DEXTER CALLING...-1 師走。歳末。流行語大賞の発表である。
 2005年の流行語として「ちょいモテオヤジ」が選ばれた。「ちょいモテ」って,本当に流行っているのか? 「ちょい不良(ワル)」のような気がするが…。

 「ちょいモテ」「ちょい不良(ワル)」の真偽は置いといて,管理人が「ちょいモテ」と聞いて連想する人物は,パンツェッタ・ジローラモではなく,通称“デックス”のデクスター・ゴードン! そう。テナー・サックスの巨人である。

 パリ在住時代のバド・パウエルをモチーフとしたジャズ映画=「ラウンド・ミッドナイト」の主演俳優でもあるデクスター・ゴードンの風貌こそ,管理人がイメージする「ちょいモテ」!
 “ロング・トール・デクスター”の愛称で呼ばれた,身長198cmの大柄で帽子とトレンチ・コートがよく似合う風貌は,例えるなら阿部寛? 阿部つながりでJ−リーグ・ジェフの阿部勇樹? あっ,このW阿部は「激モテ」。デクスター・ゴードンはW阿部より劣るから「ちょいモテ」。やっぱり「ちょいモテ」!?

 さて“ロング・トール・デクスター”から,デクスター・ゴードン「ちょいモテ」論を導いてみたが,デクスター・ゴードンを“見かけ倒しのテナー・マン”とは侮るなかれ!
 デックスが「ちょいモテ」の真意は,彼の“モテモテな”テナー・サックスにある!

 デクスター・ゴードンテナー・サックスには“限りないリラクゼーション”と“猛烈なドライブ感”が奇跡的に共存している。その要因は,やっぱりあの“後乗り”にあるだろう。
 あの強引に“後ろへ後ろへ”後ずさりさせた地点で半強制的に聞かされる,独特のトーンと歌心あふれるフレーズ! 泰然自若,朗々と鳴り響く「ちょいモテ」テナーの登場に気持ち良くなる管理人はM?

 『DEXTER CALLING...』(以下『デクスター・コーリング』)を聴いてみてほしい。『デクスター・コーリング』にこそ,デクスター・ゴードンの「ちょいモテ」テナーぶりが色濃く記録されている。

 要は尻軽,軽薄とは別種のパンツェッタ・ジローラモ級の「軽さ」である。気軽に誰とでも付き合い始める敷居の低さである。しかし本命を一途に思い続ける真の強さで一線以上は崩れない。これを一言「大人の軽さ」と表現すれば,伝わる人には伝わると思いますが…。

DEXTER CALLING...-2 『デクスター・コーリング』には,ジャズ初心者を魅了する“お気軽な空気感”とジャズ上級者をもうならせる“奥の深さ”が共存している。マニアが選ぶ“通の一枚”であろう。

 例の“猛烈な後乗り”が,聴いている方がハラハラするほどたどたどしく,ふてぶてしく,息を呑むほど美しい! この絶妙なブレンドこそがデクスター・ゴードン独特の味わい。ブレンド“デックス”コーヒーを召し上がれ!?

 そんなこんなで管理人は「レオン」ではなく『デクスター・コーリング』で男を磨いている。「ちょいモテオヤジ」に必要な要素は『デクスター・コーリング』に詰まっている。
 そう。『デクスター・コーリング』こそ「ちょいモテオヤジ」のバイブルである。

 
01. SOUL SISTER
02. MODAL MOOD
03. I WANT MORE
04. THE END OF A LOVE AFFAIR
05. CLEAR THE DEX
06. ERNIE'S TUNE
07. SMILE

 
DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

(ブルーノート/BLUE NOTE 1961年発売/TOCJ-6634)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,小川隆夫)

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列王記第一1章 ダビデはソロモンに油を注ぐよう指示する
デヴィッド・サンボーン 『ハート・トゥ・ハート