WISHES-1 菊地雅章の“電化マイルス”大接近と来れば1981年の『SUSUTO』と1982年の『ONE WAY TRAVELLER』と思われているが,実はその5年前に,それこそ正規“電化マイルス”のサイドメンたちと,トランペッターマイルス・デイビスから日野皓正に変えただけの「擬似・電化マイルス」を実験していた。
 それが「日野皓正=菊地雅章オクテット」改め「東風」名義での『WISHES』(以下『ウィッシズ』)である。

 「東風」とは,キーボード琵琶菊地雅章トランペットパーカッション日野皓正ソプラノサックスフルートデイヴ・リーブマンテナーサックスソプラノサックススティーヴ・グロスマンギターレジー・ルーカスベースアンソニー・ジャクソンドラムアル・フォスターパーカッションエムトゥーメの面々。

 『アガパン』の数年前の布陣である。1976年のマイルス・デイビスは6年にも渡る引退生活の真っ只中。『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチェズ・ブリュー』『アット・フィルモア』『ライヴ・イヴィル』『オン・ザ・コーナー』『ゲット・アップ・ウイズ・イット』『アガルタ』『パンゲア』ETC
 マイルス・デイビスの新作がでなくても,上記のどれか1枚があれば「一生事足りる」級の名盤がザックザク。誰も菊地雅章に,引退中のマイルス・デイビスの代わりを務めろ,なんて言っていない。

 そのことを菊地雅章は誰よりも分かっている。後の『SUSUTO』にしても『ONE WAY TRAVELLER』にしてもプーさんなりの“電化マイルス”を演ったわけではなかったのだ。

 そう。菊地雅章が手掛けた「擬似・電化マイルス」作『ウィッシズ』は,マイルス・デイビスが追い求めていたのと同じゴールを,マイルス・デイビスとは全く別のアプローチで追い求めてみせた実験作。
 マイルス・デイビスのロック&ファンク的なアイディアにはまだまだ手の付けられていない領域がある。可能性が広がっている。

WISHES-2 その肝となるのがベース・ラインでありアンソニー・ジャクソンの起用である。これが『ウィッシズ』で菊地雅章が提示した答えである。
 アンソニー・ジャクソンベース・ラインが最高である。どうしてマイルス・デイビスアンソニー・ジャクソンを自分のバンドで起用しなかったのだろう。

 『ウィッシズ』と来れば,アルバム冒頭の菊地雅章が演奏する“雅楽そのまんま”が有名なのだけれど,個人的にはその続く部分である。
 【オーロラル・フレアー:パート2】でのインプロヴィゼーションジャズファンク! アンソニー・ジャクソンの柔軟なベース・ラインが脳裏の「奥の奥まで」突き刺さる!

 管理人は『ウィッシズ』が大好き。そして恐らくはマイルス・デイビスも『ウィッシズ』が大好き。
 『ウィッシズ』での大名演があったから1978年のプーさんマイルス・デイビスとのレコーディングセッションが実現したのかな?

  01. AURORAL FLARE; PART 1 (BASED ON GAGAKU−"HYOJO:
     KANSHU")

    AURORAL FLARE; PART 2
  02. CARIBBEAN BLUE
  03. LA MOCA ESTA DORMINDO
  04. PACIFIC HUSHES
  05. ELECTRIC EPHEMERON
  06. ALONE

(イースト・ウィンド/EAST WIND 1976年発売/PHCE-2039)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)