
さて,ジャズ界の若貴兄弟と言えば,ブランフォードとウイントンのマルサリス兄弟だろう。著名な父に弟子入りしたこと。兄の実力を認めつつもどちらかと言えば弟の陰に隠れがちなこと。出世も弟が早かった。そして仲むつまじかった兄弟のまさかの決裂…と,花田家とマルサリス家には多くの共通点がある。
今回はマルサリス家の“おにいちゃん”こと,ブランフォード・マルサリスについて紹介する。
デビュー当初のブランフォード・マルサリスは,ウイントン・マルサリスと組んでメインストリート・ジャズの復権に貢献した。
しかしブランフォード・マルサリスの名を世に知らしめたのは「他流試合」(若乃花がスポーツキャスターへと転身したこととは無関係だが)である。それはつまりスティングとの共演であり,この『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』(以下『モ’・ベター・ブルース』)での映画音楽である。
若乃花もそうであるが,ブランフォード・マルサリスがジャズの王道を踏み外したことは,個人的には残念でならない。
というのも頑固なジャズ・ファンは,一度“売れ線”に手を染めた者は,その後よっぽどのジャズ・アルバムを制作しない限り“色物扱い”されるからである。
すでに管理人もその影響にさらされてしまったのか,ブランフォード・マルサリスの代表作として“悲しいかな”『モ’・ベター・ブルース』を挙げざるを得ない。
サウンド・トラック『モ’・ベター・ブルース』は,ブランフォード・マルサリスのレギュラー・カルテットに,トランペットのテレンス・ブランチャードを加えたクインテット編成である。
そう。ピンと来る人も多いと思うが,このバンドはウイントン・マルサリスの代役にテレンス・ブランチャードを迎えた,旧ウイントン・マルサリス・バンドなのである。
この辺りが実に興味深い! 特にテレンス・ブランチャードはウイントン・マルサリスのライバル格としてデビューしたのだから,この辺りもまた若貴兄弟と相通じるものがあるのかもしれない。

かなりの変化球であることは承知しているが,時流に乗っかるのがブログの強みだろうし,軽やかなスタイルもジャズっぽいので“良し”としたが,いかがなものか?
読者の反応がちょっぴり気になる小心者の管理人である。
01. HARLEM BLUES
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04. AGAIN NEVER
05. MO' BETTER BLUES
06. POP TOP 40
07. BENEATH THE UNDERDOG
08. JAZZ THING
09. HARLEM BLUES (Acapulco Version)
(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCS 5358)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
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