『CLOSE−UP』の2曲目は【J.T.】)。

 トラック名の由来は,ポップ・シンガー=ジェームス・テイラー?と思いつつも,イントロで“和”を感じた管理人の脳裏には【J.T.】→日本たばこ産業→「SELECT LIVE UNDER THE SKY」とシナプスが連結しているようで…。
 そう。【J.T.】は,マーカス・ミラーリッキー・ピーターソンのWプロデューサーが「ワビサビ」を意識した超名曲! この甘いメロディ・ラインと“サンボーン節”が見事にマッチしている。

 決してバラード調ではないのだが【J.T.】は,イントロでのキーボードパーカッションフレットレス・ベースだけで,管理人はすでに“瞳ウルウル”の少女マンガの主人公。
 そこへ待ち焦がれたハンカチ王子ならぬ,サックス王子=デヴィッド・サンボーンの一音! とたんにシビレが回ってしまう。

 シビレてしまったせいだろうか? 100%デヴィッド・サンボーンの音なのに,どうもいつもと違っている。いつもは“泣き虫”のくせに【J.T.】では,徐々に盛り上がってくるバックと相まって“クール”に歌い上げてしまっている。“枯れた”フレージングなのだ。

 ここが最初に感じた“和”なのだろう。ワビサビの重ね塗りのごとくデヴィッド・サンボーンも湧き上がる感情を幾重にも重ね塗りした? 結果,表面的には“泣き”を通り越し,涙も枯れ果て“クール”に聴こえてしまうのだ。

 “泣き”でも“ブロー”でもない,デヴィッド・サンボーンの第3の魅力が,この“枯れ”である。まだ“枯れ”を知らないサンボーン・キッズの皆さん,是非ご一聴を…。

 
DAVID SANBORN : Alto Saxophone
MARCUS MILLER : Bass, Keybords, Guitar, Percussion Programming
RICKY PETERSON : Electric Piano
ANDY NEWMARK : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
RICHARD TEE : Piano

CLOSE-UP-1
CLOSE-UP
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



格言の書2章 隠された宝のように知恵を求める
ビリー・コブハム 『スペクトラム