『WE GET REQUESTS』の2曲目は【DAYS OF WINE AND ROSES】(以下【酒とバラの日々】)。


 ジャズ・スタンダードである【酒とバラの日々】の“お手本”的な名演である。
 どことなく“名もない流し風”=黒子役に徹したオスカー・ピーターソンの,原曲に“忠実な”プレイに好感が持てる。

 オスカー・ピーターソンは【酒とバラの日々】が大好きなのだと思う。この出来栄えは,当然,単なる“流し”のそれを超えているが,メイン・テーマについては,実に“端正”な演奏だから…。
 変な“崩し”が微塵もない。ジャズ・バーで聴く“生演奏”の雰囲気たっぷりである。決して会話の邪魔をしない,良質のBGM!

 しかしそんな原曲に“忠実な”演奏であっても,ピーターソンはやっぱりピーターソン! ピーターソン特有の個性が“プンプン臭ってくる”から,逆にうれしくてたまらない。
 例えば4秒,6秒,12秒での「伸びやか」なピアノ。一転して48秒からの高速アドリブ。この対比が心地良く一気にのせられてしまう。

 心地良さと言えば,特筆すべきはレイ・ブラウンベース! テーマを奏でながらも華麗にピーターソンの裏をついていく。この絡み具合が名人芸! ピアノ・トリオベーシストとして,レイ・ブラウンの人気が高いのもうなずける。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
ED THIGPEN : Drums