MUSIC FROM MO' BETTER BLUES-1 2005年6月,今旬な話題の一つに若貴兄弟がある。共に横綱として角界をリードしてきた兄弟の異変ぶりに,マスコミも大バッシングである。

 さて,ジャズ界の若貴兄弟と言えば,ブランフォードウイントンマルサリス兄弟だろう。著名な父に弟子入りしたこと。兄の実力を認めつつもどちらかと言えば弟の陰に隠れがちなこと。出世も弟が早かった。そして仲むつまじかった兄弟のまさかの決裂…と,花田家とマルサリス家には多くの共通点がある。

 今回はマルサリス家の“おにいちゃん”こと,ブランフォード・マルサリスについて紹介する。
 デビュー当初のブランフォード・マルサリスは,ウイントン・マルサリスと組んでメインストリート・ジャズの復権に貢献した。

 しかしブランフォード・マルサリスの名を世に知らしめたのは「他流試合」(若乃花がスポーツキャスターへと転身したこととは無関係だが)である。それはつまりスティングとの共演であり,この『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』(以下『モ’・ベター・ブルース』)での映画音楽である。

 若乃花もそうであるが,ブランフォード・マルサリスジャズの王道を踏み外したことは,個人的には残念でならない。
 というのも頑固なジャズ・ファンは,一度“売れ線”に手を染めた者は,その後よっぽどのジャズ・アルバムを制作しない限り“色物扱い”されるからである。
 すでに管理人もその影響にさらされてしまったのか,ブランフォード・マルサリスの代表作として“悲しいかな”『モ’・ベター・ブルース』を挙げざるを得ない。

 サウンド・トラック『モ’・ベター・ブルース』は,ブランフォード・マルサリスのレギュラー・カルテットに,トランペットテレンス・ブランチャードを加えたクインテット編成である。
 そう。ピンと来る人も多いと思うが,このバンドはウイントン・マルサリスの代役にテレンス・ブランチャードを迎えた,旧ウイントン・マルサリス・バンドなのである。

 この辺りが実に興味深い! 特にテレンス・ブランチャードウイントン・マルサリスのライバル格としてデビューしたのだから,この辺りもまた若貴兄弟と相通じるものがあるのかもしれない。

MUSIC FROM MO' BETTER BLUES-1 さて,今回はブランフォード・マルサリスの,しかもサウンド・トラックを取り上げてみた。
 かなりの変化球であることは承知しているが,時流に乗っかるのがブログの強みだろうし,軽やかなスタイルもジャズっぽいので“良し”としたが,いかがなものか?
 読者の反応がちょっぴり気になる小心者の管理人である。

  01. HARLEM BLUES
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  05. MO' BETTER BLUES
  06. POP TOP 40
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  08. JAZZ THING
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(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCS 5358)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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