
『TRICK』でついに熊谷徳明がTRIXの“手の内”を明かした。
そう。熊谷徳明が新ギタリスト=菰口雄矢と新キーボード・プレイヤー=AYAKIの持てる才能をついに解禁。優秀な若手の蛇口を捻ってみせた最高のアルバムだと思う。
『TRICK』でのTRIXの“切り札”は菰口雄矢であり“JOKER”はAYAKIである。
菰口雄矢とAYAKIの『TRICK』は,まるでトリックのような演奏面での華麗なるテクニックではない。菰口雄矢作曲の【FUDGE】とAYAKI作曲の【BLUESY FACTORY】!
そう。【春爛漫】以来,鳴りを潜めていた管理人待望のキラー・チューンの誕生は熊谷徳明の作曲ではなかったという事実! これが最高に気に入った!
菰口雄矢とAYAKIがTRIXというバンドの個性に寄せてきたがゆえの名曲誕生なのだったと思う。
これまで菰口くんとAYAKIくんに,冷たく当たってきた管理人は『TRICK』で猛反省。
TRIX加入前から次世代のエース格として人気者だった菰口雄矢とバークリー首席卒業のAYAKIが,ついにバンド・サウンドの枠内で持てる実力を発揮してきた。ただそれだけのこと。
菰口雄矢とAYAKIをフィーチャーした音楽性の変化を表現するためには,まずは熊谷徳明と須藤満に「TRIXの新境地」を受け入れる度量の大きさが求められる。
とは言えサウンド面での“若返り”は,新ギタリスト,新キーボード・プレイヤーとして彼ら2人を選んだ時点で期待と覚悟は整っている?
そんな“菰口雄矢&AYAKI推し”の『TRICK』だが『STYLE』クラスの名盤と成り得なかったのは,熊谷徳明&須藤満の年長組が,菰口雄矢とAYAKIの年少組のイメージにまで追いつけてはいないこと。覚悟を決めることはできてもイマージネーション豊かな表現方法までは共有できてはいないこと。
なんだか第三期TRIXってジャニーズのV6のカミセンとトニセンが合体した感じに思えます。

それは菰口雄矢の立ち位置なのだが,菰口雄矢ってバンドマンというよりはゲストっぽくない? 雇われっぽくない? だから時間をかけたら何とかなるには疑問が残る。
まっ,そのバンドとしての「カッチリ感」が薄いだけで,完成した『TRICK』が快作なのだから喜ぶだけですかっ!
管理人の結論。『TRICK』批評。
『TRICK』は,おバカPOPフュージョンから洋楽プログレッシブ・フュージョンへの転換作である。言い換えるなら平井武士シフトから菰口雄矢シフトへの転換作である。
硬派フュージョン・TRIX! イェイ!
01. FLASH
02. Jawa Jawa
03. ビンゴッ!!
04. Fudge
05. Sincerely
06. Trick or Treat
07. Bluesy Factory
08. Out Of Cry
09. ピュッピュッテレパシー
10. Clover
(キングレコード/KING RECORD 2014年発売/KICJ-675)