『CHET BAKER & CREW』の8曲目は【MEDIUM ROCK】(以下【ミディアム・ロック】)。

 【ミディアム・ロック】の別名は【ミディアムソロ回し】である。ミディアム・テンポでの全員のソロ回しは,アドリブというよりもアレンジである。メンバー全員が“流れ”を意識して「ジャズ・ロック」をクリエイトしている。

 ソロの解説に触れる前に,これだけは言っておこう。【ミディアム・ロック】のテーマは絶品である。「おとぎの国のファンタジー」なのだが,ルンルンのない大人の遊園地の世界観である。この「夢と現実のイリュージョン」があるからこそ各人のアドリブが生きる! 以下,一言批評

 57秒からのフィル・アーソテナーソロは流暢なのに雄弁である。
 1分52秒からのチェット・ベイカートランペットソロは貫禄を感じさせる。豊かな個性。
 2分47秒からのボビー・ティモンズピアノソロは軽やか。ボビー・ティモンズが黒くないでらしくない。こんなボビー・ティモンズが貴重である。
 3分41秒からのジミー・ボンドベースソロは重低音。意識する以上の重低音。
 4分8秒で突如フィル・インしてくるピーター・リットマンドラムソロだけが異質である。1人「ジャズ・ロック」ではなく「ロックン・ロール」にかぶれている。

 
CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums

CHET BAKER & CREW-1
チェット・ベイカー&クルー
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小林香織 『グロウ