『BALLADS』の5曲目は【I WISH I KNEW】(以下【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】)。

 【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】は,マッコイ・タイナー名演を聴くためにこそある!
 【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】に限らず『BALLADS』でのマッコイ・タイナーは,名ソロイストとしての演奏は影を潜め,ひたすら落ち着いた,柔らかい音を出している。この雰囲気はバラードの名伴奏者“気取り?”である。

 イントロからして,これは…と“思わせぶりな”音の羅列…。一気にムードを作ってしまう。
 ジョン・コルトレーンの演奏も良いが,もはや管理人の耳にはマッコイ・タイナーの音しか入ってこない。バッキングを付けるマッコイ・タイナーピアノに感動してしまう。

 そう。ここにはビル・エヴァンスとは違う,もう1つのモードがある。“モードの権化”と称されたマッコイ・タイナーピアノには,ジャズピアノの“らしさ”が常に伴っている。眼前に音空間が広がるのである。

 2分31秒から1分間のピアノソロがそうだ。ここではフレーズの区切りで高域へと跳ね上がる,マッコイ“お得意の”フレーズを用いつつも,中域勝負に徹する左手が,ジャズピアノの“らしさ”を演出している。
 4分20秒からの“ジャラ〜ン”の5連発では,エルヴィン・ジョーンズのシンバルと見事な連動性を見せる。“キラキラ”と星降るピアノが実に素晴らしい。

 
JOHN COLTRANE : Tenor Saxophone
McCOY TYNER : Piano
JIMMY GARRISON : Bass
ELVIN JONES : Drums

BALLADS-1
Ballads
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



サムエル記第一14章 兵士たちが肉を血抜きせずに食べる
オスカー・ピーターソン 『プリーズ・リクエスト