
それはフルーツケーキはなぜこうも音楽スタイルを変えるのか? 売れているのに急ぎ過ぎではなかったのか?
『FRUITCAKE』から『FRUITCAKE 2』への音楽スタイルの変化が想像以上の激変であって,そしてガックリ来たのだったが『フルーツケーキ 3 サマー・レミニスンス』を聴いた時の衝撃は『FRUITCAKE 2』の衝撃以上!
ズバリ『フルーツケーキ 3 サマー・レミニスンス』の真実とは“シャカタクの二番煎じ”に尽きる。
ついにコーラス隊が入った。サックスも入った。シャッフル・ビートも入った。その結果,フルーツケーキは純粋なフュージョン・バンドではなくなってしまった。アーバンでAORな洋モノ・バンドのコンテンポラリー・サウンドが前面に出てきている。
あぁ,かってのシンプルな美メロ一発の爽やかフュージョン・バンドとしての面影はどこへ消えてしまったのだろう。ライトでポップで耳当たりのよい「不思議の国のBGM」なイマジネーションが感じられない。
フルーツケーキも当時のシャカタクが歩んだように,ヨーロピアンを捨てアメリカンを身にまとったように感じてしまった。そっちに行ったらライバルは五万といるというのに。勿体ないよなぁ。
フルーツケーキがフルーツケーキとしてのアイデンティティを失った『フルーツケーキ 3 サマー・レミニスンス』。その中で管理人が評価したのは【BREAKPOINT 100】【RHYTHM+SHOES】【MELLOW MOVES】の3曲のみ。
この評価軸の中に,管理人が聴き狂ったフルーツケーキの“らしさ”は感じられない。かつてのフルーツケーキを聴きたいと思っていたファンからすると,正直さみしかった。でもそれだけではなく逆の意味でうれしさも感じたことを記憶している。
そう。管理人にとって『フルーツケーキ 3 サマー・レミニスンス』というアルバムは「新生フルーツケーキ」の第一作である。
フルーツケーキが新スタイルで放った射矢が管理人のハートに刺さった意味が大きかった。そもそもシャカタクが好きなんだもん。

なのに,待てど暮らせど『FRUITCAKE 4』は発売されずじまい。
限界の一歩手前で綺麗に身を引いたのが,フルーツケーキが今も“幻のフュージョン・バンド”であり“伝説のフュージョン・バンド”として,酒の席で語られ続ける理由なのであろう。
フルーツケーキは『FRUITCAKE』の1枚だけ聴けば良い。そして『フルーツケーキ 3 サマー・レミニスンス』はシャカタクを一周してから聴けば良い。
01. TRAVELLIN'
02. KEEP IT UP
03. BREAKPOINT 100
04. LITTLE CHAKA
05. PARTLY CLOUDED
06. EVOLUTION
07. RHYTHM+SHOES
08. GIRLS
09. PIT INN
10. MELLOW MOVES
11. DREAM ON
12. HANDS FOR SALE
(ビクター/JVC 1986年発売/NCS-748)
(ライナーノーツ/苦楽健人,熊谷美広)
(ライナーノーツ/苦楽健人,熊谷美広)