

連想ゲームはまだ続くが,管理人は“お上りさん”で溢れるこの時期の東京が大好きだった。管理人自身18歳で上京し,毎週毎週東京見物。エンジョイ東京ライフ!(正確には千葉県民でしたが)。ホームシックなどかかるはずもない。
しかし,たった一度だけ長崎の田舎を思い出したことがあった。それがズート・シムズを聴き返した瞬間だった。
ズートの“ほんわか”サウンドに“田舎の良さ”を感じたのだ。ここがミソ! ここがズート・シムズ最大の特徴であり,魅力であり,味なのである。
思わず“昔は良かった。田舎は良かった”と口走りそうになる。都会人が失ってしまった何かが,現代ジャズが失ってしまった何かが,残されている。
このように紹介するとズート・シムズは“相当の田舎者”に思えるかもしれないが,実はカリフォルニア州イングルウッド=「ブラック・ビバリーヒルズ」とも称される“都会派”の出身である。
ではなぜ“やぼったい”のだろう? ズート・シムズのフレーズは,それがアドリブを吹く場合であっても“真面目にきちんと”がモットー。一言一言が明瞭で,変に自己主張しない音。この辺りの生真面目さが“やぼったさ”とつながっているのだろう。
確かにズート・シムズは天才肌のテナー・マンではないかもしれないが,ズートの持ち味をこよなく愛する人にとっては,彼に代わるテナー・マンはいない。そう。ズート・シムズは肩肘張らないジャズ・ファンのアイドルなのだ。
晩年,ズート・シムズはテナーだけでなくソプラノ,アルト,バリトンもプレイした。ズート・シムズがテナー・マンであることを認めつつも,個人的に彼の音楽性と一番マッチするのはソプラノ・サックスだと思う。
『SOPRANO SAX』(以下『プレイズ・ソプラノ・サックス』)がいい。全曲“癒し系”の選曲と相まってズート・シムズの持ち味が表現された一番のCDである。
『プレイズ・ソプラノ・サックス』の別の聴き所は“音色”。ズート・シムズのソプラノは,シドニー・ベシェのようにビブラートを多用したり,ジョン・コルトレーンのように表現の限界に挑むといった,ソプラノ・サックスが本来が持ち合わせている“美しい味わい”を損なうものではない。そう。ここにあるのは“自然で素直な音”。
プレイヤーとしてのズート・シムズのテクニックは“超一流”なのである。
(1976年録音/VICJ-23598)

コメント
コメント一覧 (11)
ちょくちょく見にこさせてもらいます。
田舎を思い出させるような懐かしいような曲は私も好きです。
ロックのような激しい曲を主に聴きますけれどおとなしい曲もバラードも大好きです!
ぽちっと
リンクさせていただきました
JAZZお詳しいんですね〜
千葉県民なのですかっ
実は私もなんですよぉ
わたしはどちらかと言うとSwingJazz、もしくはBossanova系を良く聞きます
また遊びに来てくださると嬉しいです。
JAZZ/FUSIONの名盤をお探しの際には,また当ブログにお立ち寄りくださいね。
激しい曲とバラードを交互に聴くのがいいですよね。私のメインはもちろんJAZZ/FUSIONですが,普通にROCKやPOPSも聴きます。私にとって音楽はバランスのいい食事のようなものです。
マニアな健さん,健康にいい音楽ってどんな音楽か教えてくださ〜い。
私は元習志野市民→船橋市民でしたが,今は福岡市民です。13年千葉県民だったので,すっかり関東人?のノリが染みつき,九州男児にからかわれる毎日です。
SWINGのノリが染みついているのならズート・シムズは合うと思いますよ。
音楽プラグインいいですねっ。デザインは変わっても“愛媛一押し”の編集指針だけは変えないでくださいね。楽しみに読んでいますよ。
屋地岡寛さんは正直知りません。ですがジャム・セッションには関心大有りです。
空港って成田? 福岡空港ならいいのですが…。