アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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CD批評:林 栄一

林 栄一 / モナ・リザ4

MONA LISA-1 林栄一ジャズスタンダード集である『MONA LISA』(以下『モナ・リザ』)は,大多数のジャズ・ファンにとって極上のアルバムである。

 余計な装飾を排除したストレートなアレンジと相まって,林栄一が丁寧にのジャズスタンダードを吹き上げている。林栄一が“歌”を歌うことに集中している。
 内容の濃い,それでいてべたつきのない,さらりとしたアルトサックス特有の趣きは『モナ・リザ』でしか楽しむことができないものだろう。

 しかし,フリージャズの第一人者の視点から,あるいは林栄一のファンの視点から見ると『モナ・リザ』は失敗作ということになるだろう。
 なぜなら林栄一の本当の良さが全く感じられない。林栄一とは,のほほんとメロディーを噛みしめながら吹くサックス奏者ではない。美メロに溺れるタイプのサックス奏者ではない。

 全ての元凶はプロデューサーの山下洋輔にある。聞けば『モナ・リザ』は,林栄一ジャズスタンダードを聴きたいという,山下洋輔のたっての個人的希望が「鶴の一声」となって制作されたという。

 林栄一にとって山下洋輔は“恩人”である。断ることなどできないし,もしや自分中の知らない引き出しを開けられるのではという淡い期待のようなものもあったかもしれない。
 全体のサウンド・メイクも林栄一アルトサックスは斜に構えた位置に置かれている。ハッキリ書けば加藤崇之ギターの方が目立っている。

MONA LISA-2 それでも『モナ・リザ』は,大多数のジャズ・ファンにとって極上のアルバムであろうし,林栄一にとっても代表作の1枚となったのだから,こうした世間の高評価を疑問視するレヴューなどゴミであろう。

 でもそれでも今回は書かないわけにはいけないのだ。林栄一のフォロワーを公言する管理人としては『モナ・リザ』を認めるわけにはいかない。『モナ・リザ』が林栄一の代表作と語られることに嫌悪感を覚えてしまうし,いつだって反論したくなる衝動を必死で抑えてきた。

 とにかく『モナ・リザ』が「愚の骨頂」。それは林栄一アルトサックスに音の表情がないことである。『モナ・リザ』での林栄一は「のっぺらぼう」。
 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』が無表情であるのと同じように…。

 
01. MONA LISA
02. WALKING SHOES
03. SOME OTHER SPRING
04. IF YOU COULD SEE ME NOW
05. ALL OF ME
06. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
07. I REMEMBER YOU
08. MY BLUE HEAVEN
09. SOUTH OF THE BORDER
10. I'M A FOOL TO WANT YOU
11. IN A SENTIMENTAL MOOD
12. LINE FOR LYONS
13. TEA FOR TWO
14. SMOKE GETS IN YOUR EYES
15. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?

 
EIICHI HAYASHI : Alto Saxophone
TAKAYUKI KATOH : Guitar
NORIKATSU KOREYASU : Bass
AKIRA SOTOYAMA : Drums
YOSUKE YAMASHITA : Piano

(オーマガトキ/OMAGATOKI 1997年発売/OMCZ-1014)
(ライナーノーツ/山下洋輔,村上寛)

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林 栄一,中尾 勘二,関島 岳郎 / フォトン3

PHOTON-1 管理人が林栄一アルトサックスに興味を持ったのは大西順子の影響である。
 大西順子大好き管理人としては林栄一のバンドに大西順子がサイドメンとして参加を志願したとか,大西順子自ら林栄一の自宅へ教えを請いに通ったとかいうエピソードを聴くと,林栄一を聴かないわけにはいかない。

 事実,大西順子の『PIANO QUINTET SUITE』で共演した林栄一の熱演を聴かされれば,上記エピソードの真実味が増すというものである。

 …で,管理人がチョイスした林栄一ソロ・アルバムが『PHOTON』(以下『フォトン』)である。
 正確には『フォトン』は林栄一のリーダー・アルバムではなく,ソプラノサックス中尾勘二チューバ関島岳郎との共作である。

 どうですか! この山下清ばりの妖しげなジャケット写真に喰いついてしまった。ピニストベーシストドラマーもいない編成で林栄一フリーがどう演奏されるのか聴いてみたい! これが『フォトン』の購入理由である。

 管理人の狙い通り『フォトン』は「超アナーキー」なアルバムであった。演奏が3人だけなので多重録音で様々なパートが重ねられているが,基本的にシンプルなアレンジが施されており,力の抜けた楽器の生音が加工されずに,剥き出しで放り込まれた生々しさがある。

PHOTON-2 うーむ。淡々と演奏が進行しては終わっていく。物悲しい雰囲気のメロディーが素朴に響いていく。これが大西順子が憧れた林栄一の音楽なのだろうか…。

 即興のない退屈な音楽である。『PIANO QUINTET SUITE』で主役を張った林栄一は『フォトン』の中にはいない。まるで別人のようである。
 本当の林栄一を探す意欲を失くしてしまった。そのうちに,いつか自然体で出会える日を待つことにしようと思う…。

  01. オーバー・チューン〜ニキシのまだ来ない朝
  02. 1の知らせ
  03. こぶしの踊り(光る人)
  04. 「TATSUYA」より
  05. 反射する道
  06. Em
  07. ハルマゲドン
  08. アジールのマーチ
  09. 耕す者への祈り
  10. ナーダム

(オフノート/OFF NOTE 1999年発売/ON-30)
(ライナーノーツ/神谷一義)

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