アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ゲイリー・バートン

ゲイリー・バートン / グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ4

FOR HAMP, RED, BAGS, AND CAL-1 『FOR HAMP,RED,BAGS,AND CAL』(以下『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』)は,ゲイリー・バートンが4人のヴィブラフォン奏者へ捧げたトリビュート・アルバムであるが,そんな知識は抜きにしてテイストとしては有名ジャズスタンダード集そのものである。

 ゲイリー・バートンのアルバムは,そのどれもが“一癖も二癖もある”聞き応えのある名盤ばかり。本命はチック・コリアとのデュエットなのだが『CRYSTAL SILENCE』『DUET』『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』はパワーを奪われる。聴いているだけでもエネルギーを消耗する。

 だから日常的にゲイリー・バートンを聞くことはないのだが『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』だけは,なんだかんだでつい聞いてしまう。まったりした感じでくつろいで楽しめる。
 個人的にはゲイリー・バートンの中で一番聞いた回数が多いのが『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』だと思う。

 そんな“癒し系”の『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』なのだが,演奏の厳しさを排除して,適当に聞き流せるリラックスした音造りはゲイリー・バートンの狙い通りとして,もう1つ,ゲイリー・バートンが狙ったのはオマージュした4人のヴィブラフォン奏者,ライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの個性的な雰囲気の再現にある。

 選曲にしてもライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの代表曲が選ばれているし,レッド・ノーヴォへのオマージュ曲ならドラムレスでギター入りといった編成にもこだわっている。アレンジも崩しすぎることはなく,4人の偉人の演奏イメージに自らを重ねた演奏にゲイリー・バートンオマージュが感じられる。

 ゲイリー・バートンの偉人への深い敬意が共演者にも伝わっているのだろう。マルグリュー・ミラー小曽根真ダニーロ・ペレスラッセル・マローンクリスチャン・マクドナルドジョン・パティトゥッチホラシオ・ヘルナンデスルイス・ナッシュルイス・クインテーロのビッグネーム軍団も,自分を捨てて楽曲の良さを引き出す演奏に徹している。

FOR HAMP, RED, BAGS, AND CAL-2 ゲイリー・バートン自身も「黒子」を演じているのだが,共演者たちはさらに「黒子の黒子」を演じている。
 だから本当はスタイルの異なる4人の偉人たちのヴィブラフォンゲイリー・バートンヴィブラフォンに昇華され,個性の違う楽曲が違和感なくまとめられている。
 ゲイリー・バートンクリスタルなカラーに温かみが加味された,柔らかなヴィブラフォンが美しく響いている。素晴らしい。

 きっと管理人が『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』を繰り返し聴いてしまう理由がそこにあるのだろう。この辺のニュアンスは文章で書き表わすのは,伝えたいのに伝えきれない。

 『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』の主役はゲイリー・バートンではない。ライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの再ブレイク作として聴き続けられるべき名盤だと思う。

 
01. AFRO BLUE
02. BAGS' GROOVE
03. MOVE
04. MIDNIGHT SUN
05. FLYING HOME
06. DJANGO
07. BACK HOME AGAIN IN INDIANA
08. BODY AND SOUL
09. GODCHILD
10. JOAO
11. HOLE IN THE WALL
12. DANCE OF THE OCTOPUS

 
GARY BURTON : Vibraphone, Xylophone, Marimba
MULGREW MILLER : Piano
MAKOTO OZONE : Piano
DANILO PEREZ : Piano
RUSSELL MALONE : Guitar
CHRISTIAN McBRIDE : Bass
JOHN PATITUCCI : Bass
HORACIO HERNANDEZ : Drums
LEWIS NASH : Drums
LUIS QUINTERO : Percussion

(コンコード/CONCORD 2001年発売/VICJ-60733)
(ライナーノーツ/ニール・テッセール,小川隆夫)

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ゲイリー・バートン・クインテット・ウィズ・エバーハルト・ウェバー / リング3

RING-1 純粋にゲイリー・バートンが好きだし,ECMも好きだし,パット・メセニーが大好き!
 しかし『RING』(以下『リング』)については評価しない。ゲイリー・バートンの“らしさ”が感じられないし,パット・メセニーの“らしさ”が感じられない。唯一,ECMの“らしさ”だけはガンガン来る。

 そう。『リング』を聴いて感じるのは,この時点ではヘボイ,パット・メセニーに着目したマンフレート・アイヒャーの選眼力である。よくぞ,こんな状態のパット・メセニーにリーダー作を録音させたものだ。アッパレ,マンフレート・アイヒャー

 お前は本当にパット・メセニー・ファンなのか?と叩かれようとも『リング』でのパット・メセニーの演奏はひどい。ちょい役もちょい役としての淡々とした演奏である。
 ゲイリー・バートンとしても,パット・メセニーへの期待は高くなかった。パット・メセニーの述べた「ゲイリー・バートンさんのファンです」の言葉とゲイリー・バートンの曲を暗譜で弾けた事実だけでレコーディングに参加させた,それだけのこと。
 ゆえにパット・メセニーをコンプリートする気がないのであればメセニーファンであってもスルーして構わない,と断言しよう。

 そもそも『リング』とは,ゲイリー・バートンエバーハルト・ウエーバーとの共演企画盤。
 ヴィブラフォンベースだけでは難しいから,当時のゲイリー・バートン・グループも全員参加させることにしよう。そうなるとベーシストエバーハルト・ウエーバースティーブ・スワローのツイン・ベースになるから,バランスを取る意味でギタリストも2人にしよう。だからミック・グッドリックともう1人を起用しよう。ミック・グッドリックは曲も書けるし,グループの看板ギタリストとして外せない。だからもう1人は無名の新人ギタリストを起用しよう,的な流れの中でパット・メセニーの参加が決定した!?

 だから,そんなポンコツ・メセニーのサイド・ギターに着目したマンフレート・アイヒャーが凄いのだ。
 もしもマンフレート・アイヒャーパット・メセニーの才能を見逃しソロ・アルバムを録音させることがなかったなら,現在のパット・メセニーはいなかったかもしれない。そうなれば現在のジャズフュージョン・シーンも今とは全く違った様相を見せていたはずである。

RING-2 『リング』を聴き終わって感じる,圧倒的なECMの世界観。ゲイリー・バートンがアメリカではなくヨーロッパのジャズを演奏するとこうなる,の図式。

 すでに『リング』の時点でマンフレート・アイヒャーの頭の中には,ゲイリー・バートンチック・コリアデュエットがあったのかもしれない。パット・メセニーソロパット・メセニー・グループのイメージがあったのかもしれない。

 とにかく『リング』は,これまでのゲイリー・バートン・グループの音ではない。ジャズ・ロックを駆け抜けてきたゲイリー・バートンフュージョン寄りな作風に亜流の違和感を感じる。
 ゲイリー・バートンが内向きである。そして歯切れが悪い。なのでフワフワとした浮遊感ある音が流れ続けている。

 もしやこれがECMレーベルの大勢のジャズメンから尊敬されるエバーハルト・ウエーバーの効果なのでしょうか?

 
01. Mevlevia
02. Unfinished Sympathy
03. Tunnel Of Love
04. Intrude
05. Silent Spring
06. The Colours Of Chloe

 
GARY BURTON : Vibraphone
MICK GOODRICK : Guitar
PAT METHENY : Guitar, Electric 12-String Guitar
STEVE SWALLOW : Bass
BOB MOSES : Percussion
EBERHARD WEBER : Bass

(ECM/ECM 1974年発売/J25J-20323)
(ライナーノーツ/黒田恭一)

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ゲイリー・バートン / グッド・ヴァイブス4

GOOD VIBES-1 ゲイリー・バートンが“ジャズ・ロックの旗手”として,R&B系の猛者たちとの「異種格闘技」セッションの記録が『GOOD VIBES』(以下『グッド・ヴァイブス』)である。

 ゲイリー・バートンが『グッド・ヴァイブス』で対峙したR&B系の猛者たちとは,後のスタッフのメンバーであるエリック・ゲイルリチャード・ティーである。共に最前線で活躍してきたゲイリー・バートンスタッフであるが,R&B系のスタッフジャズフュージョン界に進出してきた後であっても,流石に共演の縁まではなかった。
 『グッド・ヴァイブス』での「異種格闘技」セッションは,ゲイリー・バートン・ファンにとってもスタッフ・ファンにとっても,歴史的に超貴重なアーカイブなのである。

 では『グッド・ヴァイブス』の何がそこまで貴重なのか? その答えはゲイリー・バートン自身も『グッド・ヴァイブス』以外の録音で使用した例のない電気ヴィブラフォンの“歪み”にある。
 尤も『グッド・ヴァイブス』で使用したと書くよりも,その中の1曲【ヴィブラフィンガー】で試験的に試したにすぎない。

 電気ヴィブラフォンとは廃盤になった珍しい楽器であって,あの“歪み”は完全にエレキギターのチョーキングである。
 管理人の頭の中の妄想では,長髪のゲイリー・バートンが「ショルキー」をしょってロック・ギターばりにチョーキングしている図。時には電気ヴィブラフォンが古いシンセサイザーのようにも聴こえるから,次の図面はゲイリー・バートンが1人で,スタッフの2人を相手にチョーキングしている図。

 ではその電気ヴィブラフォンゲイリー・バートンが多用しているかと言えばそうでもない。結果として『グッド・ヴァイブス』は超貴重なアーカイブになったのだが,ゲイリー・バートンとしてはエリック・ゲイルリチャード・ティーとの「異種格闘技」セッションは,ごく自然な流れの中にある。

 当時のゲイリー・バートンのレギュラー・グループのギタリストサム・ブラウンジュリー・ハーンというカントリー調やゴスペル調のギタリストが加入した,多様な音楽に富んだ時期に差し掛かっていた。
 これがラリー・コリエルのままであったなら「音楽的な発想」としてエリック・ゲイルリチャード・ティーとの共演は実現しなかったと思うし,ラリー・コリエルのままであったならラリー・コリエルの音色と被る電気ヴィブラフォンを使用することもなかったと思う。全てが偶然にして必然の“巡り会わせ”で誕生したアーカイブ・アルバムなのだと思う。

GOOD VIBES-2 ただし『グッド・ヴァイブス』が真にアーカイブ・アルバムと称される所以とは,当然ながら「楽曲の良さと演奏の良さ」が光ればこそ!
 ゲイリー・バートンが電気ヴィブラフォンを使用したのも,全ては「新しいジャズ」サウンドを追い求めてのことである。ゲイリー・バートンにとっての「異種格闘技」セッションとは「音楽的な実験」の機会でしかなかった。勝つか負けるかなど,そんな次元に低いセッションではない。

 『グッド・ヴァイブス』でのゲイリー・バートンは,電気ヴィブラフォンだけでなく通常のヴィブラフォン演奏までもがカッコイイ。
 ロックな8ビートの曲やブルージーでファンキーな楽曲が録音されているが,ジャズ・ロックのノリもこなれてきており,演奏よりもメロディー・ラインに注意が向けられる。
 個人的には意外にもゲイリー・バートンが弾くオルガンに耳ダンボ。流石はヴィブラフォン奏者にして元ピアニストの弾く「打楽器」のオルガンである。

 
01. VIBRAFINGER
02. LAS VEGAS TANGO
03. BOSTON MARATHON
04. PAIN IN MY HEART
05. LEROY THE MAGICIAN
06. I NEVER LOVED A MAN (THE WAY I LOVE YOU)

 
GARY BURTON : Vibes, Electric Vibes, Piano, Organ
SAM BROWN : Guitar
JERRY HAHN : Guitar
ERIC GALE : Guitar
RICHARD TEE : Piano, Organ
STEVE SWALLOW : Bass, Electric Bass
CHUCK RAINEY : Electric Bass
BILL LAVORGNA : Drums
BERNARD PURDIE : Drums, Percussion

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1970年発売/WPCR-27084)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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ゲイリー・バートン&パット・メセニー / クァルテット・ライヴ4

QUARTET LIVE-1 全員がレジェンドでマスターの集まりである“実力派だからここまでできる”軽いセッション・アルバム『LIKE MINDS』とは全く違う,ゲイリー・バートンパット・メセニーの続編が『QUARTET LIVE』(以下『クァルテット・ライヴ』)。

 『LIKE MINDS』とは何が違うかって? それこそパット・メセニーの立ち位置である。『LIKE MINDS』では前へ前へと,俺が俺がと,周りの大人たちに認められて?主役を務めたパット・メセニーが見事に「一介のバンドマン」を務めている。

 そう。『クァルテット・ライヴ』の主役はあくまでもゲイリー・バートンであり,パット・メセニーはサイドメンとして,得意とするライブ演奏にも関わらず「抑え目のギター」を弾いている。
 その意味でも100%“パット・メセニー印”であった『REUNION』とも違っている。うん。渋いぞ,メセニー〜!

 選曲を見渡す限り『クァルテット・ライヴ』の趣旨としては,何か新しいメロディーを産み出そう,ということではなく,昔の名曲を現代風にアレンジして「ねっ,いい音楽でしょ?」と再評価を促す感じ?
 それくらいにパット・メセニーギター・プレイはゲイリー・バートンの独特の世界観に今以って尊敬の念を抱いている感じ?

 長らく「芸術指向」に走っていたパット・メセニーとしては,一番演奏しているのが楽しかったあの頃のゲイリー・バートンの胸を借りて「原点回帰」でリフレッシュする意味合いもあったと思う。
 ゲイリー・バートンの名曲を演奏することで,過去の失われた自分を取り戻す作業だったように思う。

 それくらいに『クァルテット・ライヴ』前のパット・メセニーは疲れていたと思う。休むのではなく走りながらの“癒し”が必要な時期だったと,長年のメセニー・ファンとしては感じていた。

 そ・こ・で・ゲイリー・バートン師匠のお出ましである。ゲイリー・バートンヴィブラフォンは本当にCOOLでHOT! 表面的には静かなのに内面では熱く燃え上がっている!
 そう。高度な楽曲とアンサンブルで演者をも魅了する,ゲイリー・バートン・グループで演奏する行為こそが『THE WAY UP』後,燃え尽きて迷走しかけていたパット・メセニーにとって“最良の特効薬”となったと思う。

QUARTET LIVE-2 『クァルテット・ライヴ』で,ゲイリー・バートンの繊細なヴィブラフォンに,エモーショナルかつ表情豊かな「抑え目のギター」で絡み続けるパット・メセニーに“完全復活”を感じた自分が今となっては懐かしい。

 1974〜1976年でのゲイリー・バートン・グループでの3枚のレコーディング。独立から14年後,1990年の『REUNION』〜1998年の『LIKE MINDS』と来て,2009年の『クァルテット・ライヴ』で3度目のリユニオンを果たしたゲイリー・バートンパット・メセニーの名コンビ。

 『クァルテット・ライヴ』から約10年。そろそろ4度目のリユニオンの時期でしょうか?

  01. Sea Journey
  02. Olhos de Gato
  03. Falling Grace
  04. Coral
  05. Walter L
  06. B and G (Midwestern Night's Dream)
  07. Missouri Uncompromised
  08. Fleurette Africaine (Little African Flower)
  09. Hullo, Bolinas
  10. Syndrome
  11. Question and Answer

(コンコード/CONCORD 2009年発売/UCCO-1075)
(ライナーノーツ/ゲイリー・バートン,パット・メセニー,スティーヴ・スワロウ,アントニオ・サンチェス,成田正)

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ゲイリー・バートン / ジェネレーションズ5

GENERATIONS-1 ゲイリー・バートン小曽根真,そうして「新星」ジュリアン・レジ
 『GENERATIONS』(以下『ジェネレーションズ』)とは,そんな三世代のスター揃い踏みの意味なのであろう。仮にそうでないとしても『ジェネレーションズ』の音造りは3者が均等にリーダーとして機能している。だから『ジェネレーションズ』で良い。

 一般的にヴィヴラフォンピアノギターって,音がぶつかり合って一緒に演奏するのは難しいと思われている。でも『ジェネレーションズ』の名手3人にとっては“おちゃのこさいさい”。すぐにハーモニー&いつでもアンサンブル!
 その意味でジュリアン・レジは凄い。というか個人的には,その意味でだけ,凄い。ジュリアン・レジは過大評価されている。本意人がかわいそうである。

 …で『ジェネレーションズ批評となると,どうしても「ヴィヴラフォンピアノギター」の超一流品「ゲイリー・バートンチック・コリアパット・メセニー」の『ライク・マインズ』と比較してしまうのだが『ライク・マインズ』が“原色キラキラ”ならば『ジェネレーションズ』は“淡いセピア色”である。

 そう。『ジェネレーションズ』を聴いていると,あの良い時代の音がよみがえってくる感じで胸がいっぱいになってしまう。特にゲイリー・バートンヴィヴラフォンが夢見るように美しい。

 「誰とでも最良の音で合わせられる」ことがゲイリー・バートンの凄さなのだが,こと『ジェネレーションズ』では,意識して音を合わせにいかなくてもよい小曽根真ジュリアン・レジとの共演で大いにリラックスして「自分のヴィヴラフォンの世界」に没入している。
 こんなにも“オレオレな”ゲイリー・バートンは久々だし,ここまで前に出るのは珍しい。

GENERATIONS-2 そんなゲイリー・バートンの“オレオレ”の理由こそ「小曽根真 THE TRIO」の存在である。
 いや〜,気持ち良い。伴奏役に回った「小曽根真 THE TRIO」が最強である。とにかく「軽いのに重い」のだ。存在感が薄いような全体のサポート役ながら,絶対になくてはならない重要なポジションを占めている。

 これはゲイリー・バートンさん。ジュリアン・レジの方は「高額な移籍金」でビッグ・クラブへ手放すことがあるとしても,小曽根真だけは「契約の延長に次ぐ延長」で生涯手放すことはしないでしょうねっ。

 ゲイリー・バートンにとっては,レギュラーが小曽根真であり,スペシャルがチック・コリアなのである。

  01. FIRST IMPRESSION
  02. EARLY
  03. GORGEOUS
  04. WHEATLAND
  05. TAKE ANOTHER LOOK
  06. SYNDROME
  07. TEST OF TIME
  08. THE TITLE WILL FELLOW
  09. LADIES IN MERCEDES
  10. HEROES SIN NOMBRE

(コンコード/CONCORD 2004年発売/VICJ-61174)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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ゲイリー・バートン・ウィズ・チック・コリア/パット・メセニー/ロイ・ヘインズ/デイヴ・ホランド / ライク・マインズ5

LIKE MINDS-1 管理人がパット・メセニー・フリークだからなのだろう。オールスター・セッションの『LIKE MINDS』(以下『ライク・マインズ』)をして,これぞ,パット・メセニーを聴くためのアルバムだと感じてしまう。

 勿論,リーダーであるゲイリー・バートンヴィヴラフォンが目立っている。いいや,このレジェンド5人組の中でも最高位はチック・コリアである。チック・コリアのあの個性的なピアノが鳴り響いている。
 フロントの黄金のトライアングルを向こうに回して,老練なデイヴ・ホランドベースがいい仕事をしているし,ロイ・ヘインズドラミングがただただ素晴らしい。『ライク・マインズ』がここまでエキサイティングしているのは多分にロイ・ヘインズのおかげである。

 でもそれでも『ライク・マインズ』を聴いているとパット・メセニーギターだけが突出して聴こえてしまう。
 ヴィヴラフォンピアノベースドラムが息の合ったインタープレイを繰り広げている音場にギターが加わった瞬間,他の4つの楽器のボリュームが下がる感覚がある。

 管理人は考えた。パット・メセニーギターばかりが目立ってしまう『ライク・マインズ』の音造りの失敗は,全員が主役を張れる「ビッグネームあるある」にある。

 ゲイリー・バートンチック・コリアは「伝統芸能」デュオパット・メセニーゲイリー・バートン・バンド出身者。チック・コリアデイヴ・ホランドマイルス・デイビスのバンドの同僚にして「サークル」の結成メンバー。ロイ・ヘインズチック・コリアピアノ・トリオのメンバー。デイヴ・ホランドロイ・ヘインズパット・メセニーギター・トリオのメンバー。

 聴けば『ライク・マインズ』の10トラック中6トラックがファースト・テイクで残りの4トラックもセカンド・テイクで録り終えたそうだ。これだけ共演を重ねた相手ばかりなのだから「阿吽の呼吸」で分かり合えるのだろう。和気あいあいと楽しい雰囲気でレコーディングが進行していった様子が想像できる。

 しかし,そんな中でも“世界一の音楽バカ”パット・メセニーだけはいつも通りの真剣勝負。共演者を知り尽くし,楽曲を知り尽くして,自分自身が今できる最高のパフォーマンスを披露する。
 それでこそ管理人が愛するパット・メセニーであり,そんなメセニーゲイリー・バートンデイヴ・ホランドロイ・ヘインズも愛している。

 チック・コリアはどうなのだろう? 過去においても『ライク・マインズ』に至るまでチック・コリアパット・メセニーの共演歴はない。そして『ライク・マインズ』以降においても2人の共演歴はない。チック・コリアは相変わらずフランク・ギャンバレばかりを重用している。
 『ライク・マインズ』を聴く限りチック・コリアパット・メセニーの相性は悪くないと思うのですが,そこは大人の事情なのでしょうか?

LIKE MINDS-2 さて,パット・メセニーギターが際立つ『ライク・マインズ』。ではパット・メセニー以外の4人の演奏が凡庸なのかというとそんなことはない。
 ヴィヴラフォンは他の誰でもなくゲイリー・バートンヴィヴラフォンだし,ピアノは他の誰でもなくチック・コリアピアノだし,ベースは他の誰でもなくデイヴ・ホランドベースだし,ドラムは他の誰でもなくロイ・ヘインズドラム

 『ライク・マインズ』を聴いて思うこと。パット・メセニーの後ろで鳴っている4人の音が超一流であるということ。超一流のジャズメンとは自分の音を持っているということ。『ライク・マインズ』はとってもいいジャズ・アルバムです。

  01. QUESTION AND ANSWER
  02. ELUCIDATION
  03. WINDOWS
  04. FUTURES
  05. LIKE MINDS
  06. COUNTRY ROADS
  07. TEARS OF RAIN
  08. SOON
  09. FOR A THOUSAND YEARS
  10. STRAIGHT UP AND DOWN

(コンコード/CONCORD 1998年発売/MVCL-24011)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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ゲイリー・バートン & 小曽根 真 / フェイス・トゥ・フェイス4

FACE TO FACE-1 ゲイリー・バートンの凄さとは誰とだって合わせられることだと思う。同じピアノヴィヴラフォンデュエットなのに,チック・コリア小曽根真はまるで違う。
 ゲイリー・バートンヴィヴラフォンとは「リトマス試験紙」!(← ぴったりの例えが浮かびません)

 ゲイリー・バートン小曽根真デュオFACE TO FACE』(以下『フェイス・トゥ・フェイス』)を聴くまでは,てっきりチック・コリア小曽根真は同じタイプのピアニストだと思っていた。
 だが『フェイス・トゥ・フェイス』には,チック・コリア小曽根真の「似て非なる個性」が記録されている。全てはチック・コリア小曽根真の個性を“炙り出す”ゲイリー・バートンの凄さである。

 チック・コリアとの『クリスタル・サイレンス』では,チック・コリアのクリティカルな才能と共演し,小曽根真との『フェイス・トゥ・フェイス』では,小曽根真の切れ味とバランス感覚と共演したゲイリー・バートン

FACE TO FACE-2 『フェイス・トゥ・フェイス』の時点では,まだまだビッグ相手に遠慮してしまう小曽根真小曽根真の類まれな才能を誰よりも知っているゲイリー・バートンが,手加減しないで自分に向かってくるよう導いていた。

 ゲイリー・バートンデビュー前から手塩にかけて育ててきた小曽根真を“世界に売り出した”のが『フェイス・トゥ・フェイス』。
 「世界のOZONE」の快進撃は,ゲイリー・バートンと“がっぷり四つに組み合った”『フェイス・トゥ・フェイス』から始まった!

  01. KATO'S REVENGE
  02. MONK'S DREAM
  03. FOR HEAVEN'S SAKE
  04. BENTO BOX
  05. BLUE MONK
  06. O GRANDE AMOR
  07. LAURA'S DREAM
  08. OPUS HALF
  09. MY ROMANCE
  10. TIMES LIKE THESE
  11. EIDERDOWN

(GRP/GRP 1995年発売/UCCU-6195)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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ゲイリー・バートン / アローン・アット・ラスト5

ALONE AT LAST-1 ゲイリー・バートンの“最高傑作”が『ALONE AT LAST』(以下『アローン・アット・ラスト』)である。

 『アローン・アット・ラスト』とは,LPのA面がモントルー・ジャズ・フェスティバルにおける圧巻のソロ・パーフォーマンス。B面がこちらも“マルチ鍵盤奏者”ゲイリー・バートンとしての圧巻の一人多重録音によるカップリング盤。

 最初は完全にモントルー・ジャズ・フェスティバルライブ録音にKOされた口。A面はライブ盤だと知らずに聴き始めて「いい演奏だな」と余韻に浸っていると,直後の割れんばかりの大喝采! 大袈裟でも何でもなく「えっ,ええ〜!」と,脳天はかち割られるは,腰を抜かしそうになるはの大衝撃! 何この音楽&何こんなジャズ

 B面も一人多重録音盤だと知らずに聴き始めて,ピアノオルガンの音色が聴こえてきて「あぁ,誰かとのデュエットなのか」と思ってしまうくらい,本職顔負けのゲイリー・バートンの「一人“鍵盤群”多重録音」に魅了されてしまった。そうして聴けば聴く程好きになってしまった。

 『アローン・アット・ラスト』は曲順が進む程に“アガル”1枚である。当初はキース・ジャレットの【MOONCHILD/IN YOUR QUIET PLACE】が大好きで1曲目ばかり聴き,1曲目だけを聴くためのアルバムであったのだが,次第にライブ録音の3曲を続けて聴きたくなった。そうして4曲目以降も聴くようになり,オオラスの【CHENGA DE SAUDADE(NO MORE BLUES)】にシビレルようになっていった。

 ゲイリー・バートンのハイテクニックがアクロバティックだけど最高にクールなヴィブラフォン。今にもくずれそうな氷細工のごとき繊細な表現がおとぎの国の耽美的なヴィブラフォン
 どうしても室内楽的なヴィブラフォンの音色に引っ張られてしまうが,よく聴くと音数も多いしスイングしている。
 HOTな熱量で叩かれるCOOLなヴィブラフォンが最高だ! これぞジャズの醍醐味インプロヴィゼーション

 『アローン・アット・ラスト』には,当時のゲイリー・バートンの「ジャズ・ロック」志向も見え隠れしている。
 『アローン・アット・ラスト』におけるゲイリー・バートンの「温故知新」的なニュアンスの妙に「感動が次から次へと押し寄せて来る」秘訣が隠されていると思う。

ALONE AT LAST-2 とにかく『アローン・アット・ラスト』におけるゲイリー・バートンの面持ちは,チャーリー・パーカーマイルス・デイビスソニー・ロリンズジョン・コルトレーンなど一握りのジャズ・ジャイアンツしか放つことのなかったオーラを身にまとっている。

 ゲイリー・バートンは,そんじょそこらのジャズ・ジャイアンツとは格が違う。『アローン・アット・ラスト』での「決定的な名演」に酔わないジャズ・ファンなど一人もいない。

  01. MOONCHILD/IN YOUR QUIET PLACE
  02. GREEN MOUNTAINS/ARISE, HER EYES
  03. THE SUNSET BELL
  04. HAND BAGS AND GLAD RAGS
  05. HULLO, BOLINAS
  06. GENERAL MOJO'S WELL LAID PLAN
  07. CHENGA DE SAUDADE (NO MORE BLUES)

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1971年発売/WPCR-27085)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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ゲイリー・バートン / ゲイリー・バートン&キース・ジャレット4

GARY BURTON & KEITH JARRETT-1 ゲイリー・バートンキース・ジャレット名義の『GARY BURTON & KEITH JARRETT』(以下『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』)が1971年。
 チック・コリアゲイリー・バートン名義の『クリスタル・サイレンス』が1973年。

 1973年の時点では名前がゲイリー・バートンより先に出ているチック・コリアの方がキース・ジャレットより格上であった。『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』と『クリスタル・サイレンス』を聴き比べてみるとチック・コリア優位は明白である。

 そう。キース・ジャレット命の管理人をして,若き日のキース・ジャレットには現在でも愛聴に値する演奏は多くはない。『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』もそれなりの(普通の出来の)演奏集である。

 『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』のレコーディングは,実はゲイリー・バートンキース・ジャレットデュオではなく,ヴィブラフォンゲイリー・バートンギターサム・ブラウンベーススティーヴ・スワロードラムビル・グッドウィンから成るゲイリー・バートン・グループにゲスト・プレイヤーとしてキース・ジャレットが一人参加した「ジャズ・ロック」である。

 『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』レコーディング当時のキース・ジャレットの活動は,かの電化マイルスのバンドに在籍しつつ,チャーリー・ヘイデンポール・モチアンと組んだピアノ・トリオで,ロックやカントリーやアメリカン・ポップスを上手に消化した「ジャズ・ロック」期に当たる。
 そう。目指す方向性はゲイリー・バートンキース・ジャレットは“同士”であった。

 つまりゲイリー・バートンとしては,既に出来上がっていたバンド・サウンドに意気投合できるピアニストを迎えて音を分厚くしたかっただけ,マイルス・バンドのキース・ジャレットのお手並みを拝見してみたかっただけ,だったように思えてならない。気軽で興味本位が共演の理由。

 …が,しかし…。ここがゲイリー・バートンの凄さなのだと思うが,一度の音合わせをしただけで,まだ駆け出しのキース・ジャレットの才能を見抜いてしまった。
 特にコンポーザーとしてのキース・ジャレットの才能を見定めてしまった。『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』で全5曲中4曲もキース・ジャレットオリジナルを採用している。ゲイリー・バートン自身も名曲を数多く書き上げてきたソングライターだというのに…。

 そう。『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』の真実とは『ゲイリー・バートン・フィーチャリング・キース・ジャレット』である。ゲイリー・バートンキース・ジャレットに「花を持たせた」アルバムなのである。その後のキース・ジャレットの“花道街道”を祝福するかのように…。

GARY BURTON & KEITH JARRETT-2 ゲイリー・バートンが託したキース・ジャレットへの「裁量権」は,音楽的に大きな成功を収めている。
 その1つは,キース・ジャレットギタリストと共演したアルバムはマイルス・バンド以外では『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』のみであるが,案外相性は悪くはないという証明してくれている。サム・ブラウンパット・メセニーであったなら,もっとギタリストとの共演アルバムが増えたであろうに…。

 もう1つは【MOONCHILD/IN YOUR QUIET PLACE】の誕生である。「モントルー・ジャズ・フェスティバル」での超名演アローン・アット・ラスト』はキース・ジャレットとの共演なしに【MOONCHILD/IN YOUR QUIET PLACE】の演奏なしにはグラミーは受賞できなかった。

 ゲイリー・バートンについて語るなら,パット・メセニーチック・コリア小曽根真との共演歴について語らないわけにはいかないが,個人的にはキース・ジャレットとの出会いについても大々的に語られるべきだと思っている。
 そうなれば,その話の結論はこうであろう。ゲイリー・バートンの“音楽眼”が最高に素晴らしい! 

 『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』以前のキース・ジャレットの音楽とは,ジャズとは言ってもカントリーでフォークでゴスペルチックでアーシーなノリで突っ走るマイルス・バンドの鍵盤奏者にふさわしい音楽の演奏者であった。
 代名詞となるソロ・ピアノはまだだったし,アメリカン・カルテットヨーロピアン・カルテットスタンダーズ・トリオも当然手付かず。『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』以前のキース・ジャレットとは,ゲイリー・バートンよりもチック・コリアよりも格下な若手有望株の1人にすぎなかったという事実。

 管理人は思う。ゲイリー・バートンは“未完成の”キース・ジャレットの中に,一体何を見い出したのだろう。直接,本人に尋ねてみたい…。

  01. GROW YOUR OWN
  02. MOONCHILD/IN YOUR QUIET PLACE
  03. COMO EN VIETNAM
  04. FORTUNE SMILES
  05. THE RAVEN SPEAKS

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1971年発売/AMCY-1124)
(ライナーノーツ/杉田宏樹)

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ゲイリー・バートン / 鼓動5

THROB-1 キース・ジャレット命の管理人。全キース・ジャレット・ファンにとって「完全コレクション」への鬼門の1枚は長らく『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』であった。
 世界最高のジャズメン,と言うより,世界最高のミュージシャン=キース・ジャレットのアルバムだと言うのに『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』がなぜCD化されないのか?

 (途中経過は省略)『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』が1994年についにCD化された。しかしキース・ジャレットのラインではなくゲイリー・バートン・サイドとしてのCD化である。
 何と!『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』単体ではなく,ゲイリー・バートンの『THROB』(以下『鼓動』)との「2in1」でのリリース。

 まぁ,不満はあるっちゃあるが,まずは待望の『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』のCD化が実現しただけでも大喜び! そしてこれが重要なのだが,オマケ程度に考えていたカップリングの『鼓動』の出来が素晴らしい。
 ここだけの話『ゲイリー・バートン & キース・ジャレット』が星4つであるならば『鼓動』は星6つ〜。

 『鼓動』が話題になっていないとはけしからん。ゲイリー・バートンの一番美味しい音楽はラリー・コリエルとではなくアトランティック移籍後に吹き込んだ「ジャズ・ロック」にあると思っている。

 ジャズってアメリカの黒人の音楽とはアフリカの音楽だと思われているが,最近優勢なジャズとは実は白人のジャズである。その始まりがちょうどゲイリー・バートンアトランティックに吹き込んだ,ポップス,ロック,クラシック,カントリー&ウェスタン,フォークとの融合の時代。ここにエレクトリックが入ってきた時代。それなのにミニマルっぽい。超面白いジャズからフュージョンへの橋渡しの時代。

 ジャズの中で細分化される全てのジャンルにマイルス・デイビスが関わっており,フュージョンにおいても『ビッチェズ・ブリュー』の評価が高いが,実はゲイリー・バートンの『鼓動』もフュージョンへ移行していくジャズ・シーンを語る上では欠かせない。
 もはやジャズとはブルースをやらないのが定番となり始めた,その走りの1枚が『鼓動』であって,聴いていてメチャメチャ面白い。

THROB-2 まっ,今聴くと「時代の名盤」の匂いが漂っているので評価は低いが,若きゲイリー・バートンのナイーブな感性と大胆な冒険スピリットが混然一体となって陶酔の世界へと誘ってくれる。

 ゲイリー・バートンのルーツとしてのカントリー・ロックとかフォークとか電化ジャズとかが『鼓動』で完璧に融合している。
 ポップでスピリチュアルな「ジャズ・ロック」のハイブリット化が『鼓動』で完成されている。

 ジャズとして,ロックとして,フュージョンとして聴いても実に面白い。『鼓動』の「ジャズ・ロック」がレトロっぽいのに五感をフルに刺激してくる。
 ゲイリー・バートンの全ディスコグラフィー中,一番エキサイティングなアルバムが『鼓動』だと思っている。あのキース・ジャレット以上に先進的なゲイリー・バートンの「ジャズ・ロック」が聴けば聴くほど面白い!

  01. HENNIGER FLATS
  02. TURN OF THE CENTURY
  03. CHICKENS
  04. ARISE, HER EYES
  05. PRIME TIME
  06. THROB
  07. DOIN THE PIG
  08. TRIPLE PORTRAIT
  09. SOME ECHOES

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1969年発売/AMCY-1124)
(ライナーノーツ/杉田宏樹)

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ゲイリー・バートン / 葬送4

A GENUINE TONE FUNERAL-1 『A GENUINE TONE FUNERAL』(以下『葬送』)は,作・演出ともにカーラ・ブレイのアルバムである。
 『葬送』におけるゲイリー・バートンの役割とは,ただカーラ・ブレイを「世に売り出す」お手伝いをした。ただそれだけのことである。

 よって『葬送』は「ジャズ・ヴィブラフォン奏者」ゲイリー・バートンの音楽性とは切り離して評価されるべきでアルバムである。『葬送』の中に「ジャズ・ロック・スター」なゲイリー・バートンの音楽世界は1mmも展開されていないと思う。

 事実『葬送』の中で聴き取れる,ヴィブラフォンゲイリー・バートンギターラリー・コリエルベーススティーヴ・スワロードラムロンサム・ドラゴンによるレギュラー・カルテットの存在感は極めて薄い。

 ゲイリー・バートンヴィブラフォンソロも,ラリー・コリエルギターソロも「ジャズ・ロック」寄りではあるのだが『ダスター』の時のように跳ねていないし破綻していない。明らかに前衛などではない。
 その理由こそがカーラ・ブレイの書き上げた「構築美」の“縛り”にある。例えば,新宿にある「モード学園コクーンタワー」のような,今までにない斬新なデザインの建築物を立てている雰囲気がある。

 そう。ドラマチックでカラフルで美メロが続く「組曲」『葬送』のアルバム名を耳にして,まず思い浮かべるのは,カーラ・ブレイピアノであり,マイク・マントラートランペットであり,スティーヴ・レイシーソプラノサックスであり,ガトー・バルビエリテナーサックスであり,ジミー・ネッパートロンボーンであり,ハワード・ジョンソンチューバである。
 こちらのゲスト陣の演奏の方が,ゲイリー・バートンラリー・コリエルソロ以上に,よっぽど跳びはね破綻を聴かせてくれている。

 完全に「裏方稼業」なゲイリー・バートン・カルテットであるが,こんな異様な叙事詩的な音世界は,若者たちに支持されているゲイリー・バートン・カルテットだからこそ,そしてジャズの変革を目指していたゲイリー・バートン・カルテットでなければ発表できなかったはず。
 ゲイリー・バートンの方もカーラ・ブレイの斬新な「持ち込み企画」は「渡りに船」。WIN−WINの関係性が産んだ“時代の名盤”の誕生であった。

A GENUINE TONE FUNERAL-2 管理人は『葬送』の「死者との会話」的なイメージが嫌いだ。金管の混沌としたハーモニーがおどろおどろしい。それで『葬送』はジャズとしてではなくサウンドトラックとして楽しんでいる。『葬送』=エンターテインメント・コメディとして捉えている。

 『葬送』のメイン楽器は,実際には鳴っているはずのない“ドラ”であり“爆竹”である。そう。『葬送』のアルバム・ジャケットがイメージを指し示す,中国とかインドとか香港とかが舞台の東洋映画のアレなのである。そう言えば伊丹十三の「お葬式」という映画もあったよなぁ。

 それにしても『葬送』を初めて聴いたのは25歳ぐらいの時でして,その時は「お葬式」とは悲しいものであるはずなのに,明るく開けっぴろげな音楽性に疑問を抱いていたはずなのに,51歳になって「お葬式」に何回も実際に出席した経験を通して『葬送』のような,最初は泣いても最後は笑い合える「お葬式」が理想だよなぁ,と思ってしまった自分に成長と老いを感じてしまいました。

  01. The Opening〜Interlude:Shovels〜The Survivors〜Grave Train
  02. Death Rolls
  03. Morning (Part 1)
  04. Interlude:Lament〜Intermission Music
  05. Silent Spring
  06. Fanfare〜Mother of the Dead Man
  07. Some Dirge
  08. Morning (Part 2)
  09. The New Funeral March
  10. The New National Anthem〜The Survivors

(RCA/RCA 1968年発売/BVCJ-7330)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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ゲイリー・バートン / ダスター4

DUSTER-1 『DUSTER』(以下『ダスター』)を聴いてイメージするのは,いつもの「ジャズ・ヴィブラフォン奏者」ゲイリー・バートンではない。

 そう。巷で語られている通りデビュー当時のゲイリー・バートンの音楽性は,ヒッピーたちに熱狂的に支持されていたチャールス・ロイドのライン上にある「ジャズ・ロック・スター」なゲイリー・バートンが『ダスター』にいる。

 ただし,その後のゲイリー・バートンのディスコグラフィーを追いかけていくと『ダスター』だけが外れているわけではない。『ダスター』も確実にゲイリー・バートンジャズ・ラインで繋がっている。

 管理人が「ジャズ・ロック・スター」なゲイリー・バートンに違和感を覚えないのは“ジャズ・ピアニスト”ばりにゲイリー・バートンヴァイヴの音階を弾いているから!
 もっと言えば,あんなにもチック・コリアとシンクロできる理由はここにあったのかっ,と1人ニヤツイテみたりして…。

 ここでゲイリー・バートンの「ジャズ・ヴィブラフォン奏者」としての特徴を記すと,ゲイリー・バートンヴァイヴという楽器を打楽器としてではなくメロディー楽器として扱っている。
 例えば,ミルト・ジャクソンのようなタイプは,ヴィブラフォンという楽器以前に「タメ」と「ノリ」で聴かせようとする。ヴィブラフォンを打楽器の延長線上で演奏している。

 しかし,ゲイリー・バートンと来れば「4本マレット奏法」である。4つのマレットを同時に音板に叩きおろすことによりヴィブラフォンピアノのような和音楽器として捉えている。要はピアニスト・サイドからのアプローチ!
 これが「ジャズ・ヴィブラフォン奏者」ゲイリー・バートンの「栄光の架け橋」なのだと思っている。

 そんなピアニスト寄りのヴィブラフォン奏者=ゲイリー・バートンジャズ・ロックに魂を売った『ダスター』であるが,ベーススティーヴ・スワロウドラムロイ・ヘインズがしっかりとジャズのビートをキープしているおかげで「毒蛾」の入った変わり種ジャズとしても十分に楽しめる。

 スティーヴ・スワロウベースは今聴くと,ウェザー・リポート在籍時のミロスラフ・ヴィトウスっぽいと思うし,ロイ・ヘインズドラミングは今聴くと,チック・コリアの『ナウ・ヒー・ソングス・ナウ・ヒー・ソブス』っぽい。

DUSTER-2 要するに『ダスター』の真実とは,ゲイリー・バートンの“非ジャズ的な”ヴィブラフォンラリー・コリエルの“エッジの立った”ギタースティーヴ・スワロウロイ・ヘインズの最新型4ビートとハイブリットされた結果のジャズ・ロックという構図である。

 『ダスター』のハイライトは,8ビートの大メジャーなPOPチューンの【モジョ将軍の戦略】とフィードバック奏法によるロック・チューンの【ワン・トゥ・1−2−3−4】の2曲にある。この2曲が連続して流れる11分間だけは変革期を迎えたジャズの新しい息吹を感じる。
 新しいジャズの形というビジョンを思い描いていた4人の若手ミュージシャンのエネルギーと勢いが,時代に関係なく今でも聴く者に「新しさ」をもたらしている。この2曲だけは今でも大大好き〜!

 先に書いた『ダスター』の非異色論は,残る6曲の平凡なジャズの印象から来ているが,根底に流れるスピリッツはロックのフィーリングそのもの。
 ラリー・コリエルの最良の部分を引き出しつつ,本気でロック方面で行くのならドラマートニー・ウイリアムスという選択肢もあったのだろうに,王道のロイ・ヘインズを選んだゲイリー・バートンの高度な受容性が,後の「なんとなく,クリスタル」〜。

  01. Ballet
  02. Sweet Rain
  03. Portsmouth Figurations
  04. General Mojo's Well Laid Plan
  05. One, Two, 1-2-3-4
  06. Sing Me Softly of the Blues
  07. Liturgy
  08. Response

(RCA/RCA 1967年発売/BVCJ-37359)
(ライナーノーツ/村井康司)

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