
基本的にラテン,サルサ系のリズムは大体どれもワン・パターン? リズムの微妙な違いは管理人には正直よく分からない。
ではどれも同じに聴こえるかと言うとそうではない。同じリズムが鳴っているようで,そこにはトラック毎の個性がある。イントロの数音で「あっ,このトラックだ」と判別できる。不思議なものである。
この“なぞ”を解くカギがある。そう。それこそ松岡直也のピアノとシンセサイザーが織りなす“唯一無二”の音作りにある。
音楽活動50年以上のキャリアを有する歴戦のツワモノは,ジャズ/フュージョンのみならず,映画・TV・CM界でも大活躍。他のアーティストのプロデュースもするし,日本レコード大賞の作曲賞&編曲賞も受賞している。なんともマルチな才能である。
しかし松岡直也,最大の才能こそ“ラテン・フュージョン”! ラテンのリズムを極上のメロディーの上へ,無理なくスイスイ乗せていく。
松岡直也自身のピアノの音だけではない。強力なリーダーシップでバンド全体をもコントロールしていく。この優れたバランス感覚が,イントロの数音でそれと分かるトラック毎に特有の“彩り”を添えていく。
そんな松岡直也が強力に“夏”を意識したのが『WATERMELON DANDIES』(以下『ウォーターメロン・ダンディーズ』)。
しかしこの夏は「盛夏」「汗だくの夏」「情熱の夏」と言った“燃える”世界ではない。もっと“ほのぼの”とした,きらめく夏の想い出! 何と言っても「スイカ男」がテーマなのですから…。
金魚売り,風鈴売りのような,それはそれは“風情”感じる「小学生の頃大好きだった」夏の音なのである。楽しい長〜い夏休みの音。スイカ割り? スイカの丸かじり?

“ラテン・フュージョン”と一言で片づけるのは実に勿体ない。タンゴ,サックス,ヴォーカルなど,いつもの松岡直也では“お耳にかかることの少ない”編成も新鮮だ。
『ウォーターメロン・ダンディーズ』の“目玉”は3曲のヴォーカル・ナンバーだろう。歌入りだから好きとか嫌いとか,そんな次元を飛び越えて無条件に楽しめる。自然と身体が反応してしまう。「ヴォーカル=リズム楽器」説もまんざらウソではない。
『ウォーターメロン・ダンディーズ』で感じる,いい感じのJAZZYさ,けだるさこそが,松岡直也の夏=“ラテン・フュージョン”の夏! 「いよっ,スイカ男〜」!
01. ワクワク・ソンゴ!
02. A FIRST FLIGHT
03. TANGO RENGUE
04. A MIDNIGHT LAMENT
05. SUN DOWN
06. ペリエにレモン
07. MAMBO ISLAND
08. WATERMELON DANDIES
NAOYA MATSUOKA : Keyboards
GETAO TAKAHASHI : Bass, Vocal, Lead Vocal
HIROMICHI TSUGAKI : Keyboards
NORIYUKI HIROSE : Drums
AKIRA WADA : Guitar
WILLIE NAGASAKI : Timbales
SHINGO KANNO : Congas, Vocal, Background Vocal
GUEST PLAYER
SATOSHI NAKAMURA : Tenor Saxophone
MICHIAKI TANAKA : Bongos, Bata(Oconcolo)
(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1986年発売/32XL-151)
ヨブ記41章 神はレビヤタンのすさまじさを語る
バド・パウエル 『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1』
コメント一覧 (4)
(すみません、ご挨拶遅れまして。)
>分厚いリズム
ってどんな・・?と首をかしげるぐらいジャズには疎いワタクシですが、内容は読んでいて面白かったです。
最高にお褒め頂きありがとうございます。「ジャズには疎いワタクシですが、内容は読んでいて面白かったです」って,正に「アドリブログ」の目指すところなんですよ。今度は実際に“音”を楽しんでくださいねっ。
iPod時代の昨今,86年の貸しレコード屋の風景って,もう二度と見ることのできない貴重な残像ですね。
BLUE LIFEさんはその風景に“ドップリ”溶け込んでいらっしゃったんですか?