PORTRAIT - YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION-1 ジャズ・ピアノには2つの大きな系譜がある。それがパウエル派エヴァンス派である。
 このパウエル派エヴァンス派の系譜は,時を越え海を越え形を変え,ここ日本の女性ジャズ・ピアニストたちの歴史にも連綿と受け継がれている。

 「男勝りの力強いタッチ」が特徴のパウエル派の歴史は,秋吉敏子大西順子へ受け継がれ,パウエル派の分家=ピーターソン派アキコ・グレース山中千尋上原ひろみへ受け継がれている。
 一方「女性らしい繊細なタッチ」が特徴のエヴァンス派の歴史は,木住野佳子Sayaへと受け継がれている。

 パウエル派エヴァンス派について語る際,管理人が特に印象深く思い出すのが1990年代後半に繰り広げられた,この2大派閥の日本における代理戦争! そう。「大西順子 VS 木住野佳子」である。

 優勢だったのは大西順子である。やはり「ジャズ・ピアノ=ダイナミックなドライブ感」が謳い文句に違いない! それで大西順子を持ち上げるため? 木住野佳子についた隠語が「ヘタレ」。「木住野佳子を好きだ」とは言い出し難い空気が漂っていた。

 そんなこんなで?“レッテル”に惑わされ続けた管理人が,木住野佳子を初めて真面目に聴いたのは,実にデビューから8年後の2003年のこと。木住野佳子ベスト盤PORTRAIT − YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION』(以下『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』)であった。

 時代はすでに大西順子が活動休止中。パウエル派の代表選手も上述の若手3人へと入れ替わっていた。「そろそろいいかなぁ」という気持ちに『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』の「セクシー・ジャケット」が相まって購入意欲を刺激した! そう。期待薄の興味薄。こんな状態で聴いたところで木住野佳子を気に入るわけがない!
 …と思いきや,現在ブレイク中のエドはるみ風に親指立てて「GOO,グ〜」! 「GOO,グ〜」ネタは管理人が最初なんですよ〜?

 さすが『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』はGRPレーベルである。GRPエヴァンス派デイブ・グルーシンである。
 エヴァンス派木住野佳子こそ,日本人初で唯一のGRPアーティスト! 『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』は,全編ビル・エヴァンスへの“オマージュ”で溢れている。

 巷で「ヘタレ」と呼ばれようが,8年もの間,木住野佳子は「女性らしい繊細なタッチ」を保ってきた。これはGRPのカラーではなく,木住野佳子のカラー,木住野佳子の“本質”であろう。

PORTRAIT - YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION-2 やはり女性ジャズ・ピアニストには,バド・パウエルではなく「ビル・エヴァンスが好き」と答えてもらいたい。男の“願望”である。

 なお,管理人のように『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』で“開眼”し,速攻で木住野佳子の全CDを“大人買い”してしまったとしても『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』は無用の長物にはならない&ダブらないの親切編集盤。
 『PORTRAIT − 木住野佳子 ベスト・セレクション』は,木住野佳子の全CD未収録の【RED NOTE】【PEACE PIECE】を収録+特典として取り下ろしの最新フォト映像10枚と壁紙3枚収録のエンハンストCD仕様。木住野佳子・ファンなら“見てよし聴いてよし”ですよっ。

  01. Fairy Tale
  02. The Island
  03. Only Trust Your Heart
  04. Beautiful Love
  05. Scaborough Fair
  06. Manhattan Daylight
  07. Waltz For Debby
  08. You Are So Beautiful
  09. By The Sea
  10. Tenderness
  11. Air-Sul G
  12. Danny Boy
  13. Primavera
  14. Red Note
  15. Peace Piece

(GRP/GRP 2003年発売/UCCJ-2023)
(☆フォト・ギャラリー収録 エンハンストCD仕様)
(ライナーノーツ/木住野佳子)

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