『PORTRAIT IN JAZZ』の9曲目は【SOMEDAY MY PRINCE WILL COME】(以下【いつか王子様が】)。
ご存知,ディズニー「白雪姫」の挿入歌【いつか王子様が】である。ただし原型はとどめていない。テーマ以外はアドリブが持続している。
誰もが知っている名曲なので,ジャズ初心者でも楽しめる。しかし実際はかなりの“ジャズ通”向け! 「敷居の高い」上級者向けの一曲なのである。
と言うのは,管理人の実体験から…。
ジャズを聴き始めた頃は,自分の知っている曲がスイングしているのが“面白かった”。このデフォルメが,いかにもジャズっぽい。雰囲気だけで聴いていた。
しかし,いつ頃からだろう。雰囲気だけでは楽しめなくなった。毎回耳が“釘付け”になってしまう。ビル・エヴァンスの,いいや,ビル・エヴァンス・“トリオ”のインタープレイに,耳が這い蹲ってしまうのである。聴けば聴く程,これが“即興”であるとは信じられなくなる ← 勿論,リハーサル済みでした。
一通りテーマを弾き終えた,37秒からの第2章の開始と同時に“いきなり”スコット・ラファロが“下へ下へ”と潜っていく。と同時にポール・モチアンがブラシでプッシュ! このグルーヴに,ビル・エヴァンスが“たまらず”白眉のアドリブで応えていく!
初心者にとっては難解な,1分4秒から3分10秒までのインタープレイが【いつか王子様が】のハイライト! 真の聴き所なのである。特にポール・モチアンの“仕事ぶり”がいい。
ビル・エヴァンス・トリオの【いつか王子様が】は子供向けなどではない。R−18指定,大人のジャズ・マニア限定の「ひそかな」楽しみである。
BILL EVANS : Piano
SCOTT LaFARO : Bass
PAUL MOTIAN : Drums
コメント
コメント一覧 (2)
最高の賛辞をありがとうございます。ちょっと褒めすぎです。
たぶん和仁さんは,私とツボが似ているので,同意できる箇所が多かっただけかもしれませんね。
今後とも「アドリブログ=セラビーの“独断的”ジャズ批評」を,よろしくお願いいたします。
わざわざ聴き返しておられるとは…。これはもっと真面目にレビューしなければなりませんね。