『BRAIN』の6曲目は【GREEN TEA FARM】(以下【グリーン・ティー・ファーム】)。

 【グリーン・ティー・ファーム】を,作曲し演奏した上原ひろみを「いとおしく」思う。一体,彼女はどんな気持ちでこのトラックを吹き込んだのだろう。何を思い浮かべながら…。泣いちゃったのかなぁ。辛いことがあったのかなぁ。
 録音スタジオから帰宅した彼女を,理由を何も聞かずに,ただ優しく“そっと抱きしめてあげたい”と思った。全てを受け止めてあげたいと思った。

 【グリーン・ティー・ファーム】のモチーフは,上原ひろみの実家=お茶の産地=静岡・浜松。上原ひろみが,ふるさとの良さ,家族のありがたさを噛みしめながら弾いている。きっとお茶畑とたくさんの家族愛に囲まれて成長したのだろう。
 懐かしいふるさとへの想いの全てが,3分7秒のピアノ・タッチの瞬間に凝縮されているように思う。このピアノ・タッチは,押しつけの重く感じる愛情表現ではなく,利他的な感謝の念に溢れている。しみじみと聴き入ってしまう。

 恐らく上原ひろみの作品では初めてであろう,自作曲以外のフレーズが飛び出す。そう。ラストの1フレーズ。4分6秒から「夏も近づく八十八夜♪」。【茶摘み】である。“あの”上原ひろみが,である。郷愁を誘う。感動してしまう。名曲である。

 【グリーン・ティー・ファーム】を聴いていると「心が暖かくなる」「心が満たされる」自分を感じ取れる。たまには実家に電話してみようかな…。

 
HIROMI UEHARA : Piano, Keyboards

BRAIN-1
ブレイン
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エゼキエル書26章 「引き網の干し場」
渡辺貞夫 『SADAO 2000