『CLOSE−UP』の4曲目は【GOODBYE】(以下【グッドバイ】)。


 【グッドバイ】の聴き所は“センチメンタルでノスタルジックでエモーショナルな”デヴィッド・サンボーンアルト・サックスに違いない! しかしある一線を越えた所で,聴き込めば聴き込む程「ザ・マーカス・ミラー」な作りである。
 そう。【グッドバイ】は,デヴィッド・サンボーンの全てを知り尽くしたマーカス・ミラーだから作れた,渾身のバラードなのである。

 印象的なイントロからバラードゆえ甘く入ると思いきや,ガツンと一発,デヴィッド・サンボーンが吹き上げる。豪快な展開に軽く脳しんとうを起こし,気付けばテーマでサンボーンが泣いている。以降,その繰り返しである。

 例えば,3分27秒からのアルト・ソロでのサンボーンは“ブリルハート”である。しかしバックと溶けあう4分2秒でテーマに変わった瞬間“デュコフ”で泣き始める! この変化がいい! ← このクダリ,何人の読者が意味分かるかなぁ?

 「泣かぬなら泣かせてみようサンボーン」。ここぞという聴かせ所で最高に泣かせてみせるマーカス・ミラーは“サル”である。おっと失礼,豊臣秀吉である。

DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass, Keybords
RICKY PETERSON : Electric Piano
VINNIE COLAIUTA : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
G.E.SMITH : Lead Guitar
PAULINHO DA COSTA : Percussion