アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:峰 厚介

峰 厚介−菊地 雅章 / DUO4

DUO-1 峰厚介菊地雅章によるデュエット・アルバムが『DUO』(以下『デュオ』)である。

 このデュエットは,峰厚介主導で聴くか? 菊地雅章主導で聴くか? によって印象が随分変わるように思っている。
 管理人は『MAJOR TO MINOR』が気に入ったので,その流れで『デュオ』を聴いた口。なので,何とも口寂しい印象を受けた。

 『デュオ』の基本はメイン・テーマを拠り所として,互いに互いの胸の内を探り合いながらアドリブに興じていくアルバムである。
 ズバリ『デュオ』の聴き所とは,アドリブに到達するまでの“過程を聴く”ことにある。

 全5曲が5曲とも未完成のままで終わっている。どの曲を聴いても今一歩である。盛り上がれそうで盛り上がれていない。正直『MAJOR TO MINOR』でジャズ・サックスの王道を披露した峰厚介の「中途半端」な演奏にガッカリしたことを覚えている。

 峰厚介の不調の原因は「スロー・テンポしごき」にある。静かに始まりそのまま大して盛り上がらずに終了していく。どうにも間延びした時間帯が長すぎる。
 おいおい,こんな約束じゃなかっただろう。峰厚介ジャズ・サックスってこの程度のものだったのか? そう感じてしまったが最後。峰厚介菊地雅章というビッグネーム2人の『デュオ』が「タンスの肥やし」の1枚となった。

 しかし,これがある日突然,ヘビロテとなるのだから人生分からない。その理由は菊地雅章名演にある。
 菊地雅章は管理人のフェイバリットの1人であるが,ある時期,猛烈に菊地雅章に狂っていた時期があって,菊地雅章を追いかけていたら『デュオ』の存在を思い出し,久しぶりに手に取ったらというパターン。
 あら不思議,全然いけるじゃん。…っていうか『デュオ』でのプーさん凄くねぇ?

 ノープランで“盟友”とのデュオに臨んだプーさんピアノが実に興味深い動きを聴かせている。「自然発生的なインプロヴィゼーション」への対応力が最高に素晴らしい。

 管理人は『デュオ』を当初,峰厚介がメインで菊地雅章がサブとして聴いていた。菊地雅章ピアノは終始寡黙であって,ブツブツ言いながらもメロディアスに攻めてくるテナーサックスの受け皿として,常に着地点を探っているように感じていた。

 …がっ,しかし,そうではなかったのだ。菊地雅章ピアノ峰厚介テナーサックスを音楽の中に浮かせているし,書き譜のテーマの中に飛ばしている。
 テナーサックスの落下点に先回りしていたのではなく,テナーサックスの起点をピアノが先回りして準備している。

DUO-2 菊地雅章アドリブを受けて峰厚介がジャンプしている。ただし,どこにどのように飛ぶかは峰厚介に任されている。
 菊地雅章からのお題が絶妙すぎて,峰厚介に頭の中には選択肢が何通りも浮かぶのだろう。どう飛び上がるかに迷っている節がある。だから反応が遅れて口寂しくなる。『デュオ』の構図は,この繰り返しの図式で間違いない。

 ジャズとは本来,頭とか知識とかではなく,感性とか経験とかで反応する音楽である。しかし,共演者にここまで胸の内を読まれてしまってはどうしようもない。菊地雅章の「スロー・テンポ」なライン取りに,たじたじの峰厚介は「一介のテナーマン」。前に押し出されているだけで,頭の中は終始混乱しっぱなしのようでして…。

 峰厚介さん,10年後にまた“恩師”プーさんの胸を借りましょう。今回の『デュオ』では,相手が一枚上手でした。

  01. MR.MONSTER
  02. DJANGO
  03. LITTLE ABI
  04. I REMEMBER GOKO
  05. REMEMBER

(ヴァーヴ/VERVE 1994年発売/POCJ-1240)
(ライナーノーツ/清水俊彦)

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峰 厚介 クインテット / メイジャー・トゥ・マイナー4

MAJOR TO MINOR-1 管理人にとって峰厚介とは,長らくネイティブ・サン峰厚介であった。ネイティブ・サン峰厚介は確かにジャズ・サックス“ぽかった”。結構ハードボイルド・タッチで鳴らしていたもん。

 ネイティブ・サン以前の峰厚介を聴いたことはなかった。ゆえに峰厚介フュージョン・サックスのイメージのままソロ名義作(正確には峰厚介クインテット名義)を初めて聴いた。
 『MAJOR TO MINOR』(以下『メイジャー・トゥ・マイナー』)を聴いた時の衝撃たるや。なんじゃこれ〜!であった。

 か〜,なになにライナーノーツを読むと『メイジャー・トゥ・マイナー』は峰厚介17年振りのリーダー作。
 そうかっ,時間が経って演奏スタイルが変化したんだ。最初はそう思った。しかし十数回聴き込むにつれ違う感情が頭をもたげてきた。そうしてついに確信した“ジャズメン”峰厚介

 そう。『メイジャー・トゥ・マイナー』によって,管理人の峰厚介のイメージが変化した。そして峰厚介個人だけでなくネイティブ・サンのイメージまでもが変化した。90°?
 ネイティブ・サンの生命線=【SUPER SAFARI】がもはや軽快には聴こえない。ビートはハネ系のカクテル・フュージョンそのものだが,スリリングなエレクトリック・ジャズを聴いているような気分になってしまうのだ。恐るべし,峰厚介本田竹廣

 まっ,個人的にはネイティブ・サン峰厚介本田竹廣の関係性はウェザー・リポートウェイン・ショータージョー・ザビヌルの関係性に当てはまる。本田竹廣が線を描いて峰厚介が色を付ける関係性。
 だ・か・らネイティブ・サン時代の峰厚介は“和製ウェイン・ショーター”であった。しかし『メイジャー・トゥ・マイナー』に聴く峰厚介は“和製ソニー・ロリンズ”であった。

 こう書けば伝わる? 最初からこう書き出せばよかった? ウェイン・ショーターからソニー・ロリンズへの変化はテナー・サックスの魅力を堪能できる豪快さ! 「男の中の男=峰厚介」参上!
 しかし,この17年間で変化したのは峰厚介サックス奏法ではない。峰厚介の“ジャズ・フィーリング”の変化だと思う。

 本田竹廣が線を描いて峰厚介が色を付けるネイティブ・サンでの関係性が終了し,ソロとなりバンド・リーダーとなった峰厚介は「線も書くし色も付ける」。線引き作業を兼ねるようになった峰厚介の引く線は「野太い」。ソニー・ロリンズのようなスケールのデカイ構造物を書くようになった。
 逆に言えば,峰厚介は『メイジャー・トゥ・マイナー』で,ネイティブ・サンから続いていた「色付け」作業をやめてしまったように思えてならない。

MAJOR TO MINOR-2 峰厚介クインテットでの「色付け担当」は,秋山一将ギターであり,大口純一郎ピアノである。
 峰厚介クインテットにおける峰厚介の担当はひたすら基本線。王道から右にも左もそれることなく“悠悠自適”にテナー・サックスを吹きまくっている。もはやバックの音や全体のバランスは二の次だとでも言わんばかりにテナー・サックスアドリブに心を割いている。

 ジャズから出発し,フュージョンで活躍し,ジャズに傾倒する峰厚介。その転換点としての『メイジャー・トゥ・マイナー』。
 やっぱり,人には歴史があるんだな。無駄な経験なんてないんだな。今の一日一日が未来の自分を作っていくんだな。

PS 『MAJOR TO MINOR』は,スイングジャーナル主催/ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】を,大西順子の『WOW』と分け合う名盤なのですが,大西順子好きというただそれだけの理由で心情的に『WOW』と同格扱いはできません。『WOW』より格下の星4つとさせていただきました。あしからず。

  01. MAJOR TO MINOR
  02. MORNING AFTER
  03. LAST SHOT
  04. SASUKE
  05. CHANGA
  06. I REMEMBER GOKO

(ヴァーヴ/VERVE 1993年発売/POCJ-1195)
(ライナーノーツ/児山紀芳,渋谷毅)
★1993年度(第27回)ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】受賞

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