『PORTRAIT IN JAZZ』の2曲目は【AUTUMN LEAVES(TAKE 1)】(以下【枯葉(テイク1)】)。

 決定的名演があるスタンダード・ナンバーで“元祖”が確立したイメージを打ち破るのは難しい。
 【枯葉】と来れば,キャノンボール・アダレイマイルス・デイビスによる“スロー&ムーディー”が定番だが【枯葉(テイク1)】は,アップテンポのエヴァンス流! ビル・エヴァンスのこのアイディア,そして実行力が素晴らしい!

 イントロのかっ飛ばし方がすごいので,あの哀愁漂う【枯葉】をイメージしていると面喰らってしまうだろう。
 実は管理人もこのトラックを初めて耳にした時「なんかどこかで聴いた曲だなぁ〜」としか思わなかった。原型だけが残された全くの別物。衝撃の変貌ぶりである。
 
 ここまで新旧【枯葉】対決を軸にレビューしてみたが『ポートレイト・イン・ジャズ』の【枯葉(テイク1)】は「ビル・エヴァンスマイルス・デイビス」ではなく「ビル・エヴァンススコット・ラファロ」の対決が機軸を為している。まるでマイルス・デイビスなど眼中にないかのように…。

 例えば,45秒から2分2秒までのベースソロ終わりでの主導権争い。メロディを奏でようとするビル・エヴァンスと,そうはさせじとメロディカルなリズムを押し出すスコット・ラファロとの綱引き。これぞインタープレイである。

 
BILL EVANS : Piano
SCOTT LaFARO : Bass
PAUL MOTIAN : Drums
 
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