
「ニセスクェア」=『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』である。
『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』は本田雅人+則竹裕之+須藤満+松本圭司=4人の元T−スクェア在籍メンバーによるスーパー・グループ。なるほど「ニセスクェア」なのもうなずける。
公式に「ニセモノ」を名乗っているゆえイメージが悪いが,実はジャズ/フュージョンの歴史には『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』並みの「ニセモノ」バンドが無数にある。
最強なのは,ホレス・シルヴァーがアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ独立時のクーデター! なんとリーダーのアート・ブレイキー唯一人を残して,全メンバーを“根こそぎ”引き抜いたのだから,これを「ニセJM」と呼ばずに何と呼ぼうか?
その他,ジャズ/フュージョン界にはハービー・ハンコックのVSOPや,アートペッパー,レッド・ガーランドの代表作など,リズム隊の“拝借”に至っては枚挙にいとまがない。
その点『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』は公言してるだけ潔い。その潔さがストレートに音にも出ている。この音は「ニセモノ」なのではない。正式メンバーによる同窓会なのだから「ニセモノ」であるはずがない。
そう。「ニセモノ」改め,これは分身! いや,これから語るが『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』こそ「スクェアの中のスクェア」! これはホレス・シルヴァーのクーデターを越えた“サウンド・カラーの乗っ取り”である。
( ← 恐い?表現が続いたが『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』結成の真実はその真逆である。純粋に音で繋がった仲間たち。戦略&下心は一切無い )
『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』のデビュー・アルバム『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』)!
『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』は,元T−スクェア在籍メンバー4人によるスーパー・ハイテク・バンドゆえ「超絶技巧系」の斬新な音と思いきや,所謂,王道のスクェア・サウンド! POPなメロディー重視の“聴かせる”フュージョン・サウンドである。
“ハイパー・サックス・プレイヤー”本田雅人の場合,T−スクェアを離れてもう9年になる。その間に多くの,そして多彩なソロ活動を繰り広げてきた。ドラムの則竹裕之,ベースの須藤満,キーボードの松本圭司にしても同様である。
しかし,そんな“やりたい放題”の4人が『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』として集まると“しっくり”スクェア・サウンドに戻れるのは,T−スクェアが彼らの“ホーム”だからなのだろう。
どんなにアドリブに熱中していても,やはり周りとの“アンサンブル”を考えてしまう。安藤まさひろの“教え”は実に絶大&偉大である。

例えばアドリブの紬ぎ方。“魅せる”アドリブなのに楽曲の理解度が増しているのだろう。自分の技量を魅せるのではなくメロディー・ラインを魅せている。メロディーが躍動していく。
そう。『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』は「ニセスクェア」なのであって,スクェアのコピー・バンドではない。ここ重要!
かつてのスクェアが有していた,スクェアらしさ=オリジナリティを“本家以上”に感じさせてくれる!
一般にイメージする“スクェア・サウンド”が好きな方には,本家ではなく『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』が買いであろう。聴けば即・納得いただけるはずである。ただし“オレ様”本田雅人ファンには不満が残る内容かも?
PS それにしても「ニセモノ」の存在を放置しておくとは安藤まさひろは心が広いよなあ…。
01. 4P layers
02. Destiny in the tube
03. Polka
04. Her life and two doves
05. Bulldog
06. Lautan Hindia
07. Bop Factory
08. Mandrake
09. マエストロと少年
10. Knotty Sticky
11. 夕凪
MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS
MASATO HONDA : Saxophones, EWI, Flute, Synth-programming
KEIJI MATSUMOTO : Keyboards, Piano, Guitar, Accordion, Synth-programming
MITSURU SUTOH : Bass
HIROYUKI NORITAKE : Drums
(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61378)
詩編113編 神は身をかがめる
ブルー・ミッチェル 『ダウン・ウィズ・イット』
コメント一覧 (6)
先ほどコメントしましたが
名前を入れる前に誤って投稿してしまいました・・・。申し訳ございませんでした。
せっかく投稿していただいたのに,残念,コメント届いていないようでした。
“眼力の鋭い”ayukiさんのVOE批評,読んでみたいです。気が向いたら是非ご意見ください。何て書いたんだろう…。
T−スクェアに松本圭司さんが加入した時に個人的にはけっこう衝撃を受けました。これでかなりカラーが変わるかと・・・。その松本圭司さんを含めての黄金の4人。T−スクェアベストメンバーを選ぶとすれば私だったら必ず選ぶであろうこの4人のバンドは、まさに、謀反、そしてある意味同窓会的、そしてユーモアさえ感じますが、実はリスペクト。
それは堂々と「ニセモノ」を名乗るところにも表れていますね、
>安藤まさひろは心が広いなあ…。
まさにそう想います。もし私だったら「俺も入れてくれ!」と言うかも?ですね。仰る通りに、フュージョンアンサンブルにおける『“教え”は実に絶大&偉大』で、安藤塾の門下生たちの学んだことがいかに多かったが良く解りますね。
大力作コメント! このコメントが読みたかった! 安藤まさひろ&VOEへの“愛溢れる”コメントに感激です。
ご指摘の通り,VOEは安藤塾の門下生たちの「リスペクト」と表現するのが適切ですね。明日からVOEの聴き方が変わります。私も愛を感じて聴こうと思いました。
また色々見に来ます!!!
本田さんは、角松プロデュースのCrossH
earts持ってます
『CROSS HEARTS』もいいですよね。いっそのこと角松もVOEのギタリストで参加したらいいのになぁ。