ADAMA-1 『ADAMA』(以下『アダマ』)を聴いて「オリジン」とは「チック・コリアオリジン」ではなく「アヴィシャイ・コーエンオリジン」であったことを痛感した。

 チック・コリアの大ファンの皆さん,ごめんなさい。しかし,チック・コリアの大ファンの皆さんと同じ立場をして,この発言であることをご容赦ください。
 チック・コリアは素晴らしいのです。アヴィシャイ・コーエンのような“天才”をまたもや発掘したのだから凄い眼力の持ち主に違いないのです。

 思うに,きっと読者の皆さんもチック・コリアのように感じた瞬間がありませんか? つまりアヴィシャイ・コーエンの「ベース主導」のアンサンブルに身を委ねてしまいたくなるような…。
 正直,管理人はアヴィシャイ・コーエンの“天才肌”が苦手です。ベーシストとしてのアヴィシャイ・コーエンはそれなりに好きなのですが「ベース主導」のアヴィシャイ・コーエンの音楽性,彼の世界観がいまいち肌に合わないんだよなぁ。

 ゆえに『アダマ』もチック・コリアブラッド・メルドー目当てで購入。しかし『アダマ』を聴いているうちに,自然とチック・コリアブラッド・メルドーではなく,アヴィシャイ・コーエンベースばかりを耳で追う自分に気付く。

 そう。アヴィシャイ・コーエンジャズの枠を飛び越えた多彩なプレイのベーシストベース1本で音楽を感じさせてくれる。
 いや〜,参ったなぁ。流石に“チック・コリアを袖にした”ベーシストだけのことはあるよなぁ。とにかく「凄いヤツが出てきたな」。そんな感想で頭が一杯になってしまうのである。
 まぁ,こんなことはたまにある。繰り返し聴き込んでいくにつれ,徐々に音楽が評価が定まってくる。はずなのだったが…。

ADAMA-2 『アダマ』は,どうにもこうにも“オリエンタルでエキゾティックな民族音楽”! アヴィシャイ・コーエン・オリジナルのNY最先端の美メロがウードリュートといったアラビアの類の伝統的な楽器で表現される! これがイスラエルのジャズというものなのか!? 何回聴いても面喰う!

 そんな“フワフワ”とした感覚の中で,管理人の頭の中に明確に浮かんだイメージこそが「チック・コリアオリジン」であった。この無意識に「オリジン」を連想したという事実は管理人にとって,とてつもなく大きく重い一大事。
 もはや自分の中で「オリジン」というバンドは,チック・コリアのバンドではなくアヴィシャイ・コーエンのバンドになってしまった。

 “チック・コリアを袖にした”結果,ジャズの表舞台から姿を消したアヴィシャイ・コーエンであったが,今やアヴィシャイ・コーエンの大復活! アヴィシャイ・コーエンが覇権を握り“ヴイヴイ”言わす時代が10年がかりで到来した!
 それくらいのメガトン・パンチ=『アダマ』恐るべし! アヴィシャイ・コーエン恐るべし!

  01. Ora
  02. Madrid
  03. Bass Suite #1
  04. Reunion of the Souls
  05. Dror
  06. No Change
  07. Bass & Bone Fantasy
  08. Adama
  09. Bass Suite #2
  10. Besame Mucho
  11. Gadu
  12. Ace of Bass
  13. When I Fall in Love
  14. Jasonity

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1998年発売/MVCL-24007)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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