SPINNING GLOBE-1 『THE SPICE OF LIFE 2』以来となる,渡辺香津美ジェフ・バーリンとの25年振りの共演盤。『SPINNING GLOBE』(以下『スピニング・グローブ』)に「甦る青春」を思い重ねた。

 しか〜し『スピニング・グローブ』は,とんでもないアルバムであった。『スピニング・グローブ』に,懐かしさを求めていたが,とんでもない返り討ちにあってしまった。素晴らしい演奏である。素晴らしい楽曲である。

 …と書き出したが,この感想は反則技であることを告白する。なぜなら『スピニング・グローブ』は,アルバムのリリース前に「渡辺香津美 × ジェフ・バーリン × ヴァージル・ドナティ」のジャパン・ツアーを観劇して感激!
 「渡辺香津美 × ジェフ・バーリン × ヴァージル・ドナティ」のLIVEこそが2013年のハイライト! つまりは『スピニング・グローブ』には,聴く前から“大名盤”との偏見持ち〜。

 しか〜し,すでに買いかぶり状態で接した『スピニング・グローブ』の初見がアレレノレ? こんな感じだったかなぁ…。
 ズバリ『スピニング・グローブ』の真髄は「音の万華鏡」である。全体像を掴めそうで掴みきれない,ムズガユイ感覚。音に接すれば接するだけ印象が変化していく。聴き込む度に音楽が変化して聴こえる。
 『THE SPICE OF LIFE』がキレキレだっただけに『スピニング・グローブ』のヌルヌルに戸惑いを感じて,一瞬焦ってしまった。

 『スピニング・グローブ』はジワジワと来る。「音の万華鏡」である『スピニング・グローブ』は,タイトル通りの「回る地球」→「丸い球体」→「柔らかなボール」→「変形スライム」のようなギター・フュージョンである。
 一定の聴き込み回数を境に『スピニング・グローブ』の“まろやかなスベスベした音楽”を安定して掴めるようになると,あの日のLIVEで聴いた『スピニング・グローブ』が自宅のステレオから鳴り出し始める。ヤッター。ヤッター。ヤッターマンの渡辺香津美〜。

 渡辺香津美の超絶ギターが「弾きすぎていない」。ジェフ・バーリンの超絶ベースが「弾きすぎていない」。ヴァージル・ドナティの超絶ドラムが「叩きすぎていない」。
 3人が3人とも特段難解なことは演っていない。トンガッテはいないのだ。この辺りのニュアンスの変化に,キレキレだった『THE SPICE OF LIFEトリオからの25年の歳月を実感する。“大人な”渡辺香津美フュージョンギターを実感する。

 ジェフ・バーリンベースが本当にいい。こんなにGROOVEするコーラス付のベース・ラインを弾けるロック系のベーシストも世界に数えるほどしかいないと思う。
 ヴァージル・ドナティドラムアラン・ホールズワース仕込みの「手数王」系なのに,変幻自在なアース・ビートにしてやられる。

 所謂ロック系ゆえシンプルな演奏なのだが,ジェフ・バーリンヴァージル・ドナティも,王道のロック系から外れたバカテクのオカズ自慢。それでいてゴチャゴチャしていないのが能力の高さなのであろう。
 非常にタイトでスッキリとまとまったリズムに乗って,渡辺香津美1人が前後左右に飛び出すことができている。

SPINNING GLOBE-2 そう。「音の万華鏡」である『スピニング・グローブ』は,アクセント重視のジェフ・バーリンヴァージル・ドナティ組だから実現できた「超絶を超えた超絶系」=「超絶遅攻な」ギター・トリオ
 テクニックのヒケラカシを殺した“COOLな”スーパー・プレイの連続にただ酔いしれるだけ。頭ガーンの頭ボーで「オールOK」なのでございりまする〜。

 それにしても2013バージョンの【JFK】を耳にした瞬間の胸の高まりはどうして? これって恋なの? もしかすると25年前の【JFK】以上に好きになってしまったかも?

 管理人の結論。『スピニング・グローブ批評

 管理人にとって『スピニング・グローブ』は『THE SPICE OF LIFE 3』ではなく『SPINNING GLOBE 1』である。「甦る青春」改め「青春真っただ中」な名盤である。
 20XXバージョンの【JFK】の再々演を含む『SPINNING GLOBE 2』のリリースを強く熱望する。

  01. SPINNING GLOBE
  02. SECRET OF TOKYO
  03. DURESS CODE
  04. OWED TO JOY
  05. THE USER
  06. REFLECTION OF PARIS
  07. KOKORO
  08. I WILL
  09. JFK

(ワーナーミュージック・ジャパン/WARNER MUSIC JAPAN 2013年発売/WPCR-15377)
(ライナーノーツ/渡辺香津美)

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