SAVANNA HOT-LINE-1 アコースティックジャズからエレクトリックジャズへの変化を体験してきた本田竹曠峰厚介村上寛の面々が,フュージョンという新しいジャズにアプローチすると『SAVANNA HOT−LINE』(以下『サヴァンナ・ホット・ライン』)のように仕上がるのだと思う。

 『サヴァンナ・ホット・ライン』のテンションは相変わらずジャズ・ベースである。ただし『サヴァンナ・ホット・ライン』がジャズではなくフュージョンとして聴こえるのは,フュージョン・チックなPOPなテーマをアドリブのネタとしてではなく“本田竹曠のHAPPYな世界観”としてバンド・メンバー全員が寄せてきている。

 そう。『サヴァンナ・ホット・ライン』はジャズ・ベースなのに幸福感で満ちている。本田竹曠キーボードが構図を作り,峰厚介サックスが色彩を付ける。
 両者ともにすでに名の売れたジャズメンとしての名声を得てはいたが「ネイティブ・サン」での活動を通して,表現の幅を広げ奥行きを深めているように思う。

 「ネイティブ・サン」で本田竹曠が追い求めていた世界観が,渡辺貞夫ナベサダフュージョンとクロスする。
 事実「ネイティブ・サン」は本田竹曠渡辺貞夫グループからの独立後,時間を置かずに結成されたフュージョン・バンド。
 渡辺貞夫がブラジルやアフリカ方面であれば,本田竹曠はもっと広範囲をカバーしておりトロピカルなワールド・ミュージック方面へと音楽を推進していく。 

SAVANNA HOT-LINE-2 峰厚介渡辺貞夫ではなくウェイン・ショーターに近い部分の表現が「ネイティブ・サン」がナベサダフュージョンと大きく区別される特徴だと思う。
 それ以外は兄弟バンドのように思える。楽器は異なれど渡辺貞夫本田竹曠エレクトリックジャズで共に感じ,共に考え,共に経験してきた音楽が「8ビートや16ビートの新しいジャズ」という同じフィルターを通ってアウトプットされている。

 『サヴァンナ・ホット・ライン』の全6曲は名曲ばかりである。1曲1曲にドラマティックなストーリー性がある。『サヴァンナ・ホット・ライン』を聴く度に「ネイティブ・サン」に訴求されてしまう。

  01. ANIMAL MARKET
  02. SEXY LADY
  03. SAVANNA HOT-LINE
  04. IN SEARCH OF BEAUTY
  05. AFRICAN FANTASY
  06. FAREWELL, MY LOVE

(ビクター/JVC 1979年発売/VICJ-77017)
(☆UHQCD仕様)
(ライナーノーツ/松下佳男,金澤寿和)

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