CONCERTO-1 研ぎ澄まされ,考え抜かれた音を即興で配置するパーカッション富樫雅彦ピアノ菊地雅章
 発せられる直前まで悩み抜き,磨かれ選び抜かれた音を精妙に配置し合う。音を奏でることは音と音の間を浮き立たせることである。そう言わんとする演奏が多い。

 「J−ジャズ界の雄」にして,日本文化に魅了され日本文化に愛された富樫雅彦ジャズの本場アメリカに魅了されアメリカに愛された菊地雅章
 そんな2人が15年ぶりの再会を果たした『CONCERTO』(以下『コンチェルト』)。15年という微妙な年月が,より一層互いの音に耳を澄まさせ,昂まるテンションを単刀直入に音化させずに,考え抜いた最適な音を最適なタイミングに配置させたのだろう。

 管理人は富樫雅彦菊地雅章の“天才”を,本当は何がどう凄いのか良く分かっていないのだが,分からないなりに唸ってしまう,と言うか唸らされてしまった,という感想である。
 まっ,富樫雅彦菊地雅章デュエットだし『コンチェルト』を聴く前からマニアックなジャズを想像していた。まっ,想像の範囲内の難解ジャズなので,正直,ちょっと安心して聴き通すことができた。

 でも2枚組を聴き通すのは,正直,しんどい。『コンチェルト』は本来は富樫雅彦菊地雅章のプライベート録音で良かったと思う。2人だけの思い出として世に出す必要はなかったと思う。
 それくらいに2人だけの音世界どっぷり。外界のことなど眼中にない内向指向のデュエットである。難解でも聴いていて楽しくなる演奏もあるが『コンチェルト』の厳しすぎるデュエットは聴いていて楽しくなる種類の高度なジャズではない。

 だから『コンチェルト』のコンセプトとしては,2人が納得いくまで上手くいくまでテイクを重ねている感じ。実験の全てが本テイクという感じ。ストイックな演奏が続いているので,途中で意識が飛ぶ感じ。フリージャズの悪弊が記録された感じ。

CONCERTO-2 管理人の結論。『コンチェルト批評

 『コンチェルト』における富樫雅彦パーカッションは,リズムではなくリーダー楽器として音を出している。
 『コンチェルト』を聴いてみて,中和させるベーシスト,リズム・キープのベーシストの有難みをシミジミと感じる…。

  DISC-1
  01. Two In Silence
  02. Walking Step
  03. Pause
  04. Memories
  05. Kid's Nap
  06. All The Things You Are
  07. Misterioso

  DISC-2
  01. Riding Love's Echoes
  02. Relighting
  03. Mezame
  04. Little Eyes
  05. Passing Breeze
  06. Utviklingssang
  07. Unbalance

(日本クラウン/NIPPON CROWN 1991年発売/CRCJ-2005〜2006)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/内田修,清水俊彦)

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