『渡辺貞夫クインテット2019』! 今回のステージは休憩をはさんで,たっぷり2時間の長丁場。「随の随まで」堪能してまいりました。

 御年85歳の渡辺貞夫。正直,ミス・タッチが目立ったように思う。でも全部で19曲のステージですよ。正確にはメドレーが2曲あったから21曲ですよ。
 管楽器の演奏で2時間。途中で椅子に腰かけることなくアルトサックスを吹き上げる。アルトサックスが小休止の時間帯もタンバリンを叩いている。客席への目配せもたっぷり。曲終わりで両手を広げてバンド・メンバーへの拍手を求める。この体力に精神力。こんなにパワフルな85歳など見たことがない。

 事実,LIVEの進行は全て渡辺貞夫がカウントをとってから曲がスタートする。セットリストの大枠は決まっているように見えた。ツアー用のレパートリーの中から何を演奏するかは,その場の雰囲気で渡辺貞夫が決めていく。
 「おー,この曲が来たのかー」的なコモブチキイチロウの本気の驚きの表情が,筋書きのないLIVE,を実証していた。

 そうしてハイライトはやっぱり渡辺貞夫のあのアルトの音色だった。何ともふくよかで温かくて柔らかいアルトの音色だった。トロットロにとろけてしまった。
 感動してしまった。グッときた。【TEMBEA】でMAXになり【花は咲く】でジーン。泣けてしまったのだ。

 やっぱり自由席は最前列か立ち見だよなぁ。そう。管理人と間〇くんの2ndは立ち見。椅子の座席は9列あった。つまり前から10列目で視界を遮るものは何もない。渡辺貞夫アルトサックスの運指までがバッチリ。立ち見最高!
 「浪漫座」で渡辺貞夫を見るのなら,最前席か最後列! 元々ステージのない「浪漫座」で「渡辺貞夫クインテット」の全体を見渡せたのは管理人ら立ち見客5人だけ。その5人の中で渡辺貞夫の真正面を陣取ったのがセラビーです。「浪漫座」の特等席はプライスレス。

 「裸丸見え状態」の渡辺貞夫の運指を目で追いかけ続けていると,LIVEの途中から今までにない感情に襲われた。
 管理人は渡辺貞夫で育ってきたんだなぁ,を実感した。ジャズならウェザー・リポートマイルス・デイビスフュージョンならカシオペアザ・スクェアで育ってきたと思っていたが,そうではなかった。管理人は渡辺貞夫で育ってきたのだ。

 ジャズフュージョンも,いいや,何を演奏していてもナベサダアルトがあればそれで良し。会場の隅っこでもいい。ナベサダLIVEに後10回は立ち会いたい。

 …って最後に本音を書く。
 同じ値段なら立ち見ではなく最前列で見たかったなぁ。死ぬまでにナベサダサックスから垂れる唾を1度くらいは浴びてみたいと思っている。次回「浪漫座」に参戦する機会があれば午前中から並んでみようかなぁ。あぁ,ナベサダの生音がますます愛おしい!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,ステージ後半のセットリストについても報告しておきます。

2ndセット:
09.A FELLICIDADE 〜 PASSING BY
10.FROM THE HEART
11.FRONT SEAT
12.MY FOOLISH HEART
13.MANHA DE CARNAVAL
14.SANGOMA
15.WHAT SECOND LINE
16.I’M OLD FASHIONED
17.TEMBEA
18.花は咲く

アンコール:
19.CARINHOSO