『SILVER RAIN』の5曲目は【FRANKENSTEIN】(以下【フランケンシュタイン】)。

 【フランケンシュタイン】は,1972年の全米NO.1ヒット曲。ゆえにロック・テイスト・フレーバーなのに“ギンギンのロック”とは異なる“レトロなフュージョン”仕上げの1曲。

 ディーン・ブラウンギターモーシャン・ワーカーのDJ・エフェクトが“キメ”の部分で耳に残るので,印象としては“デジタル”であるが,実はかなり“アナログ”寄りの“音造り”をしている。
 ソロマーカス・ミラー以外には,パチェス・スチュワートトランペットカーク・ウェーラムテナー・サックスのみ。2人のソロのバックではオルガンも鳴っている。ゆったりと響く“JAZZYでブルージーな”ソロが心地良い。

 しかし,この“アナログ”寄りの“音造り”が成功しているかと言えば,そうでもない。
 暖かさや温もりの前に,どうにも“古さ”をイメージしてしまう。【フランケンシュタイン】は,しょせん72年の流行歌。“流行廃れ”の宿命にあった。

 アレンジ勝負に出た,マーカス・ミラーベースは,相変わらず上手いのだが,ちと盛り上がりに欠けている。一方,プージー・ベルドラミングはハイ・テンションで“スゴスギル”。特に5分47秒からのアタックは“やり過ぎ”だろう。
 このリズム隊の意識の“ズレ”が互いの中間地点であったなら…。

 
MARCUS MILLER : Bass Guitar, Clavinet, Fender Rhodes, Tambourine
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Organ
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
MOCEAN WORKER : DJ Efx

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SILVER RAIN
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