『4,5 AND 6』の1曲目は【SENTIMENTAL JOURNEY】(以下【センチメンタル・ジャーニー】)。

 【センチメンタル・ジャーニー】は,ほのぼのとした「牧歌」であり,ジャッキー・マクリーンの「鼻歌」である。
 【センチメンタル・ジャーニー】からは,笑顔でセッションを楽しんでいる“風情”を感じる。ニコニコではなく“ニヤリ”の方の笑顔!

 【センチメンタル・ジャーニー】に,失恋を癒やす&感傷に浸る“一人旅”と言う趣はない。これは完全に“吹っ切れた”直後の出直し旅行である。
 数人の仲間と“ワイワイ・ガヤガヤ”とは違う“ペチャクチャ”雑談ばかりの小旅行。“気ままにふらっと”プランなど立てずに,右へ左へ…。
 そう。ジャッキー・マクリーン御一行様の「感傷旅行」は,後ろ向きで「内省的」なジャズではなく,前向きで「希望に満ちた」ジャズなのである。

 ジャッキー・マクリーンアルト・サックスに始まり,ダグ・ワトキンスベースマル・ウォルドロンピアノに至るまで,3人のソロが見事に“スイング”している。
 メイン・テーマは“どこで切り取っても”ピカイチのノリであるが,特にジャッキー・マクリーンマル・ウォルドロンの“お涙頂戴コンビ”が実にウイット。“茶目っ気たっぷり”の【センチメンタル・ジャーニー】に仕立て上げている。

 3分10秒から15秒までの大ブローもあれば,特に9分13秒から全開の“マクリーン節”も楽しめる。
 「【センチメンタル・ジャーニー】さえ聴き込めば,ジャッキー・マクリーンの全てが分かる」と豪語した,あの大物ジャズ批評家の論評に納得できなくもない? 何となく認めたくないだけ? 氏の一推しだけあって大名演に間違いない。

 自称・ジャズ批評家である管理人が選ぶ,このトラックのハイライトは,6分36秒から7分37秒までのマル・ウォルドロンアドリブである。これぞ正に“絶品”バップピアノ

 
JACKIE McLEAN : Alto Sax
MAL WALDRON : Piano
DOUG WATKINS : Bass
ART TAYLOR : Drums

4, 5 AND 6-1
4, 5 and 6
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詩編37編 温厚な人は地上に住み続ける
ジャック・デジョネット 『アース・ウォーク