アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:菊池 ひみこ

菊池 ひみこ / ウーマン4

WOMAN-1 廃盤になった『WOMAN』(以下『ウーマン』)をずっと探していた。正確には【MAKE UP IN THE MORNING】を探していた。
 なぜなら【MAKE UP IN THE MORNING】こそが「菊池ひみこの音楽」そのものであり,管理人の「青春時代の音楽」のTOP10に入るくらいに聴きまくった「フュージョンと来れば」的な名曲だからである。

 とにかくメロディーが美しい。実にエレガントで,実にドラマティックで,実にロマンティックで,なぜか哀愁さえも感じてしまう。そのクセして聴き所は美メロ以上にリズム隊である。ラテンのノリでギンギンにエレピを押しまくってくる。
 そう。当時,中学生だった管理人には畑中葉子の擬似「後から前から」とシンクロしてしまうくらいに刺激的で官能的だったのが【MAKE UP IN THE MORNING】。いろいろな意味で,一生忘れられない名曲なのである。

 …とここまで書いたが,管理人は【MAKE UP IN THE MORNING】を一度も購入したことはない。ずっとエアチェック・テープで聴いていた。
 …だから上京の際にカセットテープを持参しなかったので十数年【MAKE UP IN THE MORNING】を聴いてはいない。しかし,その間も頭の中で鳴り続けていたし,近年はユーチューブに誰かがUPしてくれたおかげで無料で繰り返し聴いていた。

 しかし,ユーチューブでは満たされないのだ。コレクターの所有欲は満たされないのだ。ずっと頭の片隅に残っている【MAKE UP IN THE MORNING】というか,この曲が入っているアルバム『ウーマン』への思いが募る。
 アマゾンで5000円出せば買える。でもプレミア価格では買いたくない。ヤフオクでも3000円までで何度か入札したが落札できず。それで,ここ数年間は,菊池ひみこチャック・ローブメゾフォルテアル・ヘイグアート・アンサンブル・オブ・シカゴ等のお目当ての中古CD屋巡りが毎週の日課であった。→ 最近は中古CD屋巡りが減ってネットを徘徊するようになってしまいました。

WOMAN-2 そこへ今回の菊池ひみこの再発企画である。もうそりゃあ,即効で買うでしょう! ということでまとめて4枚の大人買いをして『ドント・ビー・ステューピッド』『フラッシング』『オーライ』『ウーマン』をついに手に入れた! ヤッター! タワーレコード!

 【MAKE UP IN THE MORNING】1曲のために購入した『ウーマン』であるが,これまでアルバムの他の曲は聞いたことがなかった。『ウーマン』の中に第二の【MAKE UP IN THE MORNING】が収録されていることを期待していたのだが…。

 う〜む。『ウーマン』は“大振りスイングのアルバム”である。つまりは三振かホームランのアルバムである。
 …と書いたのは,菊池ひみこを贔屓してのこと。正直『ウーマン』は【MAKE UP IN THE MORNING】1曲だけがホームランで,残りの7曲は全部空振りであった。

 
01. Make up in The Morning
02. Sunburned Hip
03. Darling, I'm on your side
04. Funky Panty Girdle
05. Fat ma Cooking
06. 5 PM Red Pumps
07. My Lost Pierce
08. Nursery Song

 
HIMIKO KIKUCHI : Piano, Keyboards, Vocal
SHIGEO SUZUKI : Alto Saxophone
HIROFUMI KINJOH : Tenor Saxophone
MASAMI NAKAGAWA : Flute
SHIN KAZUHARA : Trumpet
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
NAOKI WATANABE : Electric Bass
HIROSHI HOHINO : Acoustic Bass
KAZUAKI MISAGO : Drums
ATSUO OKAMOTO : Drums
HIDEO YAMAKI : Drums
YASUSHI ICHIHARA : Drums
YOSHINORI NOHMI : Percussion
EVE : Chorus

JOE STRINGS : Strings
KAZUHARA SECTION : Brass
GAICHI ISHIBASHI : Oboe
YUKIHIKO NISHIZAWA : Flute, Piccolo
MOTOE MIYAJIMA : Clarinet
HIROYUKI MINAMI : Horn

(テイチク/TEICHIKU 1983年発売/TEH-16)
(ライナーノーツ/金澤寿和)

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菊池 ひみこ / オーライ4

ALL RIGHT-1 「菊池ひみこ,海を渡る」。それが『ALL RIGHT』(以下『オーライ』)失速の最大要因である。

 『ドント・ビー・ステューピッド』でホップして『フラッシング』でステップして『オーライ』でジャンプを決める。
 そんなシナリオが立てられた中?菊池ひみこが向かったのは,アメリカはLAの「マッド・ハッター・スタジオ」。則ちチック・コリアのお膝元である。

 1982年当時のチック・コリアは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を解散しアコースティックジャズに燃えていた時期である。
 菊池ひみことしては,ブラジリアン・フュージョンで「天下を獲った」チック・コリアに,それもジャズを志向中のチック・コリアに感じるものがあったのだろう。

 しかし『オーライ』は“中途半端な”チック・コリアとの共同制作。これが『オーライ』の敗因であろう。
 『オーライ』のプロデューサーは「マッド・ハッター・スタジオ」を使用するのにチック・コリアではなく松本正嗣であった。共演者もチック・コリアの人脈としてはアル・ビズッティくらい。他はアーニー・ワッツにしてもジョン・ロビンソンにしてもスティーヴ・フォアマンにしてもリー・リトナー関連の色合いが強い。

 『オーライ』のレコーディングの様子をチック・コリアがのぞきに来たそうであるが,総指揮を取ったは松本正嗣
 保険として杉本和弥を引き連れて渡米した松本正嗣であったが,自身にとっても初体験となる海外レコーディングリー・リトナー組を思い通りに操るにはまだまだ経験が不足していたように思う。
 『オーライ』の音はLAらしくカラッとしているようでいて,実はポップではないし,重くタイトなリズムはどちらかというとNYのイメージに近いと思う。

ALL RIGHT-2 個人的には世界TOPのジョン・ロビンソンよりも風間幹也ドラミングの方が菊池ひみこの音楽性には合っている。もっと言えばバンドのメンバー全員「デッド・エンド」の方が良かった。
 それだけではなく菊池ひみこオリジナルも,変にブラジリアン・フュージョンに寄せた『オーライ』よりも『ドント・ビー・ステューピッド』や『フラッシング』の「全力日本」タイプの方が良かった。

 アメリカ制作は完全に無駄金だった。高い授業料を払わされたものだ。つまり国内制作の方が良かった。「菊池ひみこデッド・エンド」で録音した『ドント・ビー・ステューピッド』〜『フラッシング』路線の続編が良かった。

 『オーライ』で“狙った”ブライトなタッチのグルーヴィなフュージョンが得意なのは,菊池ひみこの方ではなくチック・コリアの方なのでした。

 
01. CALLING WAVES
02. ROLLING 40TH
03. THE POLESTAR
04. CRAZY MOON
05. PANCAKE ICE
06. HARD MEDITATION
07. BUNGER'S OASIS

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Keyboards, Vocal
ERNIE WATTS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Synthesizer Saxophone
AL VIZZUTTI : Trumpet
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
JOHN ROBINSON : Drums
STEVE FORMAN : Percussion

BRASS SECTION
AL VIZZUTTI : Trumpet
CHARLES DAVIS : Trumpet
JIM COWGER : Tenor Saxophone, Alto Saxophone
ALAN KAPLAN : Trombone

(テイチク/TEICHIKU 1982年発売/TEH-15)
(ライナーノーツ/油井正一,金澤寿和)

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菊池 ひみこ & デッド・エンド WITH アーニー・ワッツ / フラッシング5

FLASHING-1 菊池ひみこの“最高傑作”が,バンド形式「菊池ひみこデッド・エンド」名義での『FLASHING』(以下『フラッシング』)である。

 1stの『ドント・ビー・ステューピッド』も「粒揃いの名曲集」であったが,2ndである『フラッシング』は更に「一段上の名曲集」。加えてバンド形式の効果大な音楽的な“まとまり”が伝わってくる。

 「菊池ひみこデッド・エンド」のメンバーは,ピアノキーボード菊池ひみこギター松本正嗣ベース杉本和弥キーボード松本博ドラム風間幹也パーカッション川瀬正人から成る6人組。
 要するにこのメンバーの集まりとは,昔の「インナー・ギャラクシー・オーケストラ」であるのだから「菊池ひみこデッド・エンド」が志向するのはフュージョンということになる。

 しかし『フラッシングセッションでは「菊池ひみこデッド・エンド」の6人にサックスアーニー・ワッツが加わった7人組のバンド編成になっている。バンドが7人の音で完成しきっている。
 そしてこれが重要な要素であるが,アーニー・ワッツが加わることで,フュージョンの「菊池ひみこデッド・エンド」に,絶妙なスパイスとしてジャズのエッセンスが取り入れられている。

 『フラッシング』の音は決して軽くはない。気軽に楽しめるジャズのエッセンスが支配するフュージョン。これが「菊池ひみこデッド・エンド」の“唯一無二”なフュージョン・サウンドを演出している。

 実にあのアーニー・ワッツが「ジェントル・ソウツ」の次に加入したバンドが「菊池ひみこデッド・エンド」。アーニー・ワッツが見事なバンド・サウンドを奏でている。
 実にあのアーニー・ワッツが【EVERYDAY’S MIRACLE】【HIGHER LEVELS】の2曲を楽曲提供してもいる。この2曲が最高に素晴らしい。

 いやいや『フラッシング』が,菊池ひみこの“最高傑作”と称えられる最大の理由は楽曲の出来にある。
 管理人が『フラッシング』の名曲群を耳にしたのはLPが最初でもなければ,勿論,CDが最初でもない。そうではなくTVやラジオから流れるBGMとしてであった。

FLASHING-2 管理人が『フラッシング』のLPを初めて聴いた時の様子を思い起こせば「あっ,この曲聴いたことがある」「あっ,この曲も菊池ひみこなんだ」の連続であった。
 それくらいに巷では菊池ひみこの音楽が,そして『フラッシング』が流されていたという事実。ジャズフュージョンの取り立ててファンでもないだろう選曲者の耳に訴えかける力が『フラッシング』の名曲群にあるという事実。

 国府弘子もそうであるが,特に菊池ひみこのメロディー・ラインが管理人の好みにピッタリと合う。日本人の好みにピッタリと合う。
 思うにこのあたりが,菊池ひみこが“フュージョンの女王”と称される所以なのだろう。フュージョンなのに妙に陰影がある。サウンドも適度に軽く明るい。

 そう。国府弘子菊池ひみこのサウンド・カラーは,日本の女性ミュージシャンの2大巨頭で例えるなら,中島みゆきではなくユーミン寄り。
 “日本ポップス界の女王”がユーミンであるならば“フュージョンの女王”は菊池ひみこなのである。

 
01. Cosmic Dust Blue
02. Everyday's a Miracle
03. Higher Levels
04. Peaceful Moment
05. Little Romping Girl
06. Back to Bop
07. Sunday Morning
08. After The Festival

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Mini Moog, Prophet, Oberhime, Voices, Vocal, Chorus
ERNIE WATTS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Saxophone Synthesizer
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Chorus
HIROSHI MATSUMOTO : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Mini Moog, Oberhime, Voices
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
KANYA KAZUMA : Drums
MASATO KAWASE : Percussion
MINE MATSUKI : Chorus
GENJI SAWAI : Chorus
KUNITOSHI TOJIMA : Chorus
YOSHIAKI TAGUCHI : Chorus

(テイチク/TEICHIKU 1980年発売/TEH-21)
(ライナーノーツ/野口久光,アーニー・ワッツ,金澤寿和)

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菊池 ひみこ ウィズ アーニー・ワッツ / ドント・ビー・ステューピッド5

DON'T BE STUPID-1 “女王”「ひみこ」という名前を聞くと,誰もが邪馬台国の「卑弥呼」を連想することと思うが,菊池ひみこフュージョン・サウンドを聞いたが最後“女王”「ひみこ」という名前を聞くと“邪馬台国の女王”「卑弥呼」ではなく“フュージョンの女王”菊池ひみこの「ひみこ」の方を連想するようになる。

 菊池ひみこの場合,フュージョンを演奏している人ではない。フュージョンを産み出している人なのである。
 あの当時,菊池ひみこの頭の中の音楽が,日本のフュージョン・シーン全体を動かしているような感覚があった。だからこそ菊池ひみこが“フュージョンの女王”と呼ばれたのだと思っている。

 菊池ひみこデビュー・アルバム『DON’T BE STUPID』(以下『ドント・ビー・ステューピッド』)は,全曲粒ぞろいの名曲集である。
 デビュー・アルバムだからだろう。『ドント・ビー・ステューピッド』では特に美メロだけを準備して,アレンジは演者にお任せのソロ・パートが多い。美メロを“生演奏”で聴かせるのが菊池ひみこ流なのである。

 菊池ひみこデビューから3作連続で「リー・リトナー&ジェントル・ソウツ」のサックス奏者であるアーニー・ワッツとコラボしている。
 フュージョンサックスとしての人選であれば,アーニー・ワッツでも悪くはないが,デヴィッド・サンボーンマイケル・ブレッカートム・スコットあたりの名前が挙がるのが自然だったと思う。

 しかし,菊池ひみこからしてみると共演するサックス奏者と来れば“アーニー・ワッツの一択”だったような気がする。
 アーニー・ワッツというサックス奏者は「ジェントル・ソウツ」と菊池ひみこの関連以外には,フュージョンサックスとしての目立った活動は行なっていない認識である。

 真実のアーニー・ワッツという人はフュージョンではなく“ジャズの人”。そんな“ジャズの人”が菊池ひみことコラボすると,ちょうどいい塩梅のフュージョンになるから不思議なものだ。菊池ひみこは目利きである。

DON'T BE STUPID-2 『ドント・ビー・ステューピッド』は「菊池ひみこ ウィズ  アーニー・ワッツ」名義。
 アーニー・ワッツテナーサックスが,菊池ひみこの音世界をくすませる事なく,さりげなく,しっかりと存在感のある演奏でサポートしている。

 『ドント・ビー・ステューピッド』随一の「神曲」【FOR MY BUDDY】は“弾む”アーニー・ワッツがいればこその松本正嗣の“神懸りな”ギターソロ
 親しみやすさや包容力という女性っぽさを隠れ蓑として,剛腕で硬派チックにたたみ掛けてくる勝負曲を“歌う”サックスが柔らかくほぐしている!

 それにしても男性目線のジャケットの美尻からして,菊池ひみこ自身は女性を“売り”にしてはこなかった。
 …が,当時中坊だった管理人なんかは,美尻の菊池ひみこの美人のお顔を勝手に想像したものでした。お顔を拝んで…。そしてこのキュートなお尻がご本人様のものではないことが分かった時のWショック。あぁ。

 
01. Stormy Spring
02. What's Baby Singin'
03. For My Buddy
04. Vampire
05. Flight In The Moonlight
06. Stiff Vamp
07. Tear Drops
08. Mambo Is Magic

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Oberhime, Mini Moog, YAMAHA CS-20M, Hohner Clarinet, Pianica, Solina, Vocal
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar
ERNIE WATTS : Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
KANYA KAZUMA : Drums
MASATO KAWASE : Percussion
MINE MATSUKI : Chorus
ASAMI MATSUMOTO : Voice
SHIN KAZUHARA : Trumpet
TOSHIO ARAKI : Trumpet
GENJI SAWAI : Alto Saxophone
HIROFUMI KINJO : Tenor Saxophone
MASAO SUZUKI : Baritone Saxophone
TOMATO GROUP : Strings

(テイチク/TEICHIKU 1980年発売/TEH-14)
(ライナーノーツ/野口久光,金澤寿和)

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