
「カシオペア VS スクェア」は理解できるが,管理人は「ウェザー・リポート VS クルセイダーズ」という記事を見つける度に,いつも首をかしげてしまう。悶々としてしまう…。
アドリブ芸術であるジャズにおいて“誰々に似ている”と批評されるのは,ジャズメンにとって“屈辱”なのかも知れないが(中には矢野沙織のようにチャーリー・パーカーに似ていると呼ばれることが“最高の栄誉”と言う人もいますが…)世間では簡単な判断基準として,何につけ誰かと誰かを比較する。二つ並べて見た方が確かに分かりやすい。言わば批評の“常套手段”であろう。
さて,ウェザー・リポートとクルセイダーズは「ブラック・ファンク」の共通項はあるものの,音楽性は明確に異なっている。
マニア同士の間では無意味な比較であることが浸透しているはずなのに,相手が初心者だったりすると,ついつい,引き合いに出してしまいがちである。やはりビッグ・ネームは通りがいい。
キーボードが同じ“ジョー”で,ホーンが同じ“ウェイン”という点も,潜在的なライバル意識として働いていると思うのだが…。
では,ウェザー・リポート抜きに,クルセイダーズ自体を解剖してみると「ファンキー&メロディアスなリズム+2ホーンのカウンター」が特徴! しかしこの特徴が確立されたのは,フュージョンの波が押し寄せてきてからのことである。
フュージョン・ブーム以前のCDは正直,管理人の耳には合わない。いかにも古臭い。クルセイダーズがクルセイダーズ“らしく”なったのは70年代に入ってからのこと。
ちょうど『THE JAZZ CRUSADERS』→『THE CRUSADERS』へバンド名を変更した頃からだ。
“新生”クルセイダーズは,バンド名から『ジャズ』を除き去ることにより,ジャズ,ブルースを前面にアピールするバンドから,ジャズを下敷きにした「ブラック・ファンク」をアピールするバンドへと脱皮した。
そう。クルセイダーズの代名詞である“躍動的なビート”は,納豆のごとく“ねっとりと糸を引くブルース系から“洗練された”ブラック・ファンクへと昇華したのだ。
『THE 2ND CRUSADE』(以下『セカンド・クルセイド』)は,そんな過渡期のブラック・ファンクが録音されている。過渡期と書いたが,正確には“新芽”を聴き分けることができる。そう。クリエイティブな音楽が“誕生した瞬間の”感動や“みずみずしさ”で満ちている。
誤解を招かないよう補足しておくと,この『セカンド・クルセイド』は,バンド名を“新生”クルセイダーズに変えてからの2作目であって“ぽっとでの”デビュー2作目ではない。この時すでにクルセイダーズはジャズ界の中堅グループとしての地位を確立していたのだ。
そんな彼らの“チャレンジ作”だからこそ,安心して“目新しい所”だけを抜き出して聴き取れる。これもまた『セカンド・クルセイド』の楽しみの一つである。
『セカンド・クルセイド』以降,フュージョン・シーンをリードしてきた,クルセイダーズの“洗練された”ブラック・ファンクには「軽さ」が伴っている。
ここで詳しく語ることはしないが,ジャズ/フュージョンにおいて「軽さ」と言う言葉は良い意味で用いられる。「重くぶ厚い音」も確かにジャズの魅力であるが,「軽やかな音」こそ,よりジャズ的と言える。
全体を貫く“黒さ”に,印象としてのんびりとした休日の雰囲気が混在している。混在こそがフュージョン! 真に開放的で明るいサウンドである。
冒頭で述べたように,世間ではクルセイダーズを説明する手段としてウェザー・リポートとよく対比させる。
しかし管理人に言わせれば,クルセイダーズの対抗馬は,ハービー・ハンコックのヘッド・ハンターズでしょ? 同年録音の『ヘッド・ハンターズ』と『セカンド・クルセイド』を聴き比べれば「明るく伸び伸び,骨太なのに軽い」クルセイダーズの特徴が“より際立つ”に違いない。
明日以降,ライバル対決の話題なら「ハービー・ハンコック(ヘッド・ハンターズ) VS クルセイダーズ」で行きませんか?
『セカンド・クルセイド』を聴いていただければ,この主張に同意していただけることと思っています。
01. Don't Let It Get You Down
02. Take It or Leave It
03. Gotta Get It On
04. Where There's a Will There's a Way
05. Look beyond the Hill
06. Journey from Within
07. Ain't Gon' Change a Thang
08. A Message from the Inner City
09. A Search for Soul
10. No Place to Hide
11. Tomorrow Where Are You?
12. Tough Talk
13. Do You Remember When?
(MCA/MCA 1974年発売/38XD-637)
(ライナーノーツ/上田力)
(ライナーノーツ/上田力)
コメント
コメント一覧 (6)
この内容は
よく分からないですが、
応援して行きます。(笑)
ポチッ
話はこの記事と関係ないんですが、最近、僕が会長のブログに訪問するだけして、コメントを残さないのに、セラビーさんとはお話しされてますね、と言う書き込みを僕のホームページの掲示板に書き込んで下さいました。どうも嫉妬されてるんでしょうか?(汗)
噛み砕いて説明できず,申し訳ありません。いつになったら「初心者を意識したほんわかサイト」になれるのかなぁ。
これに懲りずにジャズ/フュージョン・ファンに興味を持っていただければ…。
掲示板読んできました。う〜ん。このタイミングで何て書くべきでしょうか? 難しすぎて分かりませんね。
私は会長のこと全く変に思っていませんし,以前と接し方を変えたつもりはないのですが,コメントしてもスルーされるだけだし…。しばらく静観させてください。
一番いいのは,和仁さんが会長のブログを訪問するたびにコメント付けてくることでしょうか? 私は和仁さんとはこれからもいい“ブログ仲間”でいたいと思っています。
さすが“通”ですね。よく分かっていらっしゃる!