,今回の鳥山雄司批評を読んでいただきたい。

 スタジオ・ミュージシャンの鳥山雄司は消えたんだなぁ。ギタリスト鳥山雄司は消えたんだなぁ。そして鳥山雄司は“音楽家”として生まれ変わったんだなぁ。
 季節は初夏に向かっているというのに,季節感のかけらもない『WINTER’S GIFT』(以下『ウィンターズ・ギフト』)を聴いてそう思ってしまった。

 そう思ってしまったのは,ごくごく最近のこと。私用で香港・マカオの旅から帰国して,ちまちまと写真の整理をしつつ,CD−Rでアルバムを作ろうと思った時,写真の後ろで流れるBGMとしてチョイスしたのが『ウィンターズ・ギフト』だった。
 旅のBGM=鳥山雄司,と我ながらすでにメディアに毒されていたことが読み取れる。 

 【STARLIGHT】に香港の夜景を思い浮かべ【MAJESTIC SHADOW】にマカオのヨーロッパを思い浮かべる。鳥山雄司ギターというか曲というか,彼の音楽には音楽を超えた部分で,様々な情景を思い起こさせる力がある。それも楽しい思い出ばかりを想起させるような力がある。
 この音楽からイメージとして伝わる「カラフルな色彩感」は,同じギタリストであるパット・メセニーと通ずるところがある。パット・メセニーも,もはや「ギタリスト」としてではなく「音楽家」と呼ばれるにふさわしい“御大”である。

 そう。鳥山雄司パット・メセニーと同様“総合・音楽家”の域に達している。『ウィンターズ・ギフト』の出来は,鳥山雄司を以てしても“快心の冬CD”であろう。シンプルなメロディー・ラインを印象的かつ格調高く演奏している。オーケストレーションのセンスは流石と言わざるを得ない。いい。

WINTER'S GIFT-2 ただし惜しむべきかな,鳥山雄司にはパット・メセニーほどの“こだわり”が感じられない。気持ちの良い音楽を作るのは全てだと言い切るにしても,ギターとかジャズとかフュージョンとか,自分のプライドとか…。
 『ウィンターズ・ギフト』の感想をまとめるなら“ほめ殺し”になって心苦しいのだが「上手いな」の一言に集約されてしまう。
 
 “音楽家”の鳥山雄司もたまにはいいかなぁ。でも管理人がこれまで長く付き合い続け,鳥山雄司のファンを公言してきたのは,スタジオ・ミュージシャンの鳥山雄司であり,ギタリスト鳥山雄司であったんだけどなぁ。

 “フュージョンギタリスト鳥山雄司のヒーリング界への「流出」は,ジャズフュージョン界の“大損失”と思います。

  01. Starlight
  02. Ave Maria
  03. Majestic Shadow
  04. 言問
  05. What child is this (Green sleeves)

(ソニー/SONY 2004年発売/SRCL-5863)

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