アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:アーマッド・ジャマル

アーマッド・ジャマル / バット・ノット・フォー・ミー5

BUT NOT FOR ME-1 アーマッド・ジャマルの“最高傑作”が『BUT NOT FOR ME』(以下『バット・ノット・フォー・ミー』)である。

 “ジャズの帝王”マイルス・デイビスが演奏を聴くためにクラブに通い詰めた唯一のピアニストであり,マイルス・デイビスが自分のバンドにどうしても迎え入れたかったピアニストであり,それが叶わず,レッド・ガーランドに「彼のように弾いてくれ」と命令したピアニスト,それがアーマッド・ジャマルであった。

 マイルス・デイビスアーマッド・ジャマルの何に魅了されたのだろうか? それが『バット・ノット・フォー・ミー』で聴かせる,叙情性とアンサンブルの重ね方にあると思う。マイルス・デイビスも追求した“リリシズム”である。
 とにかく上品なのだ。とにかく優雅なのだ。ホテルのラウンジで生演奏を聴きたい第一位こそがアーマッド・ジャマルであろう。

 アーマッド・ジャマルピアノと来ればピアノ・トリオである。イスラエル・クロスビーベースバーネル・フォーニアドラムと組んで「3人で役割分担して1曲を仕上げるスタイル」は,アーマッド・ジャマルが開祖であろう。

 つまり,ベースドラムは一切ソロを取ることがない。ベースドラムアーマッド・ジャマルソロを取らせるためのスペース作りに専念している。
 ベースドラムの2人が曲の骨組みを組立てている。どのような外装にするか,どのような内装にするかは3人で決めている。

 そしてここがアーマッド・ジャマルの凄いところだと思うのだが,普通なら空いた空間を埋めるためにピアノを目立たせようと考えるものだろうが,アーマッド・ジャマルピアノを決して弾きすぎない。

BUT NOT FOR ME-2 そう。アーマッド・ジャマルは,弾く音を必要最低な音数に厳選し,シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードで聴かせたいフレーズだけを浮かび上がらせる。
 「ピアノピアノの邪魔をしないピアノ」。アーマッド・ジャマルとはこれなのである。

 則ち,アーマッド・ジャマルの『バット・ノット・フォー・ミー』とは,後にマイルス・デイビスがやったモードの「さきがけ」のような演奏である。

 モードジャズを完成させたのは,マイルス・デイビスビル・エヴァンスギル・エヴァンスの3人に違いないが,アーマッド・ジャマルがいなければ,そもそもモードジャズは生まれなかった。
 ピアノ・トリオの「3人で役割分担して1曲を仕上げる」アーマッド・ジャマルの音楽こそが,マイルス・デイビスが愛した“リリシズム”なのである。

PS アーマッド・ジャマルはとにかく素晴らしい。そのアーマッド・ジャマルのスタイルを消化させたレッド・ガーランドも素晴らしい。しかし日本においてアーマッド・ジャマルの人気もレッド・ガーランドの人気もイマイチである。全てはビル・エヴァンスである。ビル・エヴァンスの登場がアーマッド・ジャマルレッド・ガーランドを無き者にしてしまった。この事実だけでもビル・エヴァンスの凄さが分かる。ビル・エヴァンスが圧倒的!

 
01. BUT NOT FOR ME
02. SURREY WITH THE FRINGE ON TOP
03. MOONLIGHT IN VERMONT
04. MUSIC, MUSIC, MUSIC
05. NO GREATER LOVE
06. POINCIANA
07. WOODY'N YOU
08. WHAT'S NEW

 
AHMAD JAMAL : Piano
ISRAEL CROSBY : Bass
BERNELL FOURNIER : Drums

(アルゴ/ARGO 1958年発売/UCCU-5128)
(ライナーノーツ/小川隆夫,児山紀芳)

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アーマッド・ジャマル・トリオ・ウィズ・ゲイリー・バートン / イン・コンサート5

IN CONCERT-1 『IN CONCERT』(以下『イン・コンサート』)を購入したのは,かの有名なマイルス・デイビスの【枯葉】はアーマッド・ジャマルの【枯葉】の“まんま”という噂を聞いたからである。
 こういう話を聞くと,読者の皆さんも一度自分の耳で確かめたくなったのでは?

 …で,アーマッド・ジャマルの【枯葉】入りのアルバムをCDショップで幾つか探すとゲイリー・バートンの文字に釣られて『イン・コンサート』を購入。
 『イン・コンサート』はライブ盤なので,例の真偽を断定することは難しいが,確かに似ている。イントロなんて“まんま”だと思う。

 でもいいじゃないですかっ。マイルス・デイビスだって「人の子」。自分の好きな人を真似てみたくなるものです。
 アーマッド・ジャマルマイルス・デイビスにとって“憧れのピアニスト”第一位! → ちなみにマイルス・デイビスが共演した“一番凄かったピアニスト”第一位はキース・ジャレット! ハービー・ハンコックでもチック・コリアでもない。そこんとこ・よ・ろ・し・く・です。

 マイルス・デイビスアーマッド・ジャマルを自分のバンドに入れたかったのは有名なお話。アーマッド・ジャマルにフラれて,代役であるレッド・ガーランドに向かって「アーマッド・ジャマルのように弾いてくれ」と頼んだのも有名なお話。
 レッド・ガーランドがTOPのピアニストにまで上り詰めることができたのは,マイルス・デイビスからの訓練を受けて,アーマッド・ジャマルのような“控え目な旋律と軽さ”を身に着けることができたからに違いない。

 『イン・コンサート』でのアーマッド・ジャマルが確かに凄い! ベースサブ・アデヨラドラムペイトン・クロスレイを意のままに操る“ワンマン・オーケストラ”の趣きを感じる。

 そこに割って入ったのが『イン・コンサート』の主役であるゲイリー・バートンである。アーマッド・ジャマルにもマイルス・デイビスにも申し訳ないが,ゲイリー・バートン入りの3トラックとゲイリー・バートン抜きの2トラックでは印象が多分に異なっている。

 ズバリ,ゲイリー・バートン抜きのジャズコンサートゲイリー・バートン入りのジャズ“ロック”コンサートの違いである。

IN CONCERT-2 ゲイリー・バートンヴィブラフォンで軽く煽ると,ベースサブ・アデヨラドラムペイトン・クロスレイが,人が変わったかのように熱くグルーヴする。そんなリズム隊のグルーヴを受けて,ついにはアーマッド・ジャマルの“天才”までもが覚醒されていく。

 だから“素の”アーマッド・ジャマルを良く知らない管理人にとって,アーマッド・ジャマルという人はジャズ・ロックの人であり,ソウルフルなジャズピアニストのままで評価が止まっている。
 そのうちアーマッド・ジャマル様のちゃんとした代表作を聴いてみますねっ。

 でも,もしやこの評価は当たっているのかも? マイルス・デイビスなら認めてくれたかも?
 とにもかくにも,キース・ジャレットにしてもチック・コリアにしてもパット・メセニーにしても小曽根真にしても,今回のアーマッド・ジャマルにしても,共演者の隠れた才能を「これでもか!」と引き出してくれるゲイリー・バートンこそが真の音楽マイスター!

 
01. Introduction
02. Morning Of The Carnival
03. One
04. Bogata
05. Tones For Joan's Bones
06. Autumn Leaves

 
AHMAD JAMAL : Piano
SABU ADEYOLA : Bass
PAYTON CROSSLEY : Drums

GARY BURTON : Vibraphone

(クラウン/BREAKTIME 1981年発売/BRJ-4051)
(ライナーノーツ/市川正二)

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