OPEN MIND-1 ジャズの名門レーベルと言えば「ブルーノート」であろう。65年の歴史を誇る“超名門”の最年少リーダー奏者についてご存知であろうか?
 驚くなかれ! 答えは録音当時?日本の現役高校生=松永貴志“その人”である。(正確にはBN録音ではなく買い取り販売であるが…)

 このビッグ・ニュースに日本のメディアが喰いついた! その一つの“か・た・ち”が,読者の皆さんも毎晩耳にしているかも知れない,テレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲OPEN MIND』(以下『オープン・マインド』)である。

 管理人が矢野沙織ファンだからそう聴こえるだけ? いいや,あの番組オープニングの20秒間の演奏は,完全なる矢野沙織ソロ・パート。
 そう。『OPEN MIND − ORIGINAL TV VERSION』でのあの編集は矢野沙織を聴くためにある。ズバリ,あの編集指針は正しい。

 しかし『オープン・マインド』の真実は,松永貴志“その人”を聴くためにある! 管理人が矢野沙織ファンでなかったら,何であんな編集にしたのかと文句の一つも言いたくなるだろう。
 真実の『オープン・マインド』のハイライトは,古舘伊知郎のご挨拶により,フェードアウトしていくピアノソロ! 矢野沙織アルト・サックスを選んだ編集者を最後まで悩ませたであろう。こちらも天才的な名演である。

 松永貴志アドリブは,矢野沙織の引き立て役に収まってしまった自分に対する憤り。そして“俺がこのユニットのリーダー&作曲者である”との強い意思表示を感じてしまう。松永貴志ジャズ・ピアノに“ビンビン”感じてしまう。

OPEN MIND-2 『オープン・マインド』で,10代にして一時代を築き上げた松永貴志であるが,現在の松永貴志のスタンスには物足りなさも感じている。
 恐らくは若くして天才と謳われたゆえの“弊害”なのであろう。自分のスタイルを確立し大成功したとなれば,誰しもそのスタイルを継続して追い求めたくなるものだろう。

 一言で言えば『オープン・マインド』以降の松永貴志ジャズ・ピアノには“新鮮味”が薄れている。10歳でアルバムを制作した輝かしいキャリアが逆に災いしているのかもしれない。
 無意識のうちにパターン化,マンネリ化という罠にはまってしまっている?

 松永貴志の才能はこんなものではないはずだ。松永貴志は「できる子」である。今のレベルで落ち着いてほしくない。『オープン・マインド』を超える名演を早く聴かせてほしいと思っている。

 
01. Open Mind - original TV version
02. Open Mind - Takashi Matsunaga version
03. Open Mind - Saori Yano version

 
SAORI YANO : Alto Saxophone
TAKASHI MATSUNAGA : Piano
HAROLD MABERN : Piano
DAIKI YASUKAGAWA : Bass
NAT REEVES : Bass
NOBUYUKI KOMATSU : Drums
MASAHIKO OSAKA : Drums
JOE FARNSWORTH : Drums
PETER BERNSTEIN : Guitar

(サムシン・エルス/SOMETHIN' ELSE 2004年発売/TOCP-40174)

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