『PARKER’S MOOD』の1曲目は【STELLA BY STARLIGHT】(以下【星影のステラ】)。

 【星影のステラ】の名演は多いが,キース・ジャレットチック・コリアの代名詞的ナンバーなので,ピアノによる“静かな”プレイ向きという印象を持っている。

 しかし同時に【星影のステラ】には,チャーリー・パーカーマイルス・デイビスチャールス・ミンガスといった,ハード・バップのホットな名演が残されている。そうしてその名演群の中に『PARKER’S MOOD』の【星影のステラ】が加わった。

 渡辺貞夫の【星影のステラ】は,イントロの“スーッ”とした第一印象はご愛敬。すぐにバックを引っ張る熱気を帯びてくる。メンバー全員が馴染みの曲なのだろう。よく歌っている。

 3分35秒からのジェームス・ウィリアムスピアノソロがダイナミック。6分25秒からのチャーネット・モフェットベースソロもハイ・テクニックでメロディーを奏でていく。

 【星影のステラ】の主役は“格上”渡辺貞夫である。【星影のステラ】の持つロマンティックな響きを“あの”渡辺貞夫アルト・サックスの音色が飾り付けしていく。
 “世界一”のアルトの音色に“グッと”きてしまい,これだけのバックの好演も耳には残らない。渡辺貞夫の「次元を超えた名演」である。

 
SADAO WATANABE : Alto Saxophone
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums

PARKER'S MOOD-1
PARKER'S MOOD
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