アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

CD批評:ビル・エヴァンス (SAX)

ビル・エヴァンス / プッシュ3

PUSH-1 多くの人にとってビル・エヴァンスと来れば,この辺のブラコン路線でクラブ・ジャズ路線でスムーズ・ジャズ路線のビル・エヴァンスをイメージするのではなかろうか?

 セールス的にはビル・エヴァンスのアルバムで一番売れているのが『PUSH』(以下『プッシュ』)であり「ビル・エヴァンスプッシュ」名義の一連のアルバムである。
 だから残念でしょうがない。こんなにも才能あるサックス奏者が“色眼鏡”で見られ続けることに我慢ならない。

 『プッシュ』の中のビル・エヴァンスは,ジャズフュージョン界を「ブイブイ言わせた」ビル・エヴァンスとは別人のビル・エヴァンス
 『プッシュ』が売れ続けることはビル・エヴァンスにとってマイナスである。ビル・エヴァンスにとって大損失なのである。

 駄盤『プッシュ』のおかげでビル・エヴァンスの“過去の栄光”は地に落ちてしまった。
 あのマイルス・デイビスが復帰の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスであった。あのジョン・マクラフリンマハヴィシュヌ・オーケストラの再結成の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスなのであった。

 独立後のビル・エヴァンスも順調そのものであって,同世代のマイケル・ブレッカーボブ・バーグケニー・ギャレットと共に,若手・中堅にしてすでに大物集団の一人に数えられるジャズ・サックス・プレイヤーがビル・エヴァンス
 ビル・エヴァンスソロ・アルバムの共演者のクレジットを見れば,ビル・エヴァンスの格の凄さが理解できる。

 『プッシュ』にしても共演者は超大物がズラリ。ビル・エヴァンスの元に,ピアノボブ・ジェイムスキーボードフィリップ・セスピアノボブ・ジェームスギターチャック・ローブニック・モロックベースクリス・ミン・ドーキーマーカス・ミラービクター・ベイリーマーク・イーガントランペットクリス・ボッティが集まっている。なのにどうして〜。

PUSH-2 『プッシュ』の失敗は多分にドラマー不在にある。ダン・ゴットリーブデニス・チェンバースを「はべらせてきた」ビル・エヴァンスが『プッシュ』では打ち込みを選択した。

 「ビル・エヴァンスプッシュ」が追求したのは最先端のダンス・ミュージックである。だから打ち込みという選択は間違いではない。ただしこれでは相棒となる強力なベーシストの良さが生かされない。加えてアルバムの音造りがギター寄りなのも強力ベーシスト陣の良さを消している。
 『プッシュ』以降,バンド・サウンドで勝負するようになるのが不思議なくらいに,カラオケをバックにビル・エヴァンス1人だけが饒舌な感じ? あっ,ビル・エヴァンスが気持ちいいからこの路線なんだよね〜。

 管理人の結論。『プッシュ批評

 ラップが躍動する「トンガリ」系のクラブ・サウンド『プッシュ』は,打ち込みに打ち勝つ!?名手揃いのベーシストに引き戻されたおかげで,いいか悪いか「聞き心地の良いスムーズ・ジャズ」として着地している。踊れないわ,聴けないわ,で聞き流す価値しかなくなっている。

 普通に吹いていても“お洒落系”ジャズ・サックスビル・エヴァンスが,全身お洒落コーデしてどうする!?

 
01. PUSH
02. ROAD TO RUIN
03. IF ONLY IN YOUR DREAMS
04. LONDON HOUSE
05. NIGHTWING
06. STAND UP AND DO SOMETHING
07. THE HOBO
08. YOU GOTTA BELIEVE
09. LIFE IS DANGEROUS
10. U R WHAT U HEAR
11. A SIMPLE LIFE
12. MATTER OF TIME
13. PUSH (CLUB MIX)

 
BILL EVANS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Keybpards, Rhodes, Piano, Background Vocals, Drum Loops
CLIFORD CARTER : Keybpards, Drum Loops
PHILIPPE SAISSE : Keyboards
BOB JAMES : Piano, 3 Wood
BRUCE HORNSBY : Piano
CHUCK LOEB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
JEFF GOLUB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
NICK MOROCH : Guitar
CHRIS MING DOKY : Acoustic Bass
MARCUS MILLER : Bass
VICTOR BAILEY : Bass
MARK EGAN : Bass
BILY WARD : Drums
MAX RISENHOOVER : Bass, Drums, Screech Guitar, Percussion Sequencing
JIMMY BRALOWER : Drum Programming
MICHAEL COLINA : Drum Programming
MICHAEL DAVIS : Trombone
CHRIS BOTTI : Trumpet
K C FLIGHT : Rap, Drum Programming
BLACKSTAR : Rap
HARD HITTIN HARRY : Chorus
K-LA : Chorus
LITTLE ELI : Chorus
PORTER CARROLL JR. : Background Vocals
WARREN SHARPE : Background Vocals
KC AND BLACK STAR : Background Vocals
NANCY ADLER : Background Vocals
MARGO ADLER : Background Vocals
BENNY ADLER : Background Vocals
HADLEY ASSAIL : Background Vocals
MARION BILLINGS : Background Vocals
AMANDA BRECKER : Background Vocals
MADELEINE RUFF : Background Vocals

(リップスティック/LIPSTICK 1994年発売/VICJ-5122)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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ビル・エヴァンス / レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京5

LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO-1 現代アコースティックジャズ名盤SUMMERTIME』から数カ月もしないうちに録音&発売された,サックスビル・エヴァンスの“最高傑作”が『LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』(以下『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』)である。

 『SUMMERTIME』のビル・エヴァンスは本当に素晴らしかった。しかし『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を前にすると,前作とは全くの別人格のビル・エヴァンスと思えるくらいの充実度である。
 ゆえに管理人は『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』については「第三のビル・エヴァンス」と読んで区別している。

 ジャズサックスビル・エヴァンスフュージョンサックスビル・エヴァンスが凌駕していく。
 特に『SUMMERTIME』からの再演となる【LET’S PRETEND】と【KWITCHUR BELIAKIN】を聴き比べてみると「第二のビル・エヴァンス」と「第三のビル・エヴァンス」との“色の違い”が良く出ている。

 サイデメンの違いも甲乙付け難いし,ジャズサックスフュージョンサックスも分け隔てなく両方大好きなはずなのだが,管理人の好みは『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』の一択である。

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』のビル・エヴァンスに「のめり込む」! と書くよりもテナーサックスビル・エヴァンスに「のめり込む!」と書くのが正解であろう。

 ソプラノサックス中心の『SUMMERTIME』と比較して『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』のビル・エヴァンスは「本職」であるテナーサックスを中心に吹きまくっている。

 ビル・エヴァンステナーサックスの系統は「渋め」路線にあると思う。時に「枯れた」テナーサックスには,風格さえ漂っている。
 そんなビル・エヴァンスブルーノート東京の良質な観客の反応に乗せられて,バリバリに乾いた音色でテクニカルに吹き上げた際のオーバートーン! いや〜,こんな音色をライブ会場で実際に聞かされたら,正気ではいられなくなる。もう“アゲアゲ”状態である。

LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO-2 そこにデニス・チェンバースドラムが被さって来て,ダリル・ジョーンズベースまでもが被さって来る! ウォーッ! マジかよ学園!
 これぞ,グルーヴである。実にクリアーな音を聴かせるリズム隊である。「言語明瞭,意味不明瞭」なタイトなグルーヴに身体全体が熱くなる!

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を聴いて感じる高揚感からの恍惚感! それでいて『SUMMERTIME』より軽いので,聴き終わった時に疲れを感じることもない。
 この辺りに,世間ではビル・エヴァンスサックスを,ジャズではなくフュージョンでもなくロックである,と感じる人がいる理由が隠されているのだろう。「渋め」&「枯れた」テナーサックスなのに体幹としては「若々しい」のだ。

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を聴いて以降,マイルス・デイビスの『THE MAN WITH THE HORN』でビル・エヴァンスと共演した,バンドを引っ張るマーカス・ミラーの超絶ベースを聴く度に,後のダリル・ジョーンズのヘビーなベースを思い浮かべるようになりました。

 
01. Let the Juice Loose
02. Hobo
03. My Favorite Little Sailboat
04. Let's Pretend
05. In the Hat
06. Ginza
07. The Wait
08. Kwitchur Beliakin

 
BILL EVANS : Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
CHUCK LOEB : Guitar
JIM BEARD : Keyboards
DARRYL JONES : Bass
DENNIS CHAMBERS : Drums

(ジャズシティ/JAZZCITY 1990年発売/POCY-00054)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(サンプル盤)

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ビル・エヴァンス / サマータイム5

SUMMERTIME-1 ジャズ界にはビル・エヴァンスが2人いる。
 このように書くと“ジャズの巨人”ピアノビル・エヴァンスと比較される,もう1人のビル・エヴァンスがかわいそうと思うなかれ!

 確かにピアノビル・エヴァンスと比較すると「じゃない方」には小者感が出るのであるが,どうしてどうして…。
 その「じゃない方」のビル・エヴァンスも,マイルス・デイビス・バンドのメンバーなのである。ビル・エヴァンスと来れば,あなたはどっちのビル・エヴァンスを連想されますか?

 その「じゃない方」のビル・エヴァンスとはサックス奏者のビル・エヴァンス
 『SUMMERTIME』(以下『サマータイム』)は,そんなビル・エヴァンスの純ジャズ・アルバムである。

 普段のビル・エヴァンスの主戦場はジャズ系ではなくフュージョン系なのだが『サマータイム』のビル・エヴァンスジョン・コルトレーンを超えていく。
 そう。ビル・エヴァンスのルーツは間違いなくジャズにある。

 【MY SHIP】【SUMMERTIME】【ALL OF YOU】【JITTERBUG WALTZ】のジャズスタンダードにおけるストレート・アヘッドな演奏からは,ビル・エヴァンスが持つ豊かなハーモニー・センスと繊細なニュアンス表現に“うっとり”させられてしまう。

 スタンダードの解釈がポップに響いているのは,これぞフュージョン系の真骨頂だと100%受け入れる。
 斬新なスタンダード集として「一喝」するギリギリの線で,JAZZYなアドリブが入ってくるから100%受け入れる。
 フュージョンの仮面を被った“ジャズメン魂”の「チラミセ」が,いやらしくなく,わざとらしくない。

SUMMERTIME-2 仮にビル・エヴァンスが『サマータイム』のアコースティック路線を続けていたら,冗談ではなく,ビル・エヴァンスと来ればサックス,という時代が到来したようにも思う。← いいや,それぐらいではまだまだぁ。ピアノビル・エヴァンスの壁はとんでもなく高い!

 事実『サマータイム』でビル・エヴァンスが共演したのは,ピアノギル・ゴールドスタインギターチャック・ローブドラムダン・ゴットリーブベースマーク・ジョンソンの超大物スーパー・ミュージシャンの面々。

 こんな全員がリーダーを張れるサイドメンを引き連れての「極上スタンダード集」を制作できる辺りが,サックスビル・エヴァンス「超大物」の証し!

 
01. Chatterton Falls
02. Let's Pretend
03. Melvin's Pond
04. My Ship
05. Summertime
06. Arther Ave
07. All of You
08. These Dreams
09. Jitterbug Waltz
10. Red Scarf
11. Kwitchur Beliakin

 
BILL EVANS : Saxophone
GIL GOLDSTEIN : Piano
CHUCK LOEB : Guitar
DANNY GOTTLIEB : Drums
MARC JOHNSON : Bass

(ジャズシティ/JAZZCITY 1989年発売/D22Y0336)
(ライナーノーツ/ビル・ミルコウスキー)

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