MELODY GO ROUND-1 “メロディー・メーカー”安藤まさひろ2ndMELODY GO ROUND』(以下『メロディ・ゴー・ラウンド』)は“スクェアそのまんま”なソロ・アルバムである。

 1stメロディー・ブック』に続く「スクェアの外典」をソロ・アルバムで作り続ける意味はあるのだろうか?
 その答えが【湖の恐竜】にあるように思う。【湖の恐竜】とは則ち【SNOWBIRD】のことである。

 T−スクェアの『NATURAL』収録の【SNOWBIRD】は『NATURAL−U.S.VERSION』にも収録済。つまり公式には3番目の【SNOWBIRD】が【湖の恐竜】なのである。

 【SNOWBIRD】のメロディは美しい。これはギターで弾くから“様になる”名バラードである。
 しかし【SNOWBIRD】が真価を発揮するにはカッティング・ギターがどうしても必要だった。そのことを作者である安藤まさひろが十分心得ているがゆえの再演であろう。
 客演は“あの”山下達郎山下達郎って,実は有名なギター職人なのであ〜る。

 そう。安藤まさひろソロ・アルバムで「スクェアの外典」を作り続ける意味とは「理想とするスクェア・サウンドの追求」なのだと思う。
 言うまでもなくT−スクェアはバンドである。安藤まさひろT−スクェアのリーダーではあるが独裁者ではない。自分の意見が通らないこともあるだろう。例えば【SNOWBIRD】のガス抜きが【湖の恐竜】で形になったのだと思う。

 こう考えると全てがつながる。『メロディ・ゴー・ラウンド』が“スクェアそのまんま”なのは,もしかしたら『NATURAL』用に準備した没テイク? だから『NATURAL』発売の半年後に『メロディ・ゴー・ラウンド』をリリースできた?

MELODY GO ROUND-2 個人的に『メロディ・ゴー・ラウンド』は楽曲が暗いイメージ(いいえ,アダルトなだけでした)。ただし,スクェア恒例の選考会でボツになった理由はアダルト路線のせいではなく,単純にギターソロが長かっただけ!
 『メロディ・ゴー・ラウンド』の功績の1つは,安藤まさひろがこんなにも表情豊かなギタリストであったとは…という「新鮮な驚き」にある。

 “メロディー・メーカー”安藤まさひろは当然ながらギター・メインの曲を書くが,サックスEWIキーボード・メインの曲も書く。
 サックスEWIキーボード・メインの曲ならば,バンドの話し合いで決まったアレンジで妥協することも許せるであろう。
 しかしギター・メインの楽曲で譲るのは「顔で笑って心で泣いて」なのかもしれない…。

  01. Tonight's the night
  02. 三月のライオン
  03. Blackeyed Susan
  04. 湖の恐竜
  05. Mystery
  06. Knock on the door, Look for happiness
  07. Mr. Moon
  08. Cool
  09. 摩天楼の殺人者
  10. Good-bye blue wind

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCL-1545)

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