『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の2曲目は【SAY HEY】(以下【セイ・ヘイ】)。


 【セイ・ヘイ】からは,冷静に計算されつつも熱い“現代ジャズのテイスト”が,それも“上質の味わい”がする。

 ユニゾンによるテーマが“いい感じ”のジャズなのだが,それ以上にソロ廻しがかっこいい。
 27秒からはテレンス・ブランチャード。リズムに乗った伸びのあるフレーズがビシビシ・キマッテ・カッコイイ。
 1分18秒からはブランフォード・マルサリス。こちらは“流ちょうな”テナー・サックスがリズム隊を追い越し,リードし,自分の世界を造り出す。

 特質すべきは,2人のソロの一貫性。テレンス・ブランチャードが用意した“美味な”アドリブブランフォード・マルサリスが仕上げていく。名コラボゆえの一級品の完成である。

 綿密なリハーサルをこなしての録音であろうが,聴こえてくるのは“初めてプレイしたかのような”緊張感。この緊張感がピアノベースドラムにも伝染した“熱演”である。

 トランペットソロの36秒でも,テナーソロの1分45秒でも,バックから,メンバーの“うなり声”が聴こえてくる! それが“熱演を物語る”揺るがぬ証拠である。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet