X 〜SWIG CON CLAVE〜-1 『勝 腺咤廝稗裡如。達錬痢。達味腺孱邸』は,ウディ・ハーマンカウント・ベイシーグレン・ミラースイング・ジャズの定番曲に焦点を当てた正統派ビッグ・バンドとしての演奏集。

 スイング・ジャズの特長とはソロアドリブというよりアレンジ命。個性溢れる名アレンジャー陣が多数在籍する「熱帯JAZZ楽団」が,どこまで「TROPICAL」できるか?が「名盤か否か」の分かれ目であろう。

 手垢のついた【フォー・ブラザーズ】【ナイト・アンド・デイ】【茶色の小瓶】【ムーンライト・セレナーデ】の定番曲が「TROPICAL」している。予想以上にラテンジャズしていて面白いアレンジである。

 ラテンのリズムの心地良さの上にジャズらしいインプロビゼーションがスパイスされた,でもアンサンブルの醍醐味を楽しめるビッグ・バンドでないと絶対に出せない“味”がある。
 書き譜で演奏しているはずなのに「熱帯JAZZ楽団」を聞いていて受ける印象とは基本「自由」。曲の流れに合わせてメンバーが思い思いに自由にアンサンブルを重ねている印象を受けた。

 『勝 腺咤廝稗裡如。達錬痢。達味腺孱邸』として,スイング・ジャズの定番曲を1枚のアルバムとして聴かせてくれると,今までは曲単位で楽しんでいた「熱帯JAZZ楽団」のバンドとしての「まとまり」を感じるようになった。
 どんな曲調を演奏するにしても,いつでも「TROPICAL」という個性が表に出てしまうように感じる。これまで以上にアルバムに「TROPICAL」な「統一感」が出るようになった。

 だからビッグ・バンドの円熟期のタイミングで,大好きなジンサク時代の【スネークマンズ・シャッフル】を再演してくれたのが宝物!
 『WIND LOVES US』収録の【スネークマンズ・シャッフル】も,ジンサクラテンフュージョン期の大名演であり,神保彰がノリノリでアフロ・キューバンしていた大名演が素晴らしかった。

 だが『勝 腺咤廝稗裡如。達錬痢。達味腺孱邸』収録の【スネークマンズ・シャッフル】はそれ以上の大名演である。その要因こそが,先に書いた「自由」であろう。

X 〜SWIG CON CLAVE〜-2 神保彰のイメージする音をメンバー全員が共有できていない感じがする。全員が自分の思い思いの【スネークマンズ・シャッフル】を演奏している。つまりは微妙な部分が神保彰ドラミングとズレている。

 でもこれだから聴いていて面白いのだ。白にしても真っ白があれば,オフホワイトもあるし,生成りもある。それと同じで【スネークマンズ・シャッフル】の曲としての面白さも,人によっては前半であったり,サビだったり,リズムであったりするものである。

 「熱帯JAZZ楽団」の全員が全員,楽団員の頭の中に興味津々である。どこをどんなテンポでどんな音色で強調してくるのかと,他のメンバーの発する音に耳を傾けながらも,自分なりの譲れない部分を表現している。

 そんな人それぞれの感性を1つの完成形としてまとめ上げるのではなく,みんなが思う【スネークマンズ・シャッフル】の曲としての面白さを全部取り上げ,アクセントとしてバラバラに登場している。それでいて大枠としては全員ズレていないのだから何の問題もない。うん。これってジャズの面白さだよなぁ。 

  01. DINNER WITH FRIENDS
  02. ALBA BLANCA
  03. SNAKEMAN'S SHUFFLE
  04. FOUR BROTHERS
  05. NIGHT AND DAY
  06. LAMENTACION
  07. LITTLE BROWN JUG
  08. LA RUMBA PARA DEBBY 〜Waltz for Debby〜
  09. MOONLIGHT SERENADE
  10. ARRIBA! para los fantasistas
  11. NIGHT AND DAY (Inst.)

(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61355)

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