スガダイローの肖像-1 『スガダイローの肖像』を買ったのは『スガダイローの肖像・弐』の後だった。『スガダイローの肖像・弐』が超。お気に入りで,これはと“一匹目のドジョウ?”を狙って買った。

 結果は「…が,しかし」。でも『スガダイローの肖像』を買って良かった。なぜなら『スガダイローの肖像・弐』がもっともっと大好きになったから! 『スガダイローの肖像・弐』の有り難みが増したから!( ← 本当は強がりです )

 そう。“鬼才”スガダイローの腕をもってしても『スガダイローの肖像・弐』のような名盤を作るチャンスは,生涯を作じて1枚か2枚。管理人はスガダイローと同じ時代に生まれた幸運を音楽の神に心から感謝している。

 さて,そんな“期待外れ”の『スガダイローの肖像批評なのだが,実は『スガダイローの肖像』には2曲だけ超・名演が収められている。それが1曲目の【】と2曲目の【キアズマ】である。

 【】の輝きが眩しすぎる。キラキラとエメラルド色に輝いている。これはメルヘン作品である。スガダイローの“お花畑”へようこそいらっしゃ〜いの構図。
 パッションと狂気あふれる“ピアノの花束”の中から,1本1本取り出されては次々と手渡されていく感覚があって,すぐに手元が満杯になってはこぼれ落ちていく〜。

 続く【キアズマ】は“御存知”山下洋輔トリオの衝撃の代表曲。山下洋輔の【キアズマ】も何十回と聴いたが理解できなかったのだが,スガダイローの【キアズマ】も何回聴いても理解不能。ただし,同じ匂いがすることだけは確認できた。いつの日かスガダイローがバカ売れした時,この【キアズマ】について語られる日が来ることだろう。

 しか〜し『スガダイローの肖像』が決定的にダメなのは,イロモノ感とキワモノ感が強いということ。『スガダイローの肖像』の問題は残りの9トラック。これがいけない。要は下品で卑猥でゲスイ。品位がない。
 特に二階堂和美ヴォーカル入りトラックについては,一生涯,もう2度と自分の意志で聴くことはないだろう。

 元来,スガダイローという人はその人物像が危ない。管理人がスガダイローと初めて接した『坂本龍馬の拳銃 −須賀大郎短編集−(上)』と『黒船・ビギニング −須賀大郎短編集−(下)』の2枚が最高に素晴らしかったので,他のアルバムをチェックしていたのだが,そのタイトルとは,やれ『ジャズ・テロリズム』『ジャズ・テロリズム<豪快篇>』『ジャズ無宿』なるものがズラリ。果ては『秘宝感』なるものまであった。

 管理人はMALTAの名言=「その人の人間性が音に出る」の支持者である。管理人の2トップであるキース・ジャレットパット・メセニーもその正しさを証明してくれている。ゆえに上述したアルバムに手を出すことは絶対にしない。たとえ内容が良くてもそんなタイトルが付けられた音楽など聞かなくても良い。後悔しない。
 ダークサイドの音楽などなくても人生は大いに楽しめる。死ぬまでに一度は聞かなければならない優良なジャズ・アルバムが五万とある。人生は短い。限られた時間しか残されていない。

スガダイローの肖像-2 『スガダイローの肖像』の9トラックを聴いて,上記のようなことを考えていたことを思い出した。そして『スガダイローの肖像』を聴いて,やっぱりこんな感想が頭をかすめた。

 スガダイローとは「ハマル人ならとことんハマル」ワールド・クラスのフリージャズピアニストである。でもいつでも,どんな曲でもハマルほど間口は広くない。
 ズバリ,スガダイローの音楽の特徴とは「演者側が聴き手を選ぶ」音楽なのである。

 悪魔の『スガダイローの肖像』と天使の『スガダイローの肖像・弐』。
 管理人はスガダイローに『スガダイローの肖像』で嫌われ『スガダイローの肖像・弐』で愛されたように思う。

 そんな“変態アウトロー野郎”スガダイローに「選ばれし者」となるのはかなり難しい。「本当は好きなのに嫌い」→「本当は嫌いなのに好き」→「本当は好きなのに嫌い」の繰り返しで気持ちが揺れ動く。スガダイローに“入れ込む”加減が実に難しい。

 
01.
02. キアズマ
03. ゲットー
04. 墮天使ロック
05. 蘇る闘争
06. 季節のない街
07. マリアンヌ
08. スカイラーク
09. レイジーボーン
10. 慶応三年十一月十五日
11. リアルブルー

 
DAIRO SUGA : Piano
KAZUMI NIKAIDO : Vocal
TAKASHI MATSUMOTO : Alto Saxophone
NOISE NAKAMURA : Alto Saxophone
YOICHIRO KITA : Trumpet
MASATSUGU HATTORI : Drums

(ポニーキャニオン/PONY CANYON 2011年発売/DLCP-2090)

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