GET UP!-1 神保彰ドラムエイブラハム・ラボリエルベースオトマロ・ルイーズピアノフランク・ギャンバレギターによる『FOUR COLORS』と同じメンバーによる,基本一発録りのスタジオ・ライブの第2弾『GET UP!』(以下『ゲット・アップ!』)。

 普通に考えたら『ゲット・アップ!』は『FOUR COLORS』の続編にあたるがそうではない。
 ズバリ『ゲット・アップ!』は,フランク・ギャンバレ野呂一生に見立てて作った,神保彰の「1人カシオペア」的なソロ・アルバムである。

 『ゲット・アップ!』の真実とは,活動休止中のカシオペア・ファンに捧げられた「カシオペア神保彰」が作ったソロ・アルバム。
 そう。カシオペアとして活動できない鬱憤を『ゲット・アップ!』で憂さ晴らししたソロ・アルバム。

 神保彰のスネアのロールからフランク・ギャンバレの“高速うねうね変態ギター”がリードするキメなんて,もろカシオペアしている。
 神保彰と化した神保彰野呂一生と化したフランク・ギャンバレを前にして,故郷ベネズエラでカシオペアのコピー・バンドを演っていたオトマロ・ルイーズが『FOUR COLORS』では使用しなかったシンセを意図的に取り出し向谷実と化している。凄いぞ!

 『ゲット・アップ!』のハイライトは,エイブラハム・ラボリエルベースである。櫻井哲夫ともナルチョとも異なるエイブラハム・ラボリエルが「カシオペアの三代目のベーシスト」しているのがたまらない!

 ライナーノーツの一節がとても気に入ったので引用させていただくと「ハイウェイを疾走するような都会的な洗練性を感じさせる,神保彰オトマロ・ルイーズフランク・ギャンバレの3人とは違い,泥を跳ね上げながら田んぼの中を駈けずり回るような,馬力と愛嬌を感じさせる」と書かれたエイブラハム・ラボリエルベースが,正しく泥臭さく,ちょっとやそっとじゃ折れそうにない骨太な安定感が後を引いた感じで聴き応えありあり〜。

GET UP!-2 メロディアスでPOPでキメが多いJ−フュージョンを,エイブラハム・ラボリエルオトマロ・ルイーズフランク・ギャンバレの非日本人が演奏すると,カシオペアで言えば,ハービー・メイソン・プロデュースの『EYES OF THE MIND』に近くなることが検証できた。
 神保彰ドラムがリズム・セクションの一部として,スッカスカの開放的なリズムを叩いたのは久しぶりのことであろう。

 神保さんって,カシオペアを一度辞めたはずなのに,ひょっこりとサポートとして出戻ってきたわ,活動休止中なのに「1人カシオペア」を作ってしまうわ…。
 管理人はそんなカシオペア・ラブリーな神保さんが大好きで〜す!

  01. Wicked
  02. Get Up!
  03. Where Are You Calling From?
  04. Fuse
  05. Tokyo Dreamin'
  06. Jin-Jin
  07. Promised
  08. Safari Run
  09. Silk Storm

(エレクトリック・バード/ELECTRIC BIRD 2008年発売/KICJ-531)
(ライナーノーツ/坂本信)

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