『STUDY IN BROWN』の9曲目は【TAKE THE A TRAIN】(以下【A列車で行こう】)。

 このイントロとエンディングのドラミングは正に“快速”列車の出発と到着の合図である。そう。“快速”であって“特急”とは違う。「シュッポ・シュッポ」時代のジャズ・スタンダードである。

 【A列車で行こう】の名演は多いが,このトラックこそが管理人の選ぶベスト・トラック! 恐るべしマックス・ローチ! ドラムが“リード&花形”楽器へと昇華している。
 そう。ちょいとしつこいが,マックス・ローチの創り出す“快速”列車のスピード感が何とも言えず“爽快”なのである。

 このドラムを“リード”楽器へと昇華させたマックス・ローチの圧倒的な“情景描写”に彩りを加えているのが,クリフォード・ブラウンハロルド・ランドによる「シュッシュッポッポ」隊。
 お馴染みのメイン・テーマでの完璧なユニゾンと,29秒からと3分54秒からの“汽笛”2発のコンビネーション! それぞれのトランペットソロテナーソロも上出来ではあるのが,このトラックでは勝手が異なる。
 1分36秒からのクリフォード・ブラウントランペットソロでさえ,バックからあおられっぱなしとは驚愕だ!

 【A列車で行こう】でのソロ・パートと言えば,管理人の中では,3分0秒からと3分6秒,3分20秒からのマックス・ローチドラムソロしか印象に残っていない。
 クリフォード・ブラウンでさえも“前座”にしてしまうマックス・ローチは,もはや無敵の“ジャズ・ジャイアント”!

 3人の“火花飛び散る”大バトルに,中間派のリッチー・パウエルジョージ・モロウが“石炭”を加えるもんだから,さあ大変! 終盤は“快速”列車が“特急”と化してしまう!
 そんな絵に描いたような「痛快さNO.1」の【A列車】。こんな【A列車】に乗って世界を旅してみたいものである。

 
CLIFFORD BROWN=MAX ROACH QUINTET
CLIFFORD BROWN : Trumpet
MAX ROACH : Drums
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
GEORGE MORROW : Bass
RICHIE POWELL : Piano

STUDY IN BROWN-1
STUDY IN BROWN
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



申命記20章 戦争に関する規則
ゲイリー・トーマス 『エグザイルズ・ゲイト