GENERATIONS-1 ゲイリー・バートン小曽根真,そうして「新星」ジュリアン・レジ
 『GENERATIONS』(以下『ジェネレーションズ』)とは,そんな三世代のスター揃い踏みの意味なのであろう。仮にそうでないとしても『ジェネレーションズ』の音造りは3者が均等にリーダーとして機能している。だから『ジェネレーションズ』で良い。

 一般的にヴィヴラフォンピアノギターって,音がぶつかり合って一緒に演奏するのは難しいと思われている。でも『ジェネレーションズ』の名手3人にとっては“おちゃのこさいさい”。すぐにハーモニー&いつでもアンサンブル!
 その意味でジュリアン・レジは凄い。というか個人的には,その意味でだけ,凄い。ジュリアン・レジは過大評価されている。本意人がかわいそうである。

 …で『ジェネレーションズ批評となると,どうしても「ヴィヴラフォンピアノギター」の超一流品「ゲイリー・バートンチック・コリアパット・メセニー」の『ライク・マインズ』と比較してしまうのだが『ライク・マインズ』が“原色キラキラ”ならば『ジェネレーションズ』は“淡いセピア色”である。

 そう。『ジェネレーションズ』を聴いていると,あの良い時代の音がよみがえってくる感じで胸がいっぱいになってしまう。特にゲイリー・バートンヴィヴラフォンが夢見るように美しい。

 「誰とでも最良の音で合わせられる」ことがゲイリー・バートンの凄さなのだが,こと『ジェネレーションズ』では,意識して音を合わせにいかなくてもよい小曽根真ジュリアン・レジとの共演で大いにリラックスして「自分のヴィヴラフォンの世界」に没入している。
 こんなにも“オレオレな”ゲイリー・バートンは久々だし,ここまで前に出るのは珍しい。

GENERATIONS-2 そんなゲイリー・バートンの“オレオレ”の理由こそ「小曽根真 THE TRIO」の存在である。
 いや〜,気持ち良い。伴奏役に回った「小曽根真 THE TRIO」が最強である。とにかく「軽いのに重い」のだ。存在感が薄いような全体のサポート役ながら,絶対になくてはならない重要なポジションを占めている。

 これはゲイリー・バートンさん。ジュリアン・レジの方は「高額な移籍金」でビッグ・クラブへ手放すことがあるとしても,小曽根真だけは「契約の延長に次ぐ延長」で生涯手放すことはしないでしょうねっ。

 ゲイリー・バートンにとっては,レギュラーが小曽根真であり,スペシャルがチック・コリアなのである。

  01. FIRST IMPRESSION
  02. EARLY
  03. GORGEOUS
  04. WHEATLAND
  05. TAKE ANOTHER LOOK
  06. SYNDROME
  07. TEST OF TIME
  08. THE TITLE WILL FELLOW
  09. LADIES IN MERCEDES
  10. HEROES SIN NOMBRE

(コンコード/CONCORD 2004年発売/VICJ-61174)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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