
そう。グラント・グリーンを聴く楽しみは,ジャズ好きのみに“許された”特権なのである。
グラント・グリーンは,決してテクニシャン・タイプではない。むしろ不器用そのものである。悪く言えば「ワン・パターン」に違いない。
しかし,グラント・グリーンの“誰にでも簡単に弾けそうなフレーズを何度も繰り返し積み上げていく”ギター・スタイルは,実はそう易々と“できそうでできない”代物なのである。
強烈な個性の塊であって,紙一重のレベルで“一芸を極めた”グラント・グリーンのジャズ・ギターには,ジャズの“酸いも甘いも”を味わってきたものだけが辿り着ける「電化マイルス」以上の価値さえあると思っている。
全てのジャズ上級者たちよ。『FEELIN’ THE SPIRIT』(以下『フィーリン・ザ・スピリット』)を聴け!
グラント・グリーンの奏でる,ニグロ・スピリチュアルな『フィーリン・ザ・スピリット』の音世界へ足を踏み入れよ! (by 強気の中山康樹風)
ねっ,ズボズボでしょ? グラント・グリーンの発する“禁断の音世界”へ一歩足を踏み入れたなら。もはや二度と抜け出せなくなるのです。
そう。グイグイ足を取られていく,確実に底なし沼へと引きずり込まれる感触がここにはある!
図太い音色で同じフレーズを執拗に繰り返し続ける“一人コール&レスポンス”で,いつしか絶頂へと登り詰めた時の快感! 管理人はグラント・グリーンの“一人コール&レスポンス”で幻聴体験を迎えるのが常である(危な〜い)。

黒人霊歌を甘美なシングルトーンで,時に情熱的に時に哀愁を湛え真摯に語りかけてくる。そして年に一度はグラント・グリーンの“声”が霊界との会話に聞こえてくるから一大事である(おお危ない危ない)。
そう。グラント・グリーンのジャズ・ギターは,ウエス・モンゴメリーとは違う意味での“神業”なのである。
グラント・グリーンへの評価が「B級」なのは,真似しようとも真似できない,手が届きそうで届かない,掴めそうで掴めない“はがゆさ”ゆえ? 永遠に現実と幻想が交錯する“幻聴のジャズ・ギター”だからに違いない。
「B級ジャズ」と出会えて良かった。グラント・グリーンと出会えて良かった。管理人はグラント・グリーンと出会えた幸運に心から感謝している。
01. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
02. JOSHUA FIT DE BATTLE OB JERICHO
03. NOBODY KNOWS THE TROUBLE I'VE SEEN
04. GO DOWN MOSES
05. SOMETIMES I FEEL LIKE A MOTHERLESS CHILD
GRANT GREEN : Guitar
HERBIE HANCOCK : Piano
BUTCH WARREN : Bass
BILLY HIGGINS : Drums
GARVIN MASSEAUX : Tambourine
(ブルーノート/BLUE NOTE 1963年発売/TOCJ-9038)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ジョー・ゴールドバーグ,小川隆夫)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ジョー・ゴールドバーグ,小川隆夫)
ヨハネ9章 パリサイ派の人たちは目が見えない
ブランフォード・マルサリス 『ブルース・ウォーク』
コメント一覧 (4)
新主流派『IDEL MOMENTS』でのグラント・グリーンもいいですね。少し薄味なので,たまにつまみ喰い程度がよろしいかと思われ。
霊界の声は困ったちゃんです。聞きたくないのに聞こえてくる〜。まだ40なのに〜。こんな歳から幻聴が聞こえて困っています。