TRILOGY-1 ピアノチック・コリアベースクリスチャン・マクブライドドラムブライアン・ブレイドによる,チック・コリアの何代目かの新ピアノ・トリオによるライブ盤『TRILOGY』(以下『トリロジー』)が真に素晴らしい。

 リスナーのすぐ目の前でチック・コリアクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドのビッグネームの3人が“最高の音楽の会話”を交わしているかのような臨場感に圧倒されてしまう。

 「CD3枚組」の圧倒的ボリューム。そのほとんどが10分を超える長尺集。“最高の音楽の会話”が止まらないのだ。ジャズ界の最高峰に君臨する3人だからこそ,分かりあえる&語り合える“最高の音楽の会話”が詰まっている。
 だから「総収録時間3時間20分以上」とCD帯に謳われているにも関わらず,躍動感に溢れたタイトな演奏に引き込まれ,ふと聴き始めたが最後。一気に3時間20分の長丁場を完走してしまった。
 そう。『トリロジー』の真実とは,長時間聴いても聴き飽きないピアノ・トリオ。それどころかまだまだ聴きたくなる。

 ズバリ『トリロジー』の真実とは,自由に演ってもきれいにまとまり,濃密なインタープレイが想像以上にスイングする,もはや「未来永劫,チックのこのピアノ・トリオを超えることができるのか?」的な,ウルトラ・オーソドックス・ピアノ・トリオ

 ここまでジャズスタンダードが,刺激的でワクワクする“ピッカピカ仕様”に仕上がったのも,新チック・コリアトリオの“剛腕”あるのみ。
 演奏者の個性の組み合わせで「化学反応」してしまう,ジャズの醍醐味を再認識させられてしまった。音の粒立ちが尋常ではない。

 チック・コリアピアノは,切れ味だけではなく,深味も渋みも重量感も備わっている。チック・コリア久方ぶりの生ピアノによる快演が続いている。
 このチック・コリアの快演に瞬時に反応する“フレキシブルな”ベースドラムクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドの“時代の最先端”を行くベースドラム名演が続く。

 チック・コリアの,伸びやかで,躍動感に富み,グルーヴィーで,歌心のあるテクニカルなベースが完璧。
 ブライアン・ブレイドドラムの音のダイナミクス! 小さい音は極限に小さく大きい音は耳ではなく,体に直接刺さるささるドラミングは,気合いの云々の問題ではなく,単純にドラムを響かせるスーパー・テクニシャンとしての本領発揮なのであろう。

 超が付くほど音楽的な反射神経が高いクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドによるジャズ界最高峰のリズム隊は,チック・コリアピアノが「パーン」と跳ねたら,ベースドラムが「ポーン」と受ける“至極のインタープレイ”!

TRILOGY-2 さて『トリロジー』が,チック・コリア本人えり抜きのベスト・テイク集なのだからグラミー受賞は当然として,気になるのはこのツアーの没テイク。
 きっと没テイク集の『トリロジー 2』なるものが発売されたら『トリロジー 2』がその年のグラミー受賞最有力。『トリロジー 3』であってもノミネートまでは楽勝だと思う。

 そこでチック・コリア様への提言です。
 いっそのこと『COMPLETE TRILOGY LIVE』なるボックス・セットを制作されませんか? チック・コリア・ファンは皆,今から発売予定のない未発表音源集を待ち焦がれているのです!

  Disc 1
  01. You're My Everything
  02. Recorda Me
  03. The Song Is You
  04. Work
  05. My Foolish Heart
  06. Fingerprints
  07. Spain

  Disc 2
  01. This Is New
  02. Alice in Wonderland
  03. It Could Happen to You
  04. Blue Monk
  05. Armando's Rhumba
  06. Op.11, No.9
  07. How Deep Is the Ocean?

  Disc 3
  01. Homage
  02. Piano Sonata:The Moon
  03. Someday My Prince Will Come

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2013年発売/UCCJ-3031/3)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,漆崎丈)

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