『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』の5曲目は【FIRST SONG (FOR RUSH)】(以下【ファースト・ソング】。


 ライナーノーツに【ファースト・ソング】が『ミズーリの空高く』の輪郭を成す最重要曲との記述がある。しかしこれは誤りである。
 『ミズーリの空高く』の輪郭を成す最重要曲は【ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・ミストレス】であって【ファースト・ソング】は,その前奏曲として位置付けられている。

 【ファースト・ソング】は,チャーリー・ヘイデンの代表曲の再演であり,ファン待望のパット・メセニーとのデュエットときている。これは確かにヘイデン・ファンにとってのビッグ・ニュースである。
 しかし,パット・メセニーとのデュオは,言うなれば“記念碑的な演奏”に終始している。「こんなのもやりましたで〜。パット・メセニーともやってみましたで〜」みたいな…。

 管理人には,スタン・ゲッツデヴィッド・サンボーンによる【ファースト・ソング】の方が“しっくり”くる。【ファースト・ソング】の持つ「悲哀に富んだ情感」は,アコギの名手=パット・メセニーが逆立ちしても「サックスの温もり」にはかなわない。

 そう。【ファースト・ソング】は,チャーリー・ヘイデンパット・メセニー,2人の親友による“記念”であって,そこには残念ながら第三者が入り込む余地は残されていない。

CHARLIE HADEN : Bass
PAT METHENY : Acoustic Guitars and all other instruments