MORE STUDY IN BROWN-1 新たな音楽メディアとしてCDが発売され始めた時代のこと,CDレコードが併売される時代があった。その場合の値段はCDの方が高くて,最初の頃はずっとCDが1枚一律3800円だった。
 音楽業界はCDが「夢のメディア」であることは認めつつも,一斉にCD優先に舵を切ることはせず,CDはまだレコードの補完。主役はLPであってCDLPの「CDバージョン」という感じ。

 だからCDを売るために“おまけ”を付けることになった。この流れから未発表音源とか別テイクとかの「発掘作業」が始まった。
 …出るは,出るは…。管理人はお小遣いの関係でちまちまと集めていたぐらいだが,おじさんジャズ・ファンの多くが,既にLPで所有していた同じアルバムを,高音質+ノイズレス+保管が簡単&別テイク目当てでCDへと買い替えていたことを覚えている。

 …で,ついに本命が出た! 既存のアルバムに1曲か2曲が追加される流れを断ち切る,アルバム1枚丸ごとが「未発表音源集」の発売である。それもすでに存命していないジャズ・ジャイアンツたちの「未発表音源集」の発売である。
 そう。セールスアップのために“おまけ”付きで売り出したCDの発売が,時間を遡ってジャズ・ジャイアンツたちの「擬似ニュー・アルバム」発売へとつながったのだから,真に「棚から牡丹餅」である。

 そんな「未発表音源集」の“本命中の本命”が“天才”クリフォード・ブラウンの『MORE STUDY IN BROWN』(以下『モア・スタディ・イン・ブラウン』)!
 1983年と言う,録音から27年後に“陽の目を見た”『モア・スタディ・イン・ブラウン』の発売は,ウイントンマルサリスの登場と相まって,ジャズ・ファンの間ではちょっとした「事件」だったんだぜぃ,ベイビー!

 『モア・スタディ・イン・ブラウン』とは,名盤STUDY IN BROWN』の続編というわけではない。正確には『STUDY IN BROWN』の別テイクだけでなく『CLIFFORD BROWN=MAX ROACH』『BROWN AND ROACH INCORPORATED』『CLIFFORD BROWN AND MAX ROACH AT BASIN STREET』の別テイクが加えられた全8トラックの「未発表音源集」。

MORE STUDY IN BROWN-2 『モア・スタディ・イン・ブラウン』の発売によって,特に4枚のアルバム音源の混在によって,いよいよクリフォード・ブラウンの“天才”ぶりが明らかになった。

 『モア・スタディ・イン・ブラウン』の演奏は,要するにボツ音源なのだが,お蔵の理由は恐らくやソロの長さだけの問題にすぎない。全てが完璧で,これぞ“正真正銘の別テイク”。
 演奏はどれも完璧であって,トラックによっては『モア・スタディ・イン・ブラウン』収録のトラックの方がオリジナル盤より好きだったりする。単純に編集上の問題で外されただけだという事が理解できるはずである。

 そう。クリフォード・ブラウンの残した音源は,その全てがモダン・ジャズ名演である。その全てがモダン・ジャズの世界遺産なのである。

 
01. I'LL REMEMBER APRIL
02. JUNIOR'S ARRIVAL
03. FLOSSIE LOU
04. MILDAMA
05. JORDU
06. THESE FOOLISH THINGS
07. LANDS END
08. THE BLUES WALK

 
CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
SONNY ROLLINS : Tenor Saxophone
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
RICHIE POWELL : Piano
GEORGE MORROW : Bass

(エマーシー/EMARCY 1983年発売/UCCU-5255)
(ライナーノーツ/皸羶成,児山紀芳)

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